日仏の戦闘機が初の共同訓練 西側諸国の論理に引き込まれる日本 問われる自立[2023/07/28 22:31]

 自衛隊の戦闘機がフランスの戦闘機と日本で初めて共同訓練に臨みました。安全保障政策の歴史的な転換を進める日本の平和主義が揺らぐ懸念も出ています。

 来日したフランスの戦闘機が28日、埼玉県の上空で航空自衛隊の戦闘機と共同訓練をしました。

 埼玉県在住(80代):「平和が一番なんだけど、口で言ってるだけじゃ平和は守れないよね。日本でもある程度の武器は必要だろうし」

 フランスは4月にもフリゲート艦を台湾海峡経由で自衛隊の横須賀基地に入港させました。

 6月にはインド太平洋地域に展開するイタリア海軍の哨戒艦が同じく横須賀基地に初めて寄港しました。さらに、NATO=北大西洋条約機構の連絡事務所を日本に設置する案も検討されています。

 岸田総理大臣:「この(防衛)3文書とそれに基づく安全保障政策は、戦後の安全保障政策を大きく転換するものであります」

 岸田総理は去年12月、反撃能力の保有や防衛費増強の方針を打ち出しました。

 28日に公表された防衛白書は「中国とロシアの連携強化が一層強まっている」と懸念を示しながら、「我が国は戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」と強調しています。

 米 バイデン大統領:「(日本の防衛費増額は)私が3回にわたり、日本の指導者と会い、説得した」

 日本の防衛費増強を巡るアメリカのバイデン大統領の発言に対し、政府は日本の判断であり「誤解を招きうる」とアメリカ側に申し入れました。

 バイデン大統領は「岸田総理はすでに増額を決断していた」と発言を訂正しましたが、外交筋は「アメリカは日本に相応の働き掛けをした」と明かします。

 終戦から78年、日米同盟強化の掛け声のもと、アメリカは日本への関与を強めています。

 対立や不安が広がり、日本が西側諸国の論理に引き込まれていくなか、日本の「平和主義」が揺らがないか、懸念する声も出ています。

 6月、与野党の40人以上の議員が参加する超党派の「石橋湛山研究会」が立ち上がりました。総理大臣も務めた石橋氏はアメリカ一辺倒にならず、中国などとの関係正常化も目指しました。

 参加議員の一人は「日本は自主外交を貫き、米中対立に巻き込まれないスケールの大きな構想力を持つ必要がある」と強調します。

 各国で仕事をしてきた大手商社の元幹部は「インドの積極的中立外交」が参考になるのではないかと話します。

 国際秩序の構造が大きく変わり始めた今、日本は独自のスタンスを見いだすその覚悟が問われています。

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