大谷選手がSNSでフォロー 「野球は人生のすべて」MLBを目指すウガンダの青年
[2024/02/13 16:01]
ドジャースの大谷翔平選手にSNSでフォローされた20歳のウガンダ人野球選手が注目されています。「独特な練習方法」が話題となっている彼のこれまでの人生は、実に過酷なものでした。
■カスンバさん「僕の練習動画を見てくれるなんて」
インスタグラムで715万人のフォロワーがいる大谷選手。逆にフォローしているのは209人にすぎません。
そんな数少ないなかに、野球にあまりなじみのないアフリカ中央に位置するウガンダの“ある青年”が含まれています。一体、どんな人物なのでしょうか。
彼が取り組んでいるのは、ボールに見立てたレンガを使っての送球練習や、丸太を担いでのスクワット。さらには、3つ積み上げたレンガを抱えながらの素振りや、タマゴを素手でキャッチする練習も行っています。
まるで昭和の野球漫画のような独特な練習に励んでいるのは、ウガンダ人のカスンバ・デニスさん(20)です。
「夢はMLBでプレーすること」
「大谷選手が自分をフォローし、僕の練習動画を見てくれるなんて思ってもみなかったから、とてもうれしかった」
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■人生山あり谷あり…祖母のために肉体労働も■人生山あり谷あり…祖母のために肉体労働も
大谷選手以外にも多くのメジャーリーグのスター選手からフォローされ、時の人となっているカスンバさん。彼の人生は山あり谷あり、平坦なものではありませんでした。
ウガンダでは政府軍と反政府勢力の内戦が長年続きました。カスンバさんが幼い頃、兵士だった父親は反政府勢力との戦闘で命を落とします。その後、母親から捨てられたカスンバさんは2人の兄弟とともに、祖母のもとで生き延びてきました。
「兄弟や祖母のために、4歳の頃から働いてきました。家族を支えるために仕事をたくさんしてきて、10歳までに100個くらいの仕事をしたと思う」
高齢の祖母は長く働くことができなかったため、カスンバさんが食品加工場やトイレの建設現場などで様々な肉体労働をこなし、家族を支えてきました。
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■人生変えた野球…夢に向かってステップアップ■人生変えた野球…夢に向かってステップアップ
過酷な状況で生き抜いてきたカスンバさんの人生を大きく変えたのが、「野球との出会いだった」といいます。
「8歳のころ、それまで野球のことは知らず、木の棒で石を打っていたら、バットとグラブを持ったコーチと出会いました。するとコーチから野球場に来るよう言われ、野球という競技に出会い、習い始めました。野球は、自分の人生を変えられる唯一の希望。誰かの人生を変えられる唯一のスポーツ。野球は僕の人生のすべて」
肩が強く、投げることが得意だというカスンバさん。満足のいく環境ではありませんでしたが、試行錯誤を重ね、練習に励んできました。
「打つボールの数が足りなくて、チームにはボールが5つしかない。用具が足りないけど、打つ時に重心を後ろに残して、体の前でボールを捉える練習をしている」 「コーチからキャッチングで、毎回手を柔らかくしろと言われています。割れないように、球に集中するためタマゴを使う。練習で使った後、タマゴは食べます。タマゴは高価ですから」
その努力の甲斐あり、昨年、メジャーリーグのドラフト対象となる高校生や大学生が参加する「MLBドラフト・リーグ」にキャッチャーとして招待されるまでに成長しました。夢に向かって、着実にステップアップしています。
「(Q.いつか大谷選手が投げ、あなたが捕り、歓声が起きるのを期待してます)僕は、いつか大谷さんの球を捕れますように。大谷さんの球を捕り、すぐ二塁に投げランナーをアウトにできますようにと祈っています。そのため、MLBで一番のコーチに出会い、指導してもらうため、これからも厳しい練習を積み、学び続けます」
(「グッド!モーニング」2024年2月12日放送分より)