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テレビの生放送中に爆撃も。混乱が続く中東・イランに滞在していた日本人が、国内の様子を語りました。
■生放送中に爆撃“退避の瞬間”
生放送中も爆発音が響き渡っていました。そして…。
キャスター
「私たちの祖国を侵略する音、正義と真実の声を侵略する音です。今、実際に目にし、耳にした爆発音。ほこりまみれのスタジオ…」
「私たちの祖国を侵略する音、正義と真実の声を侵略する音です。今、実際に目にし、耳にした爆発音。ほこりまみれのスタジオ…」
轟音(ごうおん)が響き渡り、キャスターは退避。画面内を灰色の煙が覆いました。
イスラエルが、イランの国営テレビ局を攻撃したのです。
イスラエル軍報道官
「数時間前、イラン軍が使用していたイラン政権の通信センターを攻撃した。対象は国営放送の拠点だ。我々が得た情報によれば、ここは軍事作戦を推進するためのプラットフォームとして機能していた」
「数時間前、イラン軍が使用していたイラン政権の通信センターを攻撃した。対象は国営放送の拠点だ。我々が得た情報によれば、ここは軍事作戦を推進するためのプラットフォームとして機能していた」
国営テレビ局の建物からは黒い煙の柱が立ち上り、複数のフロアが炎に包まれました。
イスラエルは攻撃に先立ち、国営テレビ局がある地域の人々に対し、避難するよう警告していましたが、生放送中です。建物内で働いている人も多くいました。
国営放送の編集長
「何人の同僚が中にいたのか分かりません。爆撃の時、私は1階にいました。何人の同僚がけがをして、何人が殉教したか分かりません。避難するよう言われていたが、イスラエルが恐れているイランの力を示すため、最後の瞬間まで誰も持ち場を離れませんでした」
「何人の同僚が中にいたのか分かりません。爆撃の時、私は1階にいました。何人の同僚がけがをして、何人が殉教したか分かりません。避難するよう言われていたが、イスラエルが恐れているイランの力を示すため、最後の瞬間まで誰も持ち場を離れませんでした」
イスラエルとイラン。攻撃の応酬は5日目に突入しました。
G7サミットに出席中のトランプ大統領は、今回の事態に対応するため途中で帰国をしました。
そしてその同じ日、SNSでイランの首都・テヘランからただちに退避するよう呼び掛けました。
ただ、町を出るのは容易ではありません。
これはテヘランから西に向かう道路。複数ある車線は、すべて車で埋めつくされ、ほとんど動いている様子はありません。
テヘラン市民(38)
「私たちはここに残る。テヘランから避難してどこに行けと?貯金があったり経済的に恵まれていたりすれば避難できるかもしれないけど、私たちには無理だよ」
「私たちはここに残る。テヘランから避難してどこに行けと?貯金があったり経済的に恵まれていたりすれば避難できるかもしれないけど、私たちには無理だよ」
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■日本人語る イランから避難■日本人語る イランから避難
旅行中にイラン中部イスファハンで今回の事態に遭遇し、辛くもトルコに逃れた日本人もいます。
旅行中に空爆に遭遇 しょうどうさん(31)
「テヘランなどで空爆が始まったとニュースで見て、シラーズ空港に向かおうとしたが、向かう途中に空路全閉鎖を知り、13日の夜8時くらいから空爆が始まって、赤いミサイルが無数に飛ぶのと閃光(せんこう)が衝突して爆発しているのが見えた。その時に自分も死ぬんじゃないかと恐怖を感じた。次の日の早朝にはタクシーで国外に脱出すると決定した」
「テヘランなどで空爆が始まったとニュースで見て、シラーズ空港に向かおうとしたが、向かう途中に空路全閉鎖を知り、13日の夜8時くらいから空爆が始まって、赤いミサイルが無数に飛ぶのと閃光(せんこう)が衝突して爆発しているのが見えた。その時に自分も死ぬんじゃないかと恐怖を感じた。次の日の早朝にはタクシーで国外に脱出すると決定した」
イスファハンでは、交通量の多い道路のすぐ近くでも爆発音が響きました。
「トルコ国境まで向かった。16時間かかって深夜に到着した。後悔はある。情勢が悪いのは知っていたが、まさかこんなにすぐに身の危険に差し迫るまで悪くなると思っていなかった。イランはイラン人の国だから、そこに留まるしかない。彼らのほとんどは国外に退出する発想がない」
■攻撃の応酬どこまで?今後は?
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「前々からイスラエル、特にネタニヤフ首相は、イランが核兵器を開発できる能力に直結する、ウラン濃縮設備を持っていることに非常に強い懸念を持っていた。今回その除去に自ら手を下した。イランが核兵器を開発していることはまだないため、軍事攻撃を仕掛けるのは違法な先制攻撃としか見なされない」
「前々からイスラエル、特にネタニヤフ首相は、イランが核兵器を開発できる能力に直結する、ウラン濃縮設備を持っていることに非常に強い懸念を持っていた。今回その除去に自ら手を下した。イランが核兵器を開発していることはまだないため、軍事攻撃を仕掛けるのは違法な先制攻撃としか見なされない」
イスラエルはイランの制空権も掌握したと主張しています。
「縦横無尽にイランを攻撃できるようになったことも合わせて、目標をより大きなものに変えて、イランのイスラム共和国体制を瓦解(がかい)させるところまで目的を広げた。今行われているのはその途中段階。ネタニヤフ首相はイランの最高指導者ハメネイ師の暗殺もやりたいようだし、近々に狙われるのではないか、実行に移されるのではないか」
イスラエルが核兵器を使う可能性も排除できないといいます。
「イランの最も重要とされているウラン濃縮設備は、山をくりぬいた中に作られており、破壊するための装備は2つしかない。核(兵器)はイスラエルは多分持っているので、一つは核を使うか。もう一つは小型核爆弾並みの威力があるとされるモアブ(超大型爆弾)を使うパターン」
イスラエルは、イランを含む191の国と地域が加盟する核拡散防止条約は締約していません。