自民 療養方針“撤回要求を撤回” 党の本音は?[2021/08/05 19:40]

 菅総理大臣は自民党でも批判の声が上がった新型コロナウイルスの患者の入院を制限する方針について「撤回しない」考えを示し、政府は説明に追われています。入院基準を巡る問題について、最新情報を国会記者会館から報告です。

 (政治部・小池直子記者報告)
 (Q.自民党内からも撤回を求める声が出ているが、今後どのようになっていくとみられている?)
 結局、4日に出た撤回要求そのものを撤回する形になっています。自民党の下村政調会長は文書そのものの撤回ではなく、書き換えを含めた見直しを求めるという言い方に変えていて、4日の党内の盛り上がりはトーンダウンしています。

 そもそも自民党が撤回を求めた背景には「党への事前の相談がなかった」「説明不足によって国民に不安を与えてしまった」といったような、いわば政府に対するクレームが発端だったのです。

 また、総選挙を見据えて「自分は国民に寄り添って闘っているんだ」「自分は政府とは違うんだ」とアピール合戦の場になっていたという側面もありました。

 ただ、実際には今の医療体制のことを考えれば多くの議員が政府の方針自体には理解を示していました。

 ある党幹部は「説明がとにかく下手だ。だけど判断は間違っていない。国民に正確に伝わればいいんだ」と述べていて、今さらではありますが、官邸のやり方が失敗だったとならないように、方針は変えずに説明不足を補うということで決着しました。

 そして、政府とは改めて一枚岩になる必要もあるので、5日から始まった政府と与党の実務者協議では今後、方向転換する時は事前に与党と協議をしていくということを確認しました。

 (Q.自民党から政府に対する「撤回の要求」は撤回したということ?)
 文書そのものの撤回ではなくて、補足して国民に伝わりやすいように書き換えていくということを求めることにしました。

 (Q.今回の問題は国民に、また政権がコロナ対策でつまずいたような印象を与えたようにもみえるが、政府は今後、どのように払拭していく?)

 政府としては、今回の方針は間違っているとは思っていません。あくまで説明不足が問題だったと考えています。

 5日午後に行われた政府のコロナ対策本部でも新たに修正された文書は示されています。具体的には「対象は全国一律ではなく感染拡大地域である」ということや「中等症でも重症化リスクのある人や酸素の投与が必要な人は入院できる」といった内容です。

 ただ、政権幹部によりますと、「以前の表現が悪かったとはいえ、中身が変わっているわけではないので、自治体に向けて新たな文書を出し直すことはせず、説明の仕方を変える」と述べています、今後は新たな文書をもとに、より丁寧に説明し、国民に安心感を取り戻してもらえるかが鍵になります。

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