政府が防衛装備品の輸出規制の緩和を検討 年末までの安保戦略文書改定までに方針決定[2022/05/29 12:38]

 防衛装備品の輸出について、政府が規制の緩和を検討していることが分かりました。年末までに予定している、安全保障戦略に関する3文書の改定までに方針を固める考えです。

 日本は2014年、武器の輸出を原則禁止する武器輸出三原則を見直し、限定的に防衛装備品の輸出を可能とする防衛装備移転三原則を定めました。

 今回、検討されているのは、この防衛装備移転三原則の改定です。

 見直し論が高まったのは、ロシアのウクライナ侵略がきっかけです。

 今の原則では、日本は殺傷能力のある武器類などは輸出できず、また、侵略を受けた国への輸出は明確になっていませんでした。

 そこで日本政府は急きょ、運用指針を改定してウクライナに自衛隊の防弾チョッキや防護服などを提供しました。

 こうした状況に自民党は、「侵略を受けている国に対し、幅広い分野の装備の移転を可能とする制度の在り方について検討する」などの提言を政府に申し入れていました。

 さらに、厳しい安全保障環境を背景に国内の防衛産業や技術基盤の維持・強化が必要だとして、アメリカやイギリス以外の国々との戦闘機やミサイルなどの共同開発も視野に「防衛装備移転に積極的に取り組む」とも提言していました。

 政府関係者は、こうした提言をどの程度反映させられるか検討していることを認めたうえで、今の限定的な防衛装備品の輸出について「そろそろ、そういう縛りはやめた方がいいんじゃないかという話が出てきた」と明かしています。

 岸田総理大臣は、防衛費について「相当な増額」を行う考えを示していて、年末までに取りまとめる予定の安全保障戦略に関する3文書の改定に向けて方針を固めていく考えです。

 規制が緩和されると、日本の装備品が海外の戦争や紛争で使われる懸念は強まり、憲法9条との整合性が焦点になります。

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