自民「公開になじまない支出も」“領収書は公開せず”野党反発…政策活動費の実態とは

[2024/05/23 23:30]

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与野党が提出した、政治資金規正法の改正案。自民党は今の国会で成立を目指していますが、その他の党との隔たりはかなり大きいようです。なかでも、政党から個人に渡される『政策活動費』については、一致点が全く見えません。

■自民 「公開なじまない支出ある」

政治資金とはなにか。規正法には「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財である」と書かれています。その使い方の議論が始まりました。

立憲民主党 柚木道義衆院議員
「二階元幹事長が5年間で50億円。公開しなくてもいいという政策活動費について。例えば選挙関係費の陣中見舞いとして個別に誰にいくら支出したのか。これは公表義務が課されるのか。銀座のどの店でいくら支出したのか。誰に支出されたのか。こういった点は自民案では公表されるのか」

答弁するのは大臣ではなく、法案を提出した議員です。

自由民主党 勝目康衆院議員
「政策活動費の使途は項目別の金額を記載するとしている。個別に誰にいくら支出したかは公表されません」

政策活動費について、自民党の改正案では、50万円以上の支出について大まかな項目ごとに使った金額は明らかにすることにしました。ただ、実際にどこで何に使ったのか領収書は公開しないままです。

一方の野党。ほぼ全ての党が廃止の立場です。

日本維新の会 青柳仁士衆院議員
「『選挙関係費1億円』と書いても法律上は許容されるように読めるが」

自由民主党 勝目康衆院議員
「項目ごとの金額を公表することにしておりますので」

日本維新の会 青柳仁士衆院議員
「『選挙関係費10億円』と書いても法律に沿ったことになる。だから何も透明化されないんです」

立憲民主党 柚木道義衆院議員
「政策活動費を禁止することで具体的な支障が何かあるのか」

自由民主党 鈴木馨祐衆院議員
「どうしても公開になじまない、裏金とかではなくて公開になじまない支出があるのも事実」

■『政策活動費』その実態は

“公開になじまない支出”とは。かつての自民党中枢を知る、鈴木宗男参院議員が語りました。

無所属 鈴木宗男参院議員
「今でいう選対委員長をやっている時、当時は総務局長だったが、私は大きなお金は応援に行く時『党のお金』として持っていった。それは銀行からお金を運んで、経理局長のところで小分けにして渡すわけです。選挙の時は1000万きます。そんなのは遊説の車だとか、あるいはポスターだとかビラ代で、党から1000万2000万もらってもすぐなくなっちゃうんです」

鈴木議員は使途を公開すべきという考えです。ただ、表に出せない理由については、こう話します。

無所属 鈴木宗男参院議員
「選挙の際に、選挙強い人弱い人、もう一息だとか勝ちそうだという場合。その時、スズキ候補なら5000万も出している。ワタナベ候補には1000万だとなった場合(公開されると)あとでトラブルのもとになりますね。ここら辺は公平の原則でどこまで表に出したほうがいいか悩ましいところなんですよ」

ただ、政治に金が必要なのは自民党だけではありません。政治資金パーティーを禁止する法案を提出している立憲民主党。その幹部が6月にパーティーを開催することが判明しました。

立憲民主党 大串博志選対委員長
「(Q.定期の(パーティーを)開かないと事務所の費用は賄えないのか)今の私たちの事務所運営においては政治資金パーティーをベースとした運営をしています。しかし、政治資金パーティー禁止の法案が、政治全体で政治資金パーティーを禁止するという方向になれば、私たちもそれに合わせて事務所の活動を変えていくつもりです」

■『政策活動費』各党に“溝”

自民党派閥の裏金事件をきっかけに見直しが求められてきた『政策活動費』。今は使い道の公開義務がないため「何に使われているか分からない」「不正の温床だ」と問題視されています。各党はどう変えていくのでしょうか。

そもそも自民党は、参議院で単独過半数が取れていないため、改正案を通すには、他党との連携や協議が必要になります。

【自民党】
50万円を超えるものは項目別に支出額を公開。

【公明党】
明細書で使途を公開。

自民党の「項目別に支出額を公開」とは、例えば選挙関係費、組織活動費など、項目別の金額を公開する。つまり金額だけの公開で領収書の公開はなく、どこに支出したかも分かりません。

一方で、公明党は金額にかかわらず、細かく具体的に公開としています。同じ“公開”でも、与党内で考えが異なっています。

【立憲・国民・共産】
廃止。

【維新】
廃止したうえで、新たな制度を設ける。

新たな制度は『特定支出』制度というもので、支出の目的や年間総額を制限し、領収書を添付した報告書を作り、10年後に公開としています。

(Q.与党がまとまらない状態で委員会審議に入ることはあったのでしょうか)

大越健介キャスター
「まずない。自公の間では安全保障の分野のように意見の隔たりが大きいものもありますが、事前に何とか一致点を見つけて、政府として法案を提出してきました。今回は同意が得られず、自民党単独で提出というのは異例で、全く未知の領域に入っています」

報道ステーションでは18・19日に世論調査を行いました。

(Q.政策活動費について、どうする方がよいと思いますか?)
どのようなことに使ったか『調査研究』や『党勢拡大』など項目を明らかにする:19%
政策活動費自体を廃止する:30%
領収書などと共に全面公開する:47%

最も多かったのは「政策活動費自体の透明性を高めてほしい」という意見でした。

大越健介キャスター
「今回の政治資金規正法の改正では、政治活動費の透明化に加えて、政治資金パーティーや、企業・団体献金の存続の可否と言ったところに焦点が絞られつつあります。自民党が自分の案に固執すれば他党の協力は得られず、法案を成立させることができなくなる。一方で、今の案から譲歩することになれば、党内の反発が避けられない。すでに連立相手の公明党から突き放された形の岸田総理にとっては、政権発足以来の危機を迎えていると言ってもいいと思います」

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