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2025年2月4日 18:00

日米首脳会談 石破総理の戦略は? トランプ大統領に年内の来日要請へ キャップ解説

2025年2月4日 18:00

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 石破茂総理大臣は、今月7日に予定されている日米首脳会談で、アメリカのトランプ大統領に年内の来日を要請する方針であることが明らかとなった。今回の首脳会談について、テレビ朝日政治部・千々岩森生総理官邸キャップに聞いた。

■首脳会談実現へ 調整に奔走する当局者

 石破総理は、6日から8日にかけてアメリカを訪問し、現地時間7日にホワイトハウスでトランプ大統領との首脳会談に臨む予定だ。トランプ大統領は先月31日、日本に対し「日本をとても尊敬しているし好きだ。話ができることを楽しみにしている」と述べた。

安倍昭恵さんや孫正義氏との面会
安倍昭恵さんや孫正義氏との面会

 これまで石破総理とトランプ大統領との関係は、大統領選直後の電話会談が約5分のみで、大統領就任前の会談は見送られた。一方、昨年12月には安倍昭恵さんやソフトバンクグループ・孫正義氏がトランプ大統領と面会した。

 ロイター通信は「トランプ氏は日本との関係についてはほとんど言及していない。トランプ氏の『身内』とさほど親密な関係を持たない石破政権は米国の議員などに助言を求めている」と伝え、“調整がうまくいっていないのではないか”という見方もあった。

国家安全保障局の役割
国家安全保障局の役割

 実は、当局者らは首脳会談実現に向け奔走したようだ。大きな役割を果たしたのが、国家安全保障局だ。

 バイデン政権時代、秋葉剛男国家安全保障局長(当時)とサリバン大統領補佐官(当時)が度々会談し、信頼関係を構築していた。

 先月14日、国家安全保障局の岡野正敬局長とウォルツ大統領補佐官が、就任前の段階ながら会談した。

 さらに先月21日、トランプ大統領の就任式に出席するため訪米した岩屋毅外務大臣が、ルビオ国務長官と会談し、石破総理の訪米に向けた地盤を固めてきた。その結果、イスラエルに次いで2番目の首脳会談となる見通しだ。

 イギリスのBBCは、2017年に行われた安倍晋三元総理大臣とトランプ大統領との首脳会談は、イギリスに次いで2番目であったと報じた。

来日要請か
来日要請か

 今回の首脳会談では、石破総理がトランプ大統領に対し、年内の来日を要請する見込みだ。

■米への投資アピール? 日本政府の対策は

防衛費増額の動きも
防衛費増額の動きも

 トランプ政権が、日本の防衛費増額の動きを見せている。政府は日米首脳会談で、日米同盟の重要性を確認したい考えだ。

 一方、防衛費を巡り、さらなる増額を求められる可能性があると身構えているという。日本の関連経費を含む防衛費(2024年度)は8.9兆円で、GDP比1.6%だった。

 2027年度に目標のGDP比2%を実現した場合、約11兆円に達する見通しで、さらなる増額は日本政府にとって高いハードルとなる。

コルビー国防次官の影響力
コルビー国防次官の影響力

 防衛費に大きな影響を与える人物として、国防総省ナンバー3のコルビー国防次官が挙げられる。

 コルビー国防次官は、第一次トランプ政権時に対中強硬策を主導した。また、現在の国防長官と国防副長官は、国防総省に勤務したことがないため、“実質上のナンバー1”とみられる。

 なお、コルビー国防次官は就任前の昨年9月、自身のXに「中国の脅威を考えた場合、客観的に日本は防衛費を3%程度引き上げることが必要だ」と投稿した。

投資アピールか
投資アピールか

 千々岩キャップによると、防衛費増額の要求に対し、日本政府は次のような対策をとるとみられる。

 まず一つ目は「アメリカへの投資アピール」。実績を図で見せながら、日本がアメリカへの投資において5年連続でトップだと強調するとしている。

 二つ目は「装備品購入をアピール」。防衛費の中で多くのアメリカの防衛装備品を買っていると説明し、説得する方針だという。

■中国、アメリカの混乱を利用?

テレビ朝日 千々岩森生キャップ
テレビ朝日 千々岩森生キャップ

 トランプ大統領の対中政策に関して、中国はどう対応するのか。

新型コロナウイルス 宣伝利用も
新型コロナウイルス 宣伝利用も

 第一次トランプ政権時に中国に駐在していた政治部・千々岩キャップによると、かつて中国政府は第一次政権下のアメリカでの混乱を、中国国内向けの宣伝に利用したという。

 その一つが新型コロナウイルスだ。2020年、中国では感染拡大により、各地で政府批判が噴出した。一方、アメリカではトランプ大統領が過小評価し続けた結果、新型コロナ感染が急拡大した。

 中国政府は国営メディアを利用し、「中国では新型コロナは収まったのに、アメリカでは死者が激増している」と宣伝し、国民の不満をそらすことを図ったとみられる。

 もう一つは、人権問題だ。中国は2020年5月、香港国家安全維持法の導入を決定した。これを受けて、香港では反対運動が激しくなった。

 一方、アメリカでは、白人警官が黒人男性を押さえつけ死亡させたことを機に、人種差別反対の世論が沸騰した。

 これを受けて、中国の国営メディアは「アメリカは香港の人権問題を批判するくせに、自国で人権侵害をしているではないか」と一斉に批判した。

関税政策は中国の好機?
関税政策は中国の好機?

 こうしたなか、トランプ大統領は、中国やEU(ヨーロッパ連合)諸国に対し、高い関税を課そうとしているが、「中国にとってチャンス」という分析もある。

 EUのカラス外交安全保障上級代表は3日、トランプ大統領の関税政策について「アメリカとEUが貿易戦争を始めたら笑うのは中国だ」と述べた。

 さらにCNNは、カーネギー国際平和基金のトン・チャオ上級研究員の意見を伝えた。トン・チャオ氏は「トランプ大統領の高関税政策はヨーロッパで非常に不人気なため、中国にとってはヨーロッパとの強固な経済関係を結ぶ余地が生まれる」と指摘した。

習近平国家主席
習近平国家主席

 また、トランプ大統領が長年にわたりNATO(北大西洋条約機構)などの国際的な同盟関係を軽視する姿勢を示していることも、中国にとって都合がいいとされている。

 習近平国家主席は、グローバルサウスのリーダーとして、西側の支配と無縁の新たな世界秩序を打ち立てようとしていると伝えられている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年2月4日放送分より)

  • 今月7日に予定される日米首脳会談
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