自民党と日本維新の会が、連立に向けて16日から政策協議を始めます。一方で15日は、野党の3党首会談が行われましたが、連立の枠組みや基本政策などで折り合いませんでした。
連立協議へ駆け引き激化
「本日、東京での党首会談において、高市新総裁から、連立入りの打診と首班指名への協力要請がありました」
15日夜、日本維新の会の代表・吉村氏は、自身のSNSにこう投稿しました。
次の総理は誰になるのか?政権の枠組みを巡り、各党が目まぐるしい駆け引きを繰り広げています。
会談前には笑顔も見られ、和やかな雰囲気だった、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党による党首会談。
まず、立憲民主党の野田代表が口火をきったといいます。
「政権交代のチャンス」と訴える野田代表。
「野田代表から、こういう情勢のなかで野党一致結束して、この3党がある種心合わせができるならば、自公政権、公明党が離れましたけども、自民党ではなくもう一つの選択肢を示せるのではないかという趣旨の話があった」
この野田代表の話に、国民民主党の玉木代表は「慎重な姿勢」を示しました。
「確かに立憲、国民、維新、3党合わせると、その首班指名において高市自民党総裁を上回るのは確かなんですが。これ合わせてもですね、過半数にはいかないわけですから。少数与党政権が新たに生まれるということになりますので。233、衆議院でいうと233の過半数、また参議院ではさらにですね、過半数に至っていませんので。新たに仮にですね、私が内閣総理大臣に選ばれたとしても、その内閣が非常に政権運営が厳しい状況になるなと正直思いました」
選挙区調整は?1回生議員の思い
およそ1時間に及んだ立憲、維新、国民の党首会談。3党協議の行方をじっと見守っていたのは、立憲民主党の阿部祐美子衆院議員です。
都議会議員だった阿部議員は、去年行われた衆院選で東京3区から出馬。自民、維新、国民などと争い、落選したものの比例で復活当選しました。
立憲、維新、国民の3党連立となれば気になるのが、連立を組む政党の候補者同士が選挙区で競合しないようにする選挙区調整です。
「実際に候補者調整ということになるのであれば、う〜んどうでしょうか…ちょっとそこまで考えていないんですけど、私は今の地元(東京3区)にすごく愛着がありますし、調整の結果が『出るな』とか『他の所に行け』と言われたら、かなり悩むと思います。ただ今は、まだそこまで考える段階ではないと思っています」
15日の3党党首会談では、連立の枠組みや基本政策などで折り合いませんでした。
「まだ時間もありますし、1回や2回でまとまるような話ではないかと思います。その辺の駆け引きは、これからが主戦場ではないかと思いますので、いい形になってくれればいいなと、期待を込めながら見ています」
かつては同志も…今は「隔たり」
「民主党の四国の香川第2区の玉木雄一郎です」
野田氏の立憲民主党と玉木氏の国民民主党は、もともと民主党の仲間同士でした。その後、民進党へと名称が変わり…。
「内閣総理大臣を経験した野田元総理が、野党第1党の幹事長をするというのは異例のことだと思います」
野田氏が民進党の幹事長を務めていた時、玉木氏は幹事長代理を務めていました。
2016年9月に行われた民進党の常任幹事会では、野田氏は執行部席に。そして玉木氏は腕を組んで座っています。玉木氏の斜め前には、今は国民民主党・幹事長の榛葉氏の姿も。また別の日に行われた会合では、野田氏のすぐ後ろに玉木氏が座り、笑顔を浮かべています。
「しっかりとまとまってですね、与党に安倍政権に対峙(たいじ)していくことが大事だと思います」
「やっぱり強い自民党・公明党の連合軍に、しっかりと選挙に挑んで戦っていくためには、これは野党間の連携も不可欠ですね」
この時は同じ志を持って、与党と対峙していた2人でしたが…。
「我々から見れば依然隔たりがあるなというのが率直な評価です。野田さんはだいぶ近づいたと言っていましたけど、私は依然隔たりがあると…」
玉木氏は15日の会談を受け、何度も「隔たり」という言葉を口にしました。
「安保とかエネルギーとか、もろもろについては引き続き協議をしていくということが結論として申し上げることです。お互いに理解し合っていくならば、意思決定の工夫の仕方で政権運営ができると思っていますので、理解してもらえるような努力はこれからもやっていきたいと思う」
この2人の“やりとり”を目の前で見ていた維新の共同代表・藤田氏は…。
「きょうは、終始なごやかに非常に幅広に政策議論を含めてですね、意見交換をできたのは良かったなと。こういうことを多分積み重ねながら枠組みというのは決まっていくんだろうと思いますから、きょうは非常に実りある1時間の会談だったなと思う」
「(Q.合意に至る可能性は?)可能性は0ではないんじゃないですか」
「何度も申し上げている通り、譲る譲らないの議論ではなくて、立憲民主党さんの問題だと思うんですよ。政権を担う政党として、ある意味古い考え方とか政理から脱皮できるかどうかが、私は実は問われているのが本質的課題だと思っているので。ただ、きのうよりは、きょうのほうが良くなったなという気がしますが、まだ行くべき道は遠いなという感じはしました」
3党は、幹事長や国対委員長レベルで協議を続け、環境が整えば、再び党首会談を行なう方針です。
自民党の駆け引き…総理の座 切り崩しと連立
一方、自民党総裁の高市氏も同様に、各党との“会談”を行いました。
「きょうは他は?他の2党」
「なんとかアポ取りました」
「僕が最初?」
「最初です」
まず、立憲民主党の野田代表と会談。高市総裁は体調を気遣われる場面もありました。
「この間、我が党のこの部屋にあいさつに来た時に比べて痩せたんじゃないかと申し上げまして。やっぱりセルフコントロール、よく食べること、よく寝ることをやったほうがいいよと。総理になるような場合だったら、その前に衰弱してしまったらダメだよということだけは申し上げました」
「慌てず、慌てず。大丈夫ですよ」
続いて、国民民主党・玉木代表と会談した高市総裁。
「私のほうからは、きたる首班指名におけるご協力をお願い申し上げました。基本的にこれ、外交政策であり、また安全保障政策であり、またエネルギー政策であり、経済政策であり、いろんなことが一致点の多い政党だと思いますので。一緒に責任を担っていきたいは旨は、お伝えをいたしました」
そう伝えられた玉木代表はこう述べました。
「連立の打診だと理解しています。共に責任を担っていただきたい、首班指名も『高市早苗』と書いていただきたいというのは、そういう趣旨だと理解しています。公明党が抜けたなかで、我々加わっても過半数を形成する連立政権にならないので。あまり意味のある議論ではなくなってきたのかなと…」
維新と連立協議へ
そして高市氏が15日、最後に会談を行なったのは日本維新の会でした。そこには立憲・国民との党首会談の場にはいなかった、代表の吉村氏の姿もありました。
「高市新総裁から連立を含めた打診。そして連立を含む首班指名の協力への打診がありました」
高市総裁の打診に対し、吉村代表が出した答えが、事態を大きく動かしました。
「そして、それに向けた政策協議について、これから開始をするということを我々のほうから申し上げました。高市新総裁の熱量も含めて、本気度も含めて判断をいたしましたので、私どもも本気でぶつかっていくということになります」
吉村代表は自民党との連立も視野に、16日から政策協議を始めることを明かしました。
「『副首都構想』『社会保障改革』が2本の柱であると申しあげた。それについては、賛意を示して頂けたと思っています。人気のある政策ではないかもしれないけれど、僕は絶対に必要なことだというふうに思っています。高市新総裁も『それについては同じ考え方です』というふうに言っていただきました」
維新がかねてから掲げている「副首都構想」。これに高市総裁が賛同したといいます。
「きょうは副首都構想について話をいたしました。両党で政策の協議体をしっかりと作ってやっていく。来年の通常国会あたりを目指してやっていけたら…」
さっそく、16日午後に行われる政策協議には、自民党から高市総裁と小林政調会長、維新から藤田共同代表と斉藤政調会長が出席します。
「(Q.政策協議でまとまれば、首班指名で『高市早苗』と書く?)その考えでけっこうです。政策協議がきちんと合意がまとまれば、そういうことになると思います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月16日放送分より)