日本の城ランキング5位の大分県の岡城跡で、修復工事によって失われた風情を取り戻す作業が行われた。
響き渡るのはコンクリートを削る音だ。これで景観を取り戻すことはできるのか。大分県竹田市にある岡城跡。瀧廉太郎作曲「荒城の月」の舞台となった山城だ。周囲は見渡す限りの大自然。天守閣はすでにないが苔(こけ)むした石垣には1185年とされる創建当時の面影と800年余りの歴史が刻まれている。日本の城ランキングでは5位の人気だ。ところが…4年前の台風19号で石垣を支える岩盤が崩落。崩落直後の写真では、石垣がはみ出して宙に浮いている。問題は補強の仕方だった。土木工学や文化財の専門家の意見を聞いた結果だというが自然のなかにそびえるコンクリートにはやはり、唐突感は否めない。趣のある石垣の中に打ち付けられたコンクリート。やはり異物感があるということで地元の市民からも完成前に予想ができたのではという声が上がっている。11日は周りの景観になじませるための工事が始まった。工事はつるつるのコンクリートの表面を削り、でこぼこにしたうえでそこに栄養分の入った酸を吹き付け、苔やカビが繁殖しやすい環境を整えるというもの。あとは自然の力と時間の経過に期待といったところか。
広告