202年ぶりに執り行われた退位の儀式もすべて終わり、天皇陛下は天皇としてのお務めを終えられます。天皇陛下はどのような様子で儀式に臨まれたのでしょうか。
(横地明子記者報告)
陛下は「国民への深い信頼と敬愛」という言葉を発した瞬間、少し声が震えたように感じました。この30年余りで自分と国民一人ひとりの間に揺るぎない絆が生まれたことを心から実感されているのではないか、そう感じさせる儀式でした。張り詰めた厳粛な雰囲気で、陛下の所作を会場に集まった約300人がずっと眺めていました。「今日をもち、天皇としての務めを終えることになりました」。静かに宣言するように始まったお言葉。それは、国民への感謝へとつながりました。そして、陛下が使われた「深い信頼」と「敬愛」という言葉。この言葉は今から2年以上前、陛下がビデオメッセージで退位の意向をにじませた時にも同じことをおっしゃっていました。本当に心から思っておられるから、大事な最後の場面でも言葉にされたのだと思います。現場には、陛下の言葉を聞いて目に涙を浮かべる職員もいました。「新しい時代が平和であれ」、そして「ずっと皆の幸せを祈っている」、それが天皇として国民に対する最後のメッセージとなりました。
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