保育園のプールをボート代わりに 40人以上を救出[2020/07/10 12:21]

 熊本県球磨村では住宅街が冠水して住民が避難できなくなるなか、保育園の簡易プールをボートの代わりにして40人以上が救助されていたことが分かりました。現場から報告です。

 (社会部・金井誠一郎記者報告)
 球磨村の神瀬地区です。ほとんどの住民が避難しているこの場所では至る所で道路が陥没するなどして、近くの村役場から100キロ近く迂回(うかい)しなければこの場所にたどり着くことはできません。
 そして現在、自衛隊の隊員による木の撤去作業が行われています。この木というのは、球磨川の主流にあたるこの川に大雨の日に流れ込んだものです。そして、この大量の木が川の水をせき止め、隣にある住宅街に水が流れ込みました。4カ月の赤ちゃんを含む17人がこの近くの住宅の2階に避難したんですが、水がすぐに2階まで押し寄せて逃げられなくなってしまったということです。そしてその時、一緒にいた消防団の男性がオレンジの屋根の建物、高台にある保育園に園児用の簡易プールがあったことを思い出して、そのプールを同僚らに持ってきてもらって、それをボート代わりに使って水に浮かべて救助に成功したということです。
 住民を救助した上蔀忠成さん(46):「すごく早かった。水位の上がり方が半端なかった。浮くものって皆さんが言っていたので、ならプールしかないと思った」
 4日午前4時ごろの実際の救助の様子を映した映像です。大雨が降るなか、周りには濁った水が2階まで達しています。滑らないように屋根に布団や畳を敷いたうえで、保育園の簡易プールをボートのように使って住民たちが高台の方へ次々と救助されていきます。
 救助された天野恭平さん(22):「もう無我夢中ですよね。プールがなければ絶対に死んでました」
 この17人のほか、消防団の男性の機転によって屋根の上で救助を求めていた人など合わせて45人が救助されたということです。

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