音色で癒されて…塩害から蘇った「奇跡のピアノ」[2021/01/11 18:36]

 東日本大震災で被災し、砂や海水による大きなダメージからよみがえった「奇跡のピアノ」。11日午後に音楽会が行われ、明るい音色が響き渡りました。

 震災からまもなく10年を迎えます。津波や原発事故による影響で今も故郷に帰ることができない住民が多くいる福島県。

 いわき市は被災地としての側面がある一方で、避難した人が移り住む復興拠点でもあります。

 かつては海沿いにあった豊間中学校。東日本大震災の当日、ピアノの伴奏とともに卒業生の門出を祝った数時間後、津波に襲われました。

 その後、復旧作業中の自衛隊が目にしたのは砂まみれのグランドピアノ。隊員らは「思い出のピアノをがれきとして処理するのは忍びない」として、体育館にそのまま残していったというエピソードが伝えられています。

 そして、遠藤さんら、いわき市の調律師たちの尽力によって津波の塩害からよみがえり、奇跡のピアノとして注目を集めました。

 このピアノを奏でながら震災の記憶や教訓を思い起こすという活動が続けられています。

 感染症対策がしっかり取られた11日の音楽会では、豊間中学校の校歌も披露されました。

 奇跡的に音色を取り戻したピアノは今後も全国を回って演奏される予定です。

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