静かに「黙るもんか」 森氏発言へのサイレントデモ[2021/02/07 22:00]

森喜朗氏の女性蔑視ととれる発言は、国内外で波紋が広がり続けています。7日、国立競技場の近くでは抗議の“サイレントデモ”が行われました。

佐々木一真アナウンサー
「国立競技場のすぐそばにある日本オリンピック委員会の前では、森会長の発言に抗議するデモが行われています。コロナ禍ということで、声を出さずにプラカードを掲げるサイレント・デモだということです」
掲げるのはプラカードには「森 アウト」「We Wont Be Silent 黙るもんか」の文字が。参加者は、ソーシャルディスタンスを保ち、無言で訴えます。

デモ参加者
「とにかくダメなものはダメって言わないといけない。でも今、言うべき立場の人が言っていない」

「#ホウキデモ」で呼びかけられたこのデモ、ネーミングの由来はこの会見からでした。
森会長「皆さんが邪魔だと言われれば、おっしゃる通り“老害”が“粗大ごみ”になったのかもしれませんから、そしたら掃いてもらえばいいのではないですか。」

デモ参加者「謝ればいいみたいな、謝罪会見したんだし、もうこれではい、終わり!って。結局また何も変わらないんだろうなっていう絶望感というか、そういうのが漂っているような気がしていて、本当にその空気嫌だなと思って」

ネットでも抗議の署名活動が広がっており、13万人を超えています。

▽波紋は世界に
森会長の発言は、世界を駆け巡りました。
ロイター通信:「東京大会トップの森会長が性差別発言」
ワシントン・ポスト紙:「東京大会トップが女性は会議で話が長くて迷惑だと発言」
仏ヴァン・ミニュッツ紙:「日本の森元総理 時速320キロ級の性差別発言でスピード違反取締機が反応」

国連の女性差別撤廃委員会で委員を務める秋月弘子さんの元には、すぐに海外の委員から連絡が来たといいます。
秋月「委員から複数問い合わせがありました。日本で起こった翌日に英語の記事を送ってきてくれて、これはどういうこと、ヒロコ頑張ってと言ってくださる委員もあれば、今回は『女性が多いと会議が長引く』というお話でしたから、ある委員の方は、男性が真にジェンダー平等の意味を理解するまで、女性は話し続けるべきよっておっしゃっていました。」

東京五輪大会組織委員会のワーキンググループの座長で、ジェンダー平等に配慮した大会準備を進めてきた秋月さんは、森会長だけの問題ではないと話します。
秋月「国際的な感覚から言えば、ありえない発言だというのは事実だろうと思います。ただ、私は個人的に、森会長を批判するつもりは全然なくて、彼も本当のところ何で批判されているのかも分かってないのかもしれませんし、それがシニア日本人男性の平均的な理解なのかなぐらいには思っています」「私は女性ですけれども、やはり母から良妻賢母になるように教育を受けてきたわけですよ。自分自身も含めて、やっぱりこれまで伝統的な男性優位の社会で育ってきた“価値観”を“教育”を一人一人が振り返らないといけないと思うんですね」

▽ジャーナリスト・田原総一朗に聞く
国内外で、やまない抗議の声。しかし、4日の“謝罪会見”では‥

森会長:「辞任をするという考えはありません」
記者:いくつか伺わせてください。
森会長:「いくつかじゃなく、一つにしてください」
記者:オリンピック精神に反するという話もされてましたけども、そういった方が組織委員会の会長をされるのは適任なんでしょうか
森会長「さあ、あなたはどう思いますか」
記者:私は適任ではないと思いますが
森会長:「じゃあそういうふうに承っておきます」

逆風の吹き荒れる中、なぜ「続投」なのでしょうか。森会長を長年取材してきた、ジャーナリストの田原総一朗氏はこう話します。
田原:「あんなこと言ったら問題になるのというのは森さんだって分かっていたはずなのにね。何であんなこと言ったのかね」
「気の弱い人なの。気が弱いからああいう風に気が強いみたいな振る舞いをするのよね。本当は弱いから。森さんの家はね、完全なかかあ天下よ」
田原氏は、森会長に辞任を求めない政府やIOC側の姿勢をこう見ています。
田原:「菅さんがね、『森さん辞めろ』って言ったら、たぶん菅さんは総理大臣もたないと思う。つまり自民党の国会議員たちが、こんなこと言うなら総理ダメだ、と思うんですよね」「問題は、森さんがああいう発言したのにIOCが森さんは続けろと言ってるんだね。IOCが続けろと言っているから日本のオリンピックの委員会もみんな続けろということになっちゃう。だからIOCは森さん辞めたらオリンピックできないと思っているんじゃない」
「本人はね、本当なら辞任したいと思っているかもしれない。すっきりするもんな」

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