固い絆は10年たっても…釜石と渋谷 2つの「横丁」[2021/03/11 08:50]

 被災地、岩手県釜石市にかつてあった「呑ん兵衛横丁」。そして、東京・渋谷にある「のんべい横丁」。10年前の震災をきっかけに結ばれた両者の絆はコロナ禍の今もつながっていました。

 渋谷ののんべい横丁。先代から89年続く焼き鳥店を営む村山茂さん(72)。岩手県の釜石市役所から横丁宛ての義援金を受け取りました。「コロナに負けないで」。遠く離れた釜石から渋谷へのエール。これには訳がありました。

 震災当時、釜石市内で営業していた呑ん兵衛横丁は、跡形もなく流されるなど壊滅的な被害を受けました。

 震災を機に初めて存在を知った釜石の「横丁仲間」。いてもたってもいられなくなった村山さんは、被災した仲間のために渋谷の横丁の店から義援金を集めました。2011年の7月、それを手渡すために行った被災地で惨状を目のあたりにしました。

 村山さんはその後、義援金を携えて何度も被災地を訪れました。しかし、仮設店舗で営業を続けていた釜石市の「横丁」は次の移転先が見つからず、2018年に閉鎖されました。同時に村山さんの支援も終わりとなりました。

 そして去年、2つの「横丁」の絆をつなぎ止めたのは釜石市役所でした。職員らの有志から義援金を募り、15万円ほどが集まりました。そして去年10月、渋谷の横丁で村山さんに手渡されました。

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