“五輪期間中の中止も”“延期の可能性は0”組織委[2021/06/06 23:00]

「安心安全な大会」をどのように開催するのか?東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会の中村英正さんに聞きます。
中村さんはIOCなど海外との交渉、国や東京都との調整を担当。コロナ対策など大会の運営方針全体を統括する責任者です。

1大会関係者の行動はチェックできるのか?

Q.かなり減ったとはいえ、来日する関係者は8万人弱います。本当に管理できますか?
A.アスリートの方々は、まずそれぞれの国から日本に入ってくる前に2回検査を行って、空港で検査を行い、(日本に)入った後、毎日検査を行う。かつアスリートは8割を超える方がワクチンを打ってくるということなので、先ほどのVTRにあったようなことは起きない可能性が高いと思う。ただリスクは減っても0ではありませんので、いざ起きたときにどう対処するのか、非常に大きな論点としてやっていかないといけないと思っています。

もうひとつ、関係者についてですが、人数が多くてですね、我々が行っておりますのは、宿舎をなるべく集約化する、大きなホテルの中で1人とか2人とかしかいないと、なかなかその方々を管理・監督するのは難しいので、できるだけ1カ所に集めていただいて、それに加えて、それぞれ団体ごとに責任者を置かせていただくのと、自己責任だけではなかなか難しいので、第三者の目を使う、あるいはGPSといったテクノロジーも使って、最後はもし違反したら大会に参加できない、あるいは国外に出て行っていただくような厳しいサンクションを科すことで、全体として安全を守っていきたいと思っています。

Q. IOCの関係者、いわゆるオリンピックファミリーといわれる方々「オリンピック貴族」なんて言い方をしたりするが、この方々は本当に要請を聞いてくれるのですか?
A.貴族という言い方がはびこってますけど、まずIOCの関係者の中でも確かに今までの大会ですと、IOCの委員というだけで、あまり運営に直接タッチしていなくて、要するに観客のような方がいらっしゃいましたけど、そういう方は今回は遠慮願っています。IOCの中でも大会の運営に直接関係する人だけに特化しておりますので、そういった方にとっては、違反すると大会に出られなくなるのは非常に大きな抑制効果になりますので、聞いていただける。

3月の末時点でIOCの方も今まで奥様であるとか旦那様であるとか、配偶者の方が来るのが常例でございましたけど、そういうのはルールとして無くしましたので、かなり減ります。6月中に1回新しい数字を出します。また大会前に出して、着実に減ったという姿を示していきたい。

Q.観客は入れたいという方向なのですか?
A.そうはいってもやはり安全安心が大事だと思います。今問題になってるのは、海外からいくら人数おさえたとしても、国内で色んな人流があるんじゃないかということで。ラグビーのワールドカップのときもそうだったんですけど、観客とパブリックビューイング、あるい街中のスポーツバーの3つが大きなかたまりですので、それぞれ感染のどういう影響があるのか、シミュレーションして、安全を確保するための対策をとっていきたいと思います。

2大会開催中の中止はあり得る?

Q. 大会期間中に、感染状況がひどくなった場合、途中での中止はあり得ますか?
A. いろいろなリスクを考えなければならないと思っています。その上でコロナ以外にも、例えば台風が来たとか、地震が起きたとかリスク次第では、大会運営ができなくなることはあります。当然コロナも非常に大きなものになれば、それと同じような対応を取らなければいけないケースは想定しなけければならないと思います。

Q.コロナにおける大きなアクシデントというのは、何をもって言うのか。例えばレベル4のひっ迫状態になったとか、そういうことを組織委が主体的に考えて中止ということもあり得るのですか?
A. 緊急事態宣言においても、どういう条件下であればイベントをやって良いのかというルールがありますので、我々もオリパラも社会の1つの一員でありますので、そのルールに従って判断されるということです。

ルールがあって、そのもとで実際にどう当てはめるかは、最後はIOCとパラリンピックの場合はIPC。そして政府・東京都・組織委員会、これで協議して最終的に決めることになります。これはオリパラだけではなくて、すべての競技大会、基本的に大きな大会であれば、同じことだと思います。

Q.安心安全な大会の運営のために、大会の延期というのはありえるのでしょうか?
A. いまの段階で延期というのは可能性としては0に近いと思います。物理的に、なかなか難しいと思います。それであれば逆にできない状況であればもうやらないということはあるかもしれません。
Q.中止はあるかもしれないけど、延期はないと?
A.物理的に難しいと思います。

3なぜ今オリンピックを開催するのか?

Q.ずばり開催する意義は?
A. 困難な状況であることは皆さん一致していると思います。その中で二つの選択肢があって、困難だから諦めるという選択肢。一方で困難だからこそ、安全安心を確保して、地域の医療に迷惑かけない形で何とか頑張りぬくという選択肢もあります。
オリンピックもパラリンピックも社会の一員ですので、この社会がこの1年半何をしてきたか。コロナの大変な状況の中で何とか無駄なことをそぎ落として、大切なものだけを守って、やりぬいた、そういう社会だと思っているので、その一部であるオリパラも、何とかやり抜いてこのコロナに対して、日本が東京がどう立ち向かったかを、世界に示したいと思います。

もう1つは(陸上の)山縣選手みたいなですね、9秒95出していただいて、 ああいうアスリートに対して舞台を提供したいという率直な思いもあります。

6月6日『サンデーステーション』より

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