予報士のつぶやき 浮世絵にも描かれた大雨と洪水[2021/08/20 10:43]

東京・原宿の太田記念美術館で8月29日まで行われている「江戸の天気」の展示を取材しました。

この美術館は浮世絵を多数所蔵しており
浮世絵の企画展を定期的に行っているのですが
今回は「天気」をテーマにした展示です。
8月29日までは後期展示で57点が展示されていますが
コロナ禍であることから「オンライン展覧会」も実施しています。

浮世絵は江戸時代に成立した大衆メディアで、
1830年ごろから浮世絵版画に「ベロ藍」という青色絵具が用いられるようになりました。
それによって、美しくリアルな空や海の色が表現できるようになり
風景や天気を描いた浮世絵が増えていったそうです。

江戸から時代が明治に移り変わると、
水害を描いた浮世絵も多く登場しています。
『農林水産省百年史』によれば
1896年は全国的な水害年で、8月〜9月にはたびたび台風が襲来。
関東でも川の氾濫によって、東京の本所、深川、日本橋、浅草等まで、
床上浸水したのですが、まさにその洪水の様子、浅草付近を
描いた浮世絵(大倉耕濤 大洪水之図)が、展示されています。

当時より地球温暖化が進み、一度に降る雨の量が増えているとはいえ、
気象の予測技術は発達しているので、事前に台風の襲来を知り、
備えることが可能になっています。
実際に現代でも、9月〜10月ごろが一番の台風シーズンとなります。
今一度、防災用品や備えの確認をしておきましょう。

テレビ朝日気象デスク 千種ゆり子

参考文献
『農林水産省百年史』上巻 1979年3月25日発行 編纂「農林水産省百年史」編纂委員会

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