“もったいない”精神の商店街 SDGsに取り組み活気[2021/09/26 18:38]

 全国で初めて「SDGs未来都市」に選定された福岡県北九州市。人口減少に悩むなか、にぎわいを取り戻すことに成功したある商店街の挑戦とは。

 福岡県小倉駅前で、およそ160もの商店が軒を連ねる「魚町銀天街」。

 この商店街では今、全国に先駆けた、画期的な取り組みを行っています。

 その名も「SDGs商店街」。

 「持続可能社会」の実現に向けた、街を挙げてのプロジェクトは「内閣総理大臣賞」も受賞しました。

 果たして、その取り組みとは…。

 利用客:「毎日のように来るよ。新鮮な野菜が売っているから」「甘味が全然違う」

 新鮮野菜がズラリと並ぶこの青果店には“ある秘密”が。それは、味はおいしいのに“規格外”というだけで売られていなかった野菜を低価格で販売。

 しかも…。

 アルク農業サービス・永井洋介さん:「朝採れなので、朝採った野菜を夕食に食べたら本当おいしい」

 扱う野菜は、地元農家がその日の朝に収穫した“朝採れ野菜”。“地産地消”にこだわりながら“フードロス”も防いでいるんです。

 こちらの老舗茶屋では、なんと、お茶の“出がらし”をおいしく食べることができる「ポン酢」を開発。捨てるはずの食材を、大変身させました。

 そう、この商店街の取り組み「もったいない」がテーマなんです。

 大正12年創業の老舗・呉服店が扱う商品は、綿100%の「大判風呂敷」。素材が丈夫なので、「エコバッグ」としても活用できるんです。

 ゑり福・瀬口裕章社長:「やはり“もったいない”という理念(が大事)。何十年にもわたって使えます」

 職人が丹精込めて作った風呂敷を、色んな用途で末永く活用してほしい…それが店主の願いです。

 さらに、商店街が8年前から取り組んでいるのが“街ゼミ”。

 こちらの仏壇店では、お香を「香り袋」としても楽しめる技を伝授。

 こちらの若いエンジニアが企画したのは「空き缶」を再利用した「携帯用コンロ」でした。ごはんが、おいしく炊けるんです。参加したおじいちゃんも、思わず…。

 そして、商店街のシンボルとなっているのが、アーケードの接合部分に設置された、合計20枚の太陽光パネル。街灯の電力に一部使用しています。近い将来、商店街すべての電気を賄うのが夢なんだとか。

 この商店街が様々な取り組みを行うのは“切実な理由”がありました。

 魚町商店街振興組合・梯輝元理事長:「北九州の人口が段々下がってきた。商店街の店舗も閉まってきて、シャッター街になつつあった」

 今、北九州市で課題となっている人口減少による“シャッター街問題” 。

 総務省によれば、「人口減少数」は、全市町村のなかで、北九州市が「ワースト1位」に。

 この商店街でも、通行量はピーク時の4分の1に激減、一時は空きビルも目立つ事態に…。

 そこで行ったのが…ビルの「リノベーション」でした。若い事業者が、安い家賃でも出店できるよう、フロアを細かく分割。その結果…街が息を吹き返したのです。

 魚町商店街振興組合・梯輝元理事長:「非常に街自体が若返って、活気が出てきた。SDGsという目標に向かって商店街が一つになった。非常にやって良かった」

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