牛肉高騰、協力金終了…時短解除でも飲食“四重苦”[2021/10/24 22:30]

東京では、あす25日から飲食店への時短要請が解除されます。期待の一方、「四重苦」とも言えるいくつもの課題と不安を抱えるお店があります。一体何が起きているのでしょうか。

▽東京 新規感染者19人 約1年4カ月ぶり20人下回る
(佐々木一真アナウンサー)
今、速報が出ました。24日、東京の新規感染者は19人です。今年に入って最も少ない数字が出ました。20人を下回るのは去年の6月17日以来、およそ1年4カ月ぶりということになります。
(会社員 20代)
「急激に減りすぎているから、逆にそれでみんなの活動が増えちゃってまた(感染者が)増えるのも怖いのかな…」

東京でおよそ1年間続いた飲食店への時短要請。25日から認証店では同一グループ1テーブル4人までの制限は残りますが、営業時間の縛りは解除されます。
今年1月から取材を続けてきた、東京・鶯谷にある焼き肉店では…
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横山真悟代表)「時短解除はいいんですけど、10月(の宣言解除)から走ってきて不安は生まれましたよね…」
今月1日、緊急事態宣言が解除され、2カ月半ぶりに営業再開したこの店。開店直後にはほぼ満席にー
再開が週末ということもあり、上々の滑り出し。売上は時短営業にも関わらずコロナ前とほぼ同じ水準に戻ったといいます。
しかし、平日になると一転…
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横山真悟代表)「平日なんてもう全然ですよ人…全然です…」
「時刻は午後6時半です、お店を開けて1時間ほど経ちますがお客さんは2組しか入っていない状況です」
平日の客足が落ち込む中、追い打ちをかけるのが、協力金の終了です。
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横山真悟代表)「45万円の赤字が出ているんです10月で。(営業)20日間で45万円(赤字)ということは、一日2万円の協力金が入ってペイできるくらい。みんな多分不安だと思うんだよな。結構出てくるんじゃないかな。閉店する店が…」
この店では、客が少ない平日を休みにし、経費をおさえてきました。しかし、どうにもならないのは“牛肉の値上がり”です。
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横山真悟代表)「和牛の(仕入れ値)が5700円でアメリカの牛タンが5500円なの。(店では)上カルビは1200円取っているけど牛タンは600円で売っている。牛タンとか正直 値上げしたいもん…」
さらに今後、客足は戻るのか…見通しがつかない中でも、スタッフは確保しなければなりません。
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横山真悟代表)「今入っている(バイトの)子が11月でそこそこ出来るようになると思うので1カ月経てば…それに合わせて世間の流れも良くなってくれれば…僕が出来てもアルバイトがいなければどうにもならないので」
この日も出勤2日目の新人スタッフを指導します。
「E卓に七輪入ってないと思う」
アルバイト「はい、えーと…」
営業時間の延長は嬉しい一方、長く続いたコロナ禍で、人々の“外食離れ”の習慣が元に戻るのか…
(来店客)
「(時短解除は)うれしいですけど、ただ気は緩めないで楽しみたいという感じ」
人手不足、牛肉の高騰、協力金の終了、そして戻らない客足、 “四重苦”の中、時短解除の日を迎えます。
「(協力金を)もらい続けてきて正直ぬるい環境だったので確かに不安はあります。協力金が無かったら絶対に潰れているので…無くなったから辞めるとかではないです。またちゃんとやっていかないと。(あすからは)新規オープンみたいな気持ちです。不安とわくわくと…」

▽“路上飲み”もはや定着?「外の方がラク」
夜の街を見ると人が戻ったように見えますが―
(会社員 60代)
「宴会ないね。コロナの終息宣言が出てからだろうね、それまではちょっと自粛というか(宴会は)難しいみたいよ。昔の宴会のことを思うと寂しいけどね。」
(会社員 50代)
「外飲みは減ったね。意外と家でもいいじゃんて。テイクアウトでいいつまみ売ってるしさ。」
忘年会・新年会に関する調査では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていなくても、およそ7割の会社が開催しないとしています。
外食への自粛ムードは続きますが、この光景は定番となりつつあるようです。
(記者 鴇田明信)
「午後10時を過ぎた新橋なんですが、公園でお酒を飲んでいる人の姿が見られます」
宣言解除後も、街のあちこちで酒を飲む人たちの姿が―
(路上飲みをしていた人 30代)
「外で飲んだ方が楽ですね。店で飲むよりもこの辺で飲んで、さくっと帰れる、1軒目はお店で、2軒目的な感じで飲むなら外でもいいかなと」
コロナ禍でライフスタイルも変化。さらに、感染者数が落ち着いてきたとはいえ、飲食店の利用は、まだ不安だとの声も―
(会社員50代)
「(コロナは)完全に消えたわけではなくて、もしかしたら無症状の人がいるかもしれない。コロナのワクチンを打ってなくて、うつしてまた拡大したら、油断できないと思いますよ。」
(会社員50代)
「仕切りがあるとはいえ食事をしているので当然マスクもその間していないので、ちょっと気になるかな」

▽模索続く“ワクチン接種証明”の活用
東京都は、感染再拡大を防ぐため、同一テーブルに5人以上を案内する場合、飲食店に対して、ワクチンの接種証明などを活用するよう“推奨”しています。しかし、あくまで“推奨”で、対応は店側に委ねられた形です。
ダイニングバーのオーナーは―。
(ダイニングバー「変幻自在」湯川史樹オーナー)
「“推奨”という表現が非常に曖昧なので『どちらでもご自分(店)が決めてください』って言われている気がして、指針としてはどうなのかなと正直思いますね。」
店側が、客の接種証明などをチェックして、入店を断るのはハードルが高く、“推奨”では、効果的な対策となるのか不安も―。
一方で、接種証明をうまく活用することができれば、客の安心につながるとの期待も持っています。
この日、訪れていたのは、ワクチン接種証明アプリの開発業者です。
「こういう形で顔認証、顔で個人が認証できて、1回目と2回目それぞれの接種日がちゃんと書いてあって」
この民間発のアプリ「ワクパス」は、接種歴を表示するだけでなく、割引などの特典も受けられるもので、近日中にサービスを開始する予定です。
(アプリを開発したアイチェック 山口慶剛 取締役)「これまで面倒くさいといってワクチン接種をためらっていた方々の背中を押してあげて、社会全体としても接種率の向上を図ることを目的としている。」
接種証明の活用には、客からも期待の声が―。
(常連客 50代)「店に入っている人(客)が、そういうの(接種証明アプリ)を使っている人たちとなれば、飲んでいても安心感はあると思います。」
(常連客 30代)「ちゃんと対策をしている店だと分かるのは、店を選ぶ上でのポイントになる」
民間の取り組みが進む一方、国としては、まだ実証実験の段階で、ワクチン接種証明などをどんな場面で、どう活用するのか、決まっていません。
冬の「第6波」が懸念される中、感染防止と経済活動の両立のためにも急ぐべき課題です。
(ダイニングバー「変幻自在」湯川史樹オーナー)
「これからすごくコロナが増えてきても社会経済を回す世の中になっていくと思うが、店に来るモチベーションをどう生み出すかに関して、力になってくれるのではないか」

10月24日『サンデーステーション』より

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