備えよ「富士山大噴火」火山灰の脅威は首都圏にも[2021/11/04 18:20]

 富士山の噴火がいつ起きてもおかしくないと専門家が指摘するなか、日本初の試みが始まりました。首都圏にも降るといわれる火山灰の上を車で走れるのでしょうか。

 「富士山はいつか必ず噴火する」と専門家が警鐘。

 政府の被害想定では、大量の火山灰で都市のインフラや交通網が壊滅。首都圏での対策が急がれるなか、各地で斬新な取り組みが。

 東京・丸ビルなどでは、数億円規模の対策へ動き出します。来たるべく富士山の噴火に備えて今、私たちがすべきこととは。

 いつ起きてもおかしくない富士山の噴火。

 その備えとして地元では4日、「日本初」だという斬新な取り組みが。

 山梨県・長崎幸太郎知事:「火山灰が堆積(たいせき)した道路では、車両スタックにより走行の著しい制限が想定される」

 住民たちが参加したのは火山灰が堆積した時を想定した車両走行の体験会です。

 道路に敷き詰められた火山灰。実は、およそ300年前に富士山が最後に噴火した時に噴き出された実物です。

 山梨県火山防災対策室・関尚史室長:「今回、たまたま宝永噴火の火山灰を入手する機会があったので」

 中腹からの凄まじい噴煙は1707年、江戸時代中期の「宝永大噴火」を再現したCG映像。

 噴き出された火山灰は7億立方メートルで、実に東京ドーム565杯分にも上ります。

 宝永大噴火で空いたのが南東斜面の火口。9年前、この宝永火口を渡辺宜嗣氏が取材。

 300年以上、沈黙を続ける富士山。

 富士山噴火の専門家は、こう警鐘を鳴らします。

 山梨県富士山科学研究所・藤井敏嗣所長:「300年休んでいるのは、実は異常事態。300年前の最後の噴火のような爆発的な噴火をした時には火山灰が非常に高くまで1万メートル以上まで噴き上げる。そうすると必ず上空に西風があるので、それに運ばれて首都圏には数時間後には火山灰が降り始める状態が起こる」

 政府の想定では、噴火の2日後には関東の広い範囲に火山灰が到達。東京都心でも10センチ以上が積もります。

 被害想定では、積もった火山灰の影響で高速道路は通行止め。日本の大動脈はストップ。経済被害は最大で2兆5000億円にも上ります。

 こうしたなか、東京・丸の内にある高層オフィスオフィスビルでは…。

 「丸ビル」などを所有する三菱地所によりますと、丸の内付近のおよそ20棟では、平日に最大10万人が影響を受ける可能性があるといいます。

 三菱地所管理技術管理統括部・安達晋部長:「フィルターが火山灰で詰まってしまうと空調自体が全部止まってしまう。火山灰対策の時には定期的に替えられるよう、このフィルターの予備を少し多めにビルで用意しておこうと」

 さらに、屋上の排水溝が火山灰で詰まることがないようにふたを設置します。火山灰対策には数億円を投じるといいます。

 三菱地所三菱地所管理技術管理統括部・安達晋部長:「(火山灰が)固まると除去するのに工事して配管を取り替えないといけない。復旧に時間かかったりお金がかかる」

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