畑でエビ養殖!?休耕地増加や環境破壊憂い常識覆す[2021/11/14 18:25]

 千葉県鋸南町で、耕作放棄された農地などを活用してエビの養殖が行われています。なぜ農地でエビなのか。そこには環境問題に対する思いも込められていました。

 スーパーなどで、お手頃価格で買える「バナメイエビ」。日本で流通するエビのおよそ9割が輸入の冷凍品ですが、今月から「刺身でもおいしい」国産の養殖エビが味わえます。

 このエビが養殖されているのは、「日本初」だという、常識を覆す場所なんです。

 ここは房総半島の南部、千葉県鋸南町。向かったのは港からおよそ3キロ離れた内陸にある畑です。

 消毒してハウスの中へ。そこには、巨大な水槽が。バナメイエビの養殖です。

 8月にタイから20万尾の稚エビを輸入。

 先月、畑の水槽に移し、良好な健康状態で育ちました。

 そもそも、なぜ、畑の水槽で、養殖を始めたのでしょうか。
 
 Seaside Consulting・平野雄晟代表:「日本では近海で魚が取れなくなってきている。一方、農地は休耕地、耕作放棄地が増えている。『だったら、休耕地でやればいいんじゃないか』というのが最初の発想」

 高齢化が進む鋸南町…。農業の担い手が不足しているのが深刻な問題です。

 そこで、空いている農地を活用。護岸工事に使う、箱型の鉄製枠で囲い、遮水シートで覆って、水槽を作りました。

 ハウスと港を90往復して200トンもの海水を運んだといいます。

 バナメイエビを畑で養殖・平野雄晟代表:「両サイドから水を水中ポンプでくみ上げて浄化した水がまた戻ってくる」

 浄化槽で海水を循環させる持続可能な仕組みです。日本の高い技術で、環境に優しい養殖を実現。

 バナメイエビを畑で養殖・平野雄晟代表:「(Q.どういったあたりが環境に良い?)まず水を排水しないということ。原則排水しない。世界での養殖はほぼかけ流し、水を捨てて新しい水を入れるが汚水を自然界に戻すので環境負荷をかける。この場合はこの中で完結しているので環境負荷をかけない、一回入れた海水をずっと使える」

 専門家によりますと、外部から遮断されているためエビに対する病原菌が入り込まないといいます。そのため生でも食べられるエビが育ちます。

 新型コロナの感染者が減るなか、地元では、観光の目玉になることを期待しています。

 紀伊乃国屋amane・江澤秀和支配人:「バナメイエビを生けの状態でもらえるのは考えていなかった。本当にワクワクしている。刺し身やすしで生の状態で提供できたら喜んでもらえるかなと」

 日本で生まれた画期的な養殖エビ。今後は、海外からも注目されそうです。

 今、世界では、バナメイエビが主流で、生産の7割から8割を占めるといいます。

 ところが、養殖場の開発による環境破壊が起きています。

 熊本県立大学環境共生学部・堤裕昭教授:「過密に飼うと大量の餌(えさ)が消費されるので養殖場を汚してしまう。そうするとそこを放棄して隣を開墾して養殖場を作っていく。どんどんマングローブ林が開墾され続けた歴史がある。タイの例だと過去40年くらいの間にマングローブ林の面積が半減してしまった。タイだけでなく色々な国で同じようなことが発生してしまった」

 今回、日本で実現した循環システムのように、技術の向上が求められています。

 熊本県立大学環境共生学部・堤裕昭教授:「熱帯域の生産現場の技術もさらに向上させ、持続可能な生産体制を作るのは必要だと思う」

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