オミクロン“9割超”沖縄・玉城知事に聞く“感染急拡大”の現状は…[2022/01/05 23:30]

沖縄県では5日、全国で最も多い623人の新型コロナ感染が確認されました。

感染が急拡大している現状について、玉城デニー知事に話を聞きます。

(Q.前日の約2.8倍の感染者数となっていますが、どう受け止めていますか)

玉城デニー知事:「オミクロン株の感染力が強いため、沖縄県の疫学統計・解析委員会は去年の段階から、こういう数字になると言っていました。実際にそういう数字になった時には、流石に愕然としましたが、いよいよ来たかという気持ちになりました」

(Q.アメリカ軍基地内での感染が、今回の感染拡大の引き金になったと考えていますか)

玉城デニー知事:「去年12月17日に、県民一番最初のオミクロン株感染者となったのは、基地従業員でした。12月上旬に1000人規模の兵隊たちが、アメリカ本国などから沖縄入りしました。彼らは直接、嘉手納基地に入ってきてから、それぞれの部隊に移りますので、日本の検疫法でいうところのPCR検査などは受けずに、基地で一定程度、行動制限が掛けられていたらしいです。ところが、基地の中ではマスクもしていない。基地の中であれば、レストランであれ買い物であれ自由に動き回ることができる。さらに、基地の外に出る時もマスクをしていないことから、最初に害を被ったのは、アメリカ兵と仕事的に距離感が近かった日本人の基地従業員でした。そこから、基地従業員の家族、第三者といった形で伝ぱしていったというのが、解析委員会での分析の結果になっています」

(Q.沖縄県に大きく負担をかけている基地が、感染の温床になっていたとなると、複雑な思いがありますか)

玉城デニー知事:「地位協定の問題で日本の国内法が適用されない。基地はそれぞれの司令官が命令を出して、しっかりと行動を制限することができますが、それが沖縄や日本の現状と合わせた指揮を執っていなかったかったこと。基地従業員は沖縄県民ですから、普段通り、コミュニティーで生活をし、基地で働いています。そのコミュニティーと近い方々にまん延させてしまったことは、本当に忸怩たる思いです。ただ、この影響で、基地従業員や家族の皆さんが厳しい言葉を掛けられたり、病院で検査を控えるように言われたり、2次災害的なことが広がろうとしています。こういうことは絶対にやめなければいけません。コロナウイルス対策は一日も早く検査をして頂いて、発見したら療養につなげる、自宅などで待機して頂くなど、こちらから体制が取れるような方向で導いていきたいと思います。色んな差別や罵声などがあってはいけないと思います」

(Q.アメリカ軍の中での感染の詳細が伝えられなかったということがありました。日本政府の対応も含めて、どう見ていますか)

玉城デニー知事:「沖縄県は日ごろから、どのくらいの兵隊の数、軍属の数、家族の数がどのくらいいるのか、明確に情報を提供してくださいとお願いしていますが、平成24〜25年あたりから、全く出なくなってしまいました。基地の外で家族と生活しているアメリカ兵がどのくらいいるのかも、我々には分かりません。陽性者がどこの基地に何人いるのか、何人検査して何人陽性者が見つかったのか、そういう数字が明らかにならないと、私たち日本の法律で対応している側との情報格差、対応格差が出てしまっているという非常にまずい状況になっていると思います」

急拡大の要因の1つが、オミクロン株への置き換わりとみられます。国立感染症研究所でゲノム解析した、オミクロン株が疑われる症例数は、去年12月26日は15%でしたが、30日には97%と一気に増えています。

(Q.置き換わりのスピードについてどう見ていますか)

玉城デニー知事:「これまでのデルタ株は、1週間くらいで置き換わっていくということでしたが、オミクロン株は約2.8日と、3日かからずどんどん置き換わっているということと、発症も2.8〜3日と非常に早く症状が出てきます。症状が早いということは、感染も非常に早く広がっているということですから、このことも念頭にしっかり対応していかないと、後手後手に回っていきます」

(Q.感染者数の増加ペースについて、どんな見通しを立てていますか)

玉城デニー知事:「5日時点で623人ですが、今週中に一日の感染者数が1000人を超えると言われています。そういう数字が出ると、我々がレベルに応じて用意して頂きたい病床の確保数をすぐに上回ってしまいます。すべての方が入院できなくなると、自宅療養に切り替えるために人材が必要になってくるため、人材確保のために非常にひっ迫した状況を迫られると懸念しています」

沖縄県では、5日時点の病床使用率は、648床のうち152床の23.5%。重症病床使用率は、60床のうち19床の31.7%となっています。

(Q.これからの拡大を考えると、病床がひっ迫することを想定しなければいけませんか)

玉城デニー知事:「そういうことですね。そのためには、病院によっては、診療科目を休診して頂いて、コロナ対策のための人繰りをして頂くとか、沖縄本島北部は医療体制も脆弱ですので、総合的な調整はこれから頻繁に行っていかないとならないと思います。病院の医療現場でも、感染が拡大すると、濃厚接触者となって、現場から引き離されるスタッフが増えていくと思います。そうするとなお、医療現場はもちろん、保健所の対応でも、人数を集められるかどうかが重要なテーマになってくるだろうと思っています」

(Q.まん延防止等重点措置を要請する方針だということですが、6日に判断するということですか)

玉城デニー知事:「6日午前中に対策本部会議を開いて、まん延防止等重点措置に移行させて頂くということを決める予定です。そして、ただちに政府に要請を行い、対応についての準備をさせて頂きたいと考えています。期間は、おおよそ今月までは対応する様子を見たいのですが、置き換わりの速さや新規陽性者数、病床の占有率などの指標を見ると、今度は緊急事態宣言などの強い措置に移らざるを得ないことも想定して、準備をしていかなければいけないと思います」

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