2万人超“感染爆発”家庭内感染リスク3.2倍…家族が感染したらどうする?専門家に聞く[2022/01/14 23:30]

14日の全国の新型コロナ感染者数は2万2045人と、4カ月ぶりに2万人を超えました。東京では4051人の感染が確認され、広島や京都など9府県で過去最多となりました。

政府は14日、濃厚接触者の隔離期間を10日に短縮しました。

感染症対策に詳しい、大阪大学の忽那賢志教授に聞いていきます。

(Q.短縮の判断と10日の期間をどう評価していますか)

忽那賢志教授:「医療機関ではここ最近、感染者や濃厚接触者が増えて、病院の機能の維持がかなり難しくなってきていましたので、医療現場としては短くして頂いたことはありがたいと思います。10日という数字に関しては、専門家の提言はさらに短く『7日に短縮する』という内容だったので、それよりは長くなっています。医療機関においては、検査を組み合わせることで最短6日でも勤務可能となっていますので、検査の方に多少負担はかかってしまいますが、今の状況からは改善することが期待できると思っています」

(Q.感染は今後、どうなるとみていますか)

忽那賢志教授:「ここ最近の増え方を見ると、大阪府は1週間前よりも8倍に増えていたり、すごいスピードで増えています。東京都も来週には過去最多を超え、1万人を超える可能性もあるのではないかと思います。今回は、重症者があまり増えていませんが、軽症・中等症の病床が徐々に埋まってきています。沖縄や大阪もそうですが、医療従事者の濃厚接触者・感染者が増えて、病院の機能が維持できなくなるという問題も起きています」

(Q.忽那教授の病院でも厳しい状況ですか)

忽那賢志教授:「濃厚接触者が出て、検査をする機会が増えてきています」

(Q.感染者が増えると、自宅療養者も増えることになります。自宅以外でのケア、宿泊施設、野戦病院とも呼ばれる施設、対応の必要性について、どうみていますか)

忽那賢志教授:「原則、家庭内感染を増やさないためには、例えば宿泊料用、ホテルに行って頂く方が安全だと思います。大阪では現在、感染者が増えているため、重症化リスクがある人は宿泊施設、低い人は自宅療養で対応ということになってしまっています。自宅療養は、療養中にどうしても家庭内感染が起こってしまうことがあるので、感染対策にも注意して頂きたいと思っています」

(Q.自宅療養者が増えると、家庭内感染も増えやすいと考えていいですか)

忽那賢志教授:「診断がついた時点で、家庭内で広がってしまっていることも多々あります。ですので、自宅療養すること=家庭内感染が増えるとは必ずしも言えないと思います。ただ、診断された後に家庭内感染している事例も実際にはあるようです」

(Q.東京都の1月4日〜10日のデータでは、感染経路が同居つまり家庭内感染が49.4%と、半数近くを占めています。同居人から、つまり家庭内感染。感染力が強いといわれるオミクロン株だと、今まで以上に家庭内感染のリスクが高まっていると言えますか)

忽那賢志教授:「イギリスのデータだと、家庭内感染のリスクはデルタ株と比べて3.2倍多くなるというデータも出ています。そもそもコロナの場合は、症状が出る前から人にうつってしまうので、家庭内感染を防ぐのは非常に難しいです。一番大事なのは、感染した人としていない人の部屋を分け、接触時間をなるべく短くするということです。同じ空間にいる時間が長くなれば長くなるほど、感染リスクは高くなります」

東京都は、家庭内感染を防ぐためのポイントを8つ挙げています。

(1)部屋を分ける
(2)感染者の世話は限られた人に
(3)感染者・同居者は互いにマスク
(4)感染者・同居者は小まめに手を洗う
(5)日中はできるだけ換気
(6)手のよく触れる共有部分を掃除・消毒
(7)汚れたリネン・衣服を洗濯
(8)ごみは密閉して捨てる

(Q.マスクは24時間つけたままの方がいいですか)

忽那賢志教授:「感染者の方が別の部屋にいる場合は、ずっとマスクをつけている必要はありません。例えば、食事を感染者の所に届ける時や接する場合などには、お互いがマスクをつけるということで問題ありません」

(Q.食事は黙食よりも、食べる時だけマスクを外す方がいいですか)

忽那賢志教授:「食事は、感染した人としていない人が別々の場所でして頂いたほうが、安全かと思います。オミクロン株の場合は、鼻やのどなどでウイルスが増えやすいという結果が、実験室レベル、動物実験レベルの研究では出ています。これまで以上に、食事中の会話などで発生する飛沫によって、感染が起こりやすい可能性があります」

(Q.トイレは一緒で大丈夫ですか)

忽那賢志教授:「当初、トイレも危険だとよく言われていましたが、実際には便を介してコロナが感染するのは極めてまれだと言われています。それよりも、トイレのドアノブなどよく触る所を介して、接触感染が起こっていることがあります。ドアノブなどを触った後には、小まめに手洗いをするほうが大事かと思います」

(Q.家族全員が感染したらどうすればいいですか)

忽那賢志教授:「家族全員が同じオミクロン株で感染した場合は、お互いが感染しないようにという配慮は必要なくなりますので、周りの人にうつさないように注意をして頂ければ、家庭内では特段の感染対策は必要なくなると思います」

(Q.家庭内に感染者がいない場合でも、気を付けなければいけない感染対策を改めてお願いします)

忽那賢志教授:「家庭内感染を防ぐことはなかなか難しいです。感染者がいない状況で、家族同士でマスクをつけましょうというのは、なかなか現実的ではありません。大事なのは外から持ち込まないことだと思います。例えば、職場の休憩室や会食といった感染リスクのある場に特に注意をして頂いて、家にウイルスを持ち込まないことがまずは大事だと思います」

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