【開国】浅草に“横丁”誕生 進む観光地「新名所」作り 膨らむインバウンドへの期待[2022/06/12 22:30]

中国がゼロコロナ政策を続ける一方、日本では2年ぶりに外国人観光客の受け入れが始まりました。
ただ、条件付きの再開に敬遠する観光客も出てきています。

▽“都民割再開”初の週末 離島ににぎわい
Q.きょうのお目当ては?
「カメです。カメ。」
東京都でありながら雄大な自然を満喫できる、伊豆大島。
色とりどりの魚に…この日は、お目当てのウミガメにも出会うことができました。
(佐々木一真アナウンサー)「今あちらのピンク色の船です、東京からのジェット船がここ伊豆大島に到着しました。ご覧のように多くの観光客の方が島に降り立っていきます。」
「もっとTokyo」いわゆる“都民割”が再開して、初めての週末。島には、多くの観光客が訪れ、賑わいが戻ってきました。
「今こちらのホテルの最初の『もっとTokyo』の利用客の方がチェックインを行っています。」
(ホテル白岩 白井岩仁代表)「ワクチン3回接種の証明をご提示いただけますか?」
ワクチンの3回接種を終えたか、検査結果が陰性の都民が対象で、都内を旅行する場合に1人1泊あたり5000円が補助されます。
(もっとTokyo利用者)「5000円はかなり大きいんじゃないかなって。一人旅じゃこんな贅沢な所に泊まらないので。とてもいい機会だなと思いました。」
こちらのホテルでは、「もっとTokyo」の再開直後から予約が殺到し、
(ホテル白岩 白井きっこ女将)「本日の13時15分に完売終了いたしました。」
「こんなに早いとは予想していなかったですね。」
割り当て分は、すでに売り切れという盛況ぶり。
「島にぎり8貫です。」
伊豆大島では、東京の“島”限定のプレミアム付き旅行商品券「しまぽ通貨」も使えて、さらに3000円お得に旅行ができます。観光業の復活に、高まる期待。
(大島椿製油所 河津覚店長)「日本中、世界中にもっともっと(大島を)知ってもらって、海外のインバウンドのお客さまもぜひ、大島に来ていただきたいと思います。」

▽日本2年ぶり“開国”も海外客複雑
“インバウンド復活”に向けた動きも始まりました。10日、政府は外国人観光客の受け入れ手続きをおよそ2年ぶりに再開。
1日あたりの上限2万人で、「添乗員付きパッケージツアー」から解禁されます。ニッポンの”開国”にアジアの人々から熱視線が送られます。
(50代 男性)「入国禁止の前は、年に2、3回行っていました。入国できるようになったら、先陣をきって行きたい。」
(60代 男性)「入国再開と聞いてすぐに銀行へ行って両替をしました。(日本に)旅行に行こうと思って」
折りしも“円安”で絶好のチャンス、香港の旅行会社も期待を寄せています。
(EGLツアーズ 袁文英社長)「海外旅行の一番人気は、日本です。円安で日本へ行くと今お得です。高級なものを買えば買うほどお得感がします。私たちはちゃんと買い物の時間は用意しています。」
シンガポールでも予約が殺到しています。
(EUホリデーズ 黄耀雄セールス・マーケティング部長)「400人の予約がありました。日本は人気の国です。」
しかし、今、日本では外国人観光客の入国に“ビザ”が必要で、実際の来日は、早くとも6月下旬だといいます。
(EUホリデーズ 黄耀雄セールス・マーケティング部長)「コロナ前、シンガポール人は観光ビザが不要でした。今のままでは、規制が多く、面倒なため、日本行きを来年以降に延期する方もいます。日本に行きたい客が検査のいらない他の国に行ってしまいます。」

▽2年ぶり“開国”観光地で進む「新名所」づくり
とはいうものの、待ちに待った“インバウンドの復活”。東京・浅草では、外国人を呼び寄せる“新たな名所”作りが進んでいました。
(浅草横丁 滝柳開商店会長)「“浅草横町”という横丁をつくっています」
来月1日にオープンするのは、日本の“食”と“文化”が楽しめる“浅草横町”。一番の売りは…
施設内では、日本各地の“祭り”を体験することができます。
(浅草横丁 滝柳開商店会長)「浅草自体が今、盛り上がりがそこまでないので、海外のお客さんが来て盛り上がっていってくれたらなって思っております。」
今回、再開されたのは、「パッケージツアー」のみ。そのルートに入れてもらおうと旅行会社に猛アピールです。
(浅草横丁 滝柳開商店会長)「今回ツアーでしか(外国人)観光客のお客さんが取り込めないということなので、各社ですね、旅行会社の方々にメールを送っている最中でございます。7月1日オープンなので急ピッチでやらせてもらってます」

大阪でも…一見、普通のビジネスホテルのようにみえますが…11日、宿泊スペースとは別のフロアにオープンしたのは…
世界の競技人口、1億人以上、トッププロともなると数億円の賞金を稼ぐともいわれる「e−sports」専用の施設です。以前はレストランだったこのフロア。利用客は、ほとんど外国人の団体客だったといいます。
(ビルドアップ 後藤寛明社長)「(コロナに入ると)海外は全部ゼロ、国内もほぼほぼゼロですね」
「コロナで休業状態、時間がまあまあある中で、たまたまe−sportsの世界を知るきっかけがあって」
このフロアを全面改装しe−sports会場にしたのです。
(ビルドアップ 後藤寛明社長)「ゲームをされる海外の方が日本に泊まる際、どうせならゲームのできるホテルに泊まりたいなと思うきっかけになればいいかなと。」
大都市圏で高まる“インバウンド復活”への期待。しかし、今、国際線の運航は都市部の5つの空港に限られています。

▽ツアー限定“開国”に地方は複雑
その空港から遠く離れた地方では、限定的な“開国”に複雑な思いも…。
長野県茅野市の里山にある『ヤマウラステイ』。200年の長い歴史を積み重ねてきた柱や壁…古民家の風格や美しさを活かした「1棟貸しの宿泊施設」です。
(「ヤマウラステイ」を運営 ちの観光まちづくり推進機構 今井美香さん)「ここは元々、馬屋だった場所になりまして」
ダイニングキッチンは、かつての馬屋を改装。馬を繋いでいた金具なども、そのまま残されています。
(今井美香さん)「ここは元々インバウンド向けの施設でございますので、ちょっと高めの作りのキッチンになっています」
ワンランク上の贅沢な時間を求める個人客をターゲットにした宿。茅野市には、こうした古民家を改修した宿泊施設が4個所あります。さらに…
(地元に住む 清水寿美子さん)「一般では『えごま餅』って言いますけど『あぶらえ餅』って、この辺では呼んでいます」
こちらでは、郷土料理づくりなど地元の人々とふれあいながら体験することもできます。
(「ヤマウラステイ」を運営 ちの観光まちづくり推進機構 熊谷晃専務理事)「やはり外国人観光客の皆さん、日本文化を学ぶためにはですね、ちょっとお金を出してもという方たちをターゲットにしている」
しかし、今回の受け入れ再開は、添乗員付きのパッケージツアーに限定したもので、個人旅行の解禁はまだ先です。
(「ヤマウラステイ」を運営 ちの観光まちづくり推進機構 今井美香さん)「元々、個人客を対象としておりますので、団体は解禁になりましたけど、今後、個人のお客様、インバウンドの方がたくさん入って来て下さるのを期待しているところです。」
こうした中、茅野市が目指すのは、地域に根差した“旅のスタイル”の提案だといいます。
(「ヤマウラステイ」を運営 ちの観光まちづくり推進機構 熊谷晃専務理事)「これから(外国人観光客の)誘致合戦が進むと思いますけれど、私たちの地域でどういう気持ちでおもてなしができるのか、住民とともに考えて、地域力を発揮できる総合産業がこれからの観光なんだということを焦らず見失わないように考えていきたいと思っています」


6月12日『サンデーステーション』より

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