薬害C型肝炎の救済法に基づいて国などを訴えていた患者のうち、薬害を証明するカルテが残っていない患者10人が国などと和解しました。
厚生労働省などは、1964年から1996年に出血を抑えるための血液製剤「フィブリノゲン」を投与された人はC型肝炎ウイルスに感染した可能性があるとしています。
2008年に成立した薬害C型肝炎患者を救済する法律では、患者やその家族が医療機関の診療録「カルテ」などから薬害を証明する必要があり、これまでに裁判を通じて2477人が国と製薬会社と和解しています。(1月末時点)
一方で、「フィブリノゲン」の投与を記載したカルテが残っていない患者もいて、8都道府県で766人が裁判を起こしていました。
弁護団によりますと、このうち7割から8割が出産に伴う大量出血で「フィブリノゲン」を投与されたとみられますが、これまでに68人しか和解に至っていないということです。
こうしたなか今年5月、東京地裁はカルテが残っていない患者10人について「帝王切開による出産後、大量に出血したことが母子手帳に記載されていることなどからフィブリノゲンが投与されたと認められる」などとして薬害患者であると新たに認めました。
東京地裁の判断を受けて今月5日、国と製薬会社がこの患者10人に対し、1人あたり1200万円から4000万円を支払うことで和解が成立しました。
弁護団は「これまで和解が成立した患者のデータを分析し、薬害を証明するカルテや医師の証言がなくても薬害を受けたと認定できるよう法律を改正してほしい」と訴えています。
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