怒りの矛先なぜ母親ではなく安倍元総理に?容疑者の心理を分析[2022/07/23 22:30]

安倍元総理を自作の銃で撃ち、殺害したとして逮捕・送検された山上容疑者。
事件当時の刑事責任能力を調べるため、「精神鑑定」の実施が認められたことが関係者への取材で新たにわかりました。

なぜ犯行に至ったのか、本人のものとみられるツイッターの投稿などから犯罪心理に詳しい碓井真史教授と分析します。

新潟青陵大学大学院 碓井真史教授)「非常に大きなこと目立つ派手なことをすることによって社会にインパクトを与えようとしている」

▼”宗教団体への恨み”がなぜ安倍元総理に?

山上容疑者の新たな供述も明らかになりました。

山上容疑者)「仕事をやめて所持金が尽きた。死ぬ前にやろうと決心した。」

事件1カ月前の先月上旬、山上容疑者は所属する派遣会社を自己都合で退職。その後、仕事に就かない状態が続いていたといい、数十万円の借金があったこともわかっています。
母親が入信する宗教団体への恨みがあったとされる中、“生活苦”が最後の引き金になったのでしょうか。

碓井真史教授)「大抵の場合は直接のきっかけがあるんですね。これ以上時間が経ってしまっては、自分の思いを実現することができない。”今しかない”という心理状態になるということが多い」

山上容疑者のものとみられるツイッターには、安倍元総理への“賛同”も多く投稿されていました。それが一転、銃撃に及んだ心理については…

碓井真史教授)「安倍元総理は容疑者にとって頼りになる存在であったはずなのに、それなのに統一教会に協力的なこともしていたという愛と憎しみが交じりあってるからこそ、殺意まで至るほどの強い憎しみに育っていってしまったのかなと思います」

“社会にインパクトを与えたい”という心理も読み取れるといいます。

碓井真史教授)「ツイートの中で革命をイメージさせるような言葉とか音楽とかが出てきたかなと。教団をこの社会を変えなくてはいけないという思いが出てきたような気がします。そうするとやはり”派手なことをしなければいけない”と」

▼母親への”複雑な感情”とは

そして、碓井教授が注目したのは、山上容疑者の母親への複雑な感情です。

山上容疑者のものとみられるTwitter)「常に母の心は兄にあった。」「オレは努力した。母の為に。」「オレは作り物だった。父に愛されるため、母に愛されるため、祖父に愛されるため。」「何故に母は兄のため、オレを生贄にしようとするか」

碓井真史教授)「単純に考えればお母さんが多額の寄付をしてしまった訳なのでお母さんを恨み、お母さんをなじっても良いはずなんです。でも彼にはそれができない。お母さん自身を憎み切れないのではないか。本当は良いお母さんのはずだったのにそれをこんな風にしてしまったのは、全て統一教会が悪いのだと思ったのでしょうね」

サタデーステーション 7月23日OA

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