日本の感染者3週連続で“世界最多”の理由 緩和加速する世界との違いは?専門家解説[2022/08/12 23:30]

12日はお盆で祝日明けということもあり、新型コロナ感染者数が過去最多を更新した都道府県はありませんでした。ただ、重症者は637人と、第7波での最多を4日連続で更新しています。

これまでの第5波・6波と比べると、重症者数は少ないですが、気になるのは死者数の急増です。9日には一日で278人の死亡が確認されました。重症者数のわりに、なぜ死者数が増えているのでしょうか。

埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「今は持病が悪くなる。例えば食事が取れなくなって、水も飲めなくなって、腎臓が働かなくなる。肺炎がなくても、軽症の状態で、そのまま亡くなってしまう。今回の第7波に関しては、重症に該当した方は全員救命できている。死亡者は軽症・中等症から出ていて、重症からは出ていない」

国の基準では、人工呼吸器やECMOを使用しているか、ICUなどで治療している患者を“重症者”と定義しているのですが…。

埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「重症者の数で医療現場を判断されると、手遅れになってしまう。定義自体を変えて、今ワクチン接種が進んだ状態で、医療現場にどういう方が入院し、医療負荷をかけてるのかを評価した、新しい分類で重症者数をカウントしなければ分からない」

加藤新厚労大臣は引継ぎ後、初めての会見を行いました。

加藤勝信厚生労働大臣:「(Q.重症者や死者が急増する懸念が示されているが、医療体制がひっ迫するなか、具体的に死者数を抑える対策は?)まず4回目の接種の促進。高齢者施設を守っていく意味で、集中的な検査や感染管理。国と地方が連携して機動的・重点的に取り組むことが基本」

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国内で死亡者数が増えるなか、世界と比べて日本の感染者数も増えています。

日本は7月に入って急増していて、WHO(世界保健機関)の今週の発表では、3週連続で世界最多となっています。なぜここまで増えているのでしょうか。

大阪大学医学部・忽那賢志教授:「アメリカでは今年2月時点で、約73%の人がオミクロン株への免疫ができていたという試算もあります。一方で、日本では、第6波でオミクロン株(BA.1、BA.2)に感染した人が少なく、免疫を持っていないので、BA.5に多くの人が感染しています。また、日本との検査数の違いや、ワクチン接種後の時間経過による予防効果の低下も理由に挙げられます」

世界では緩和の動きが加速しています。アメリカのCDC(疾病対策センター)の新しいガイドラインでは、感染者と接触した人でも無症状の場合は「隔離は不要」としました。

感染者と接触した人は、無症状であれば隔離の必要はなく、最後に接触してから5日間あけて検査をして、10日間は高性能マスクを着用することを推奨するということです。

日本では、濃厚接触者は基本的に「5日間待機」となっています。

大阪大学医学部・忽那賢志教授:「感染者が増加している国では、接触歴不明の感染者が多いため、濃厚接触者を隔離する必然性は低くなります。実際に陽性者の数を見ても、濃厚接触者より、接触歴不明者のほうが多くなっています。感染していた場合、時間が経ってから陽性になる場合もあるので、アメリカのように『5日目の検査』は有用。日本の『5日間待機で、検査なし解除』は、陽性者を取りこぼしている可能性もあります。一方で、5日間待機も求めていて、感染を抑え込むにしても、経済を回すにしても中途半端な対策になってしまっている」

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