12月には8割がケルベロスに?コロナ新株に効くのは…第8波はどうなる[2022/11/15 21:11]

 「12月には8割がケルベロスに?コロナ新株に効くのは…第8波はどうなる」
 2カ月ぶりの1万人超え…。15日、東京で新型コロナウイルス新規感染者が1万1196人となり、9月14日以来、1万人を上回った。北海道では先週から過去最多の更新を繰り返し、この日初めて1万人台となった。

 海外で増えている「グリフォン」や「ケルベロス」と呼ばれる新しい変異株は、日本でも置き換わりが進むと見込まれる。

 第8波はどんな規模なのか。全貌(ぜんぼう)が分からない変異株にワクチンは効くのか。専門家に聞いた。

 「グリフォン?ケルベロス?国内でも確認!新たな変異株とは…」
 東京都の新規感染者は直近7日間の平均を前週と比べると約1.3倍となった。各地で増加傾向になるなか、「すでに第8波に入っている」とする専門家もいる。

 そんななかで気がかりなのが、海外で広がっている「変異株」の存在だ。

 ウイルスは生き延びていくために、変異を起こしながら姿を変える。海外で新たに広がっているのは、オミクロン株の系統から新たに生まれた変異株。

 注目されているのは、フランスでは50%以上、アメリカ・ニューヨークでは20%ほどを占める「BQ.1」系統の株と、シンガポールやインドで70%ほどを占める「XBB」系統の株だ。

 「BQ.1」からさらに変異した「BQ.1.1」は「ケルベロス」とも呼ばれている。オミクロン株「BA.5」から複数の特徴的な変異が見られ、ギリシャ神話に登場する一つの体に3つの頭がある怪物の名が付けられた。

 一方、シンガポールなどで主流となっている「XBB」系統は、「BA.2」から派生した2つの異なる系統が交わってできたことから、神話に登場する上半身がワシ(あるいはタカ)で下半身がライオンの架空の生物「グリフォン」と呼ばれている。

 大阪大学の宮坂昌之名誉教授は、これらの変異株はこれまでよりも「免疫をすり抜ける力」が強いと分析する。日本国内でも「BA.5」から置き換わる可能性はあるという。

 最新の報告では日本国内ではオミクロン株の「BA.5」系統が96%を占めているが、今月9日の厚労省の専門家会合では10月中旬の段階では約1%しかない「BQ.1」系統が、このペースで増え続ければ11月1週目で約10%、さらに12月1週目には約80%になるという推定値が発表された。

 厚労省の専門家会合は、今後複数の変異株が混在したまま流行することも考えられるとの見解を示している。

 一方、海外では一時的に増えた入院患者がすぐに減少傾向になるなど、変異株は「重症化はしにくい可能性もある」ともされる。

 「今後の感染対策…ワクチン追加接種の効果は?」
 宮坂名誉教授は「第8波」の拡大を抑える鍵は2つあると話す。「ハイブリッド免疫」と「ワクチンの追加接種」だ。

 「ハイブリッド免疫」とは、コロナ感染による抗体と、ワクチン接種による抗体の両方を持っていることで、この免疫を持っている人の割合が多ければ、第8波を低く抑えられるとしている。

 もう一つの鍵とされる「ワクチンの追加接種」だが、日本国内で9月から始まったオミクロン株対応ワクチンの接種率は全人口の約10.4%にとどまる(15日時点)。

 政府は第8波に向けて年内に希望者に接種を終えたい考えだが、再び感染が拡大し、見通しは暗くなっている。

 宮坂名誉教授は「変異株への置き換わりがあっても、ワクチンの追加接種はそれなりの効果がある」とする。

 ウイルスの変異が繰り返されるなかでも共通する部分が残っていて、複数回ワクチンを打つことで、その共通する部分への抗体ができることがあるという。

 宮坂名誉教授は「政府はしっかりとデータを示して、ワクチン接種のメリットをもっと国民に説明していくべきだ」と話す。

(社会部・厚生労働省担当 栗原伸洋)

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