【報ステ】「心がつながる」障害者の“新たな働き方”コーヒーで切り開く『未来』[2022/12/08 23:30]

今週は障害がある人への理解を深め、社会参加を応援する『障害者週間』です。

障害のある人がどう働き、どう自立していくのか。そのヒントを探ります。

障害者がコーヒーの抽出技術を競う、バリスタの全国大会『第2回 CHALLENGE COFFEE BARISTA』が今年10月に開催されました。

働く場として、コーヒーを選ぶ人が増えています。

大会に出場した就労継続支援B型『キャンバス』を訪ねました。

本格的な焙煎機を使ったコーヒー。『キャンバス』は、障害者の自立を促す福祉施設で、コーヒーの加工から販売までを引き受けています。

3年前から通う、泉健斗さん(22)。バリスタの大会にも参加していました。

泉健斗さん:今はモデルをやってます。キャンバスで働きながら、モデルをやっています。

軽い知的障害がある泉さんは、決めたことを途中で変えることが苦手です。

以前、勤めていた飲食店では、うまく馴染めませんでした。

自分に合った働き方はないのか。悩むさなか、コーヒーに出会いました。

泉健斗さん:コーヒーの香りの中で仕事ができるのがいいな。自分でお店をできて、モデルもやりたいなと思って。

毎日、コーヒーと共に生活を送るうちに、いつしかカフェを開くことが目標となったのです。

今は、焙煎の勉強をしています。

焙煎士:どんな匂いがしますか?

泉健斗さん:いい匂い。

焙煎は一般的に、強火で短時間焼くと、豆の個性が出やすく、逆に時間をかけると、軽くてマイルドな味わいに仕上がります。

泉健斗さん:先ほどより(香りが)強くなってきましたね。

コーヒー作りでは、集中力のほか、匂いや音など感覚も重要です。簡単な仕事ではありません。

障害がある人たちのなかには、五感を研ぎ澄ます、こうした作業が得意という人もいるのです。

泉健斗さん:(Q.今は何をしているんですか)ハンドピックです。ダメな豆を取っています。たまに石とか入っています。困っちゃいます。

欠けたり、焦げすぎたりしている豆を取り除くハンドピックも、コーヒーの味を左右する重要な作業。時間はかかりますが、集中力が持続できる泉さんは、仕事を正確に行います。

『キャンバス』サービス管理責任者・望月導章さん:確かに非常に良いものができあがってくる。コツコツきちんとやっているところが、良い製品になっていくことは当然あると思います。

障害者の自立を促す、就労継続支援B型は、一般企業で働くことの困難な人が主に利用しています。

障害や体調に合わせて、自由に働くことができますが、その分、対価はどうしても抑えられてしまいます。

給与にあたる工賃の全国平均は、月に1万5000円ほど。時給にすると222円です。

望月導章さん:B型の課題は工賃。安定的な販路を作っていって、仕事が大好きな彼らに、十分な仕事が与えられるような展開ができたら良いなと願っている。

コーヒーを始めて5年目。売上も徐々に伸びてきました。

この日は、中学校の特別支援学級へ。

『キャンバス』で働く、見原弘高さん(47):(Q.仕事をしてみて、やりがいのあったことはありますか)まあ忙しい時もありますけど、ゆっくり丁寧に落ち着いて作業すれば、きっと良いことがあります。

コーヒーがきっかけで広がる、人とのつながり。

泉健斗さん:きょうはめちゃくちゃ良かったです。やっぱみんながいるから、キャンバスのみんながいるから、心がつながっている。

販売会では、ドリップバッグ30セットが、わずか数分で売り切れました。

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