娘の海外心臓移植 1カ月待たず5.3億達成[2022/12/12 16:13]

 1歳の女の子の海外での心臓移植に必要な5億3000万円の募金が1カ月足らずで達成されました。一方で、日本国内では、深刻なドナー不足が続いています。

 埼玉県の病院に入院している佐藤葵ちゃん(1)は重症心不全を抱え、補助人工心臓などを着けて生活しています。感染症などのリスクがあり、両親は、交互に病院で寝泊まりしながら葵ちゃんに付き添っているということです。

 国内での心臓移植手術には長い待機期間が見込まれることから、海外での移植を目指していますが、保険が適用されないうえ、円安の影響で高額な医療費や渡航費はさらに高くなり、費用は5億3000万円ほどに跳ね上がりました。

 昭一郎さん:「5.3億というとんでもない金額、家族だけどうにかできる金額ではなく皆様にお願いせざるを得ない心苦しい状況です。ただ親としては娘の命を救いたい思いが強い。誠に勝手なお願いでありますが、ご支援ご協力よろしくお願い致します」

 先月14日、両親は募金活動を始めました。都内の街頭での募金活動のほか、両親の故郷の東北でも必死に呼び掛けを行いました。

 その結果、支援の輪が広がり、今月12日、1カ月足らずで募金額は目標の5億3000万円を超えました。両親は、「『大丈夫だよ』『頑張れ』『応援しているよ』」という沢山の言葉に、想いに、支援をお願いしている立場でありながら、ひたすらに励まされ続けて今日という日を迎えました。皆様に頂いた力で、葵の命をつないでいきます」と感謝を述べました。

 家族は、早ければ来月末にもアメリカに渡り、移植を待つ方針です。

 葵ちゃんの担当医・戸田医師:「やはりどうしてもドナーが少ないというのが、圧倒的に少ないというのが日本の現状になりますから。移植ってなると少しハードルが高いものという風になってしまっているのが現状ですね」

 募金達成の一方で、国内の移植を取り巻く環境は厳しいままです。

 2010年に改正臓器移植法が施行され、15歳未満の子どもから脳死臓器提供が可能になりましたが、今もドナーは足りておらず、国内で心臓移植を待つ10歳未満の子どもたちは44人となっています。

 葵ちゃんの担当医は、国内での移植へのハードルの高さを指摘しています。

 戸田医師:「臓器移植という言葉だけがイメージがよくないということもあるので、現実に救われている子たちをより知って頂けると勇気のあるドナーさんのおかげで成り立っている医療なので、もっと知らせていきたいなということがあります」

 日本は世界的にもドナーが少なく、人口100万人あたりの臓器提供者は、日本が0.62人なのに対し、韓国はおよそ14倍の8.56人、アメリカはおよそ68倍の41.88人です。

 12月12日現在、目標金額設定時の1ドル148円よりも円高になっているため、当初の目標金額よりも必要な費用が少なくなる可能性があります。

 募金に余りが出た場合は、海外での移植を希望する別の子どもたちに渡す方針となっています。

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