新宿御苑に除染土…「どこかがやらなきゃ」「納得できない」「国会で議論すべき」[2022/12/22 01:15]

 21日に行われた、環境省による新宿御苑での除染土の再利用実証事業に関する住民説明会。参加した住民からは、実証事業の必要性は理解しつつも「なぜ目の前なのか」など戸惑いの声も上がりました。

 東京電力・福島第一原発の事故の除染作業で出た土は、「除去土壌」や「除染土」と呼ばれ、国は放射性物質の濃度が基準値を下回るものは公共工事などで再利用する方針です。

 環境省は除染で出た土の再生利用の安全性を確かめる実証事業を新宿御苑の管理事務所付近の一般の人が立ち入れない空き地で行う予定です。

 住民説明会には実証事業が行われる新宿御苑に隣接する地区およそ550世帯のうち、28人の住民が参加しました。

 説明会の周知は地域にある掲示板のみで行われ、事前予約制でした。説明会は冒頭のみ撮影が許された以外は非公開でした。

 説明会に参加した住民は…。

 ◆79歳の女性:「納得はしないけれども意味は分かる。ただ、必然的に汚染されたものが来ることに関する違和感はある。55年住んでいてこんな事が起きるとは思わなかった」

 ◆81歳の男性:「丁寧な説明だったと思う。どこかがやらなきゃしようがない。新宿が協力出来るのであればしたい」

 ◆60代の女性:「納得はできません。安全が福島県内で実証されているならば持ち出さなくていいのでは。新宿御苑が好きで、この場所に住み、子育ても介護もしてきた。実証事業の場所はすぐそこ。こんなに広い場所でなぜここなんだろうと」

 会場の外では実証事業に反対する都民ら20人ほどが集まり、抗議の声を上げ、1600人分ほど集まった反対署名を環境省の担当者に手渡していました。

 事業に反対する都民は…。

 ◆「放射能汚染土持ち込みヤメテー」というプラカードを持っていた女性:「近くに住んでいるが、説明会の範囲外だった。説明会があったらもちろん行く。ちょっと狭すぎる」「(Q.福島の大量の除染土どうすべき?)それは私たちが考えることなのか?国と東京電力に考えて頂きたい」

 ◆「もっと広く説明会を」というプラカードを持っていた女性:「大久保のほうに住んでいる。9日に発表があってから説明会までの期間が短い。説明が足りなさすぎる。まずは国全体で除染土の再生利用について国会で議論すべきでは」

 計画では、福島県の中間貯蔵施設から運んだ基準値を下回る除染土を深さ1メートルほど掘った穴におよそ10トンを入れ、別の土で覆い、花壇を造成して、周辺への影響などを調べます。

 実施時期やかかる費用などは明らかにしていませんが、実証事業が終われば土は再び福島に持ち帰るとしています。

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