銚子電鉄“再びピンチ” 救ったのはローカル鉄道“同士の絆”…開業100周年コラボも[2022/12/23 16:18]

 千葉のローカル鉄道「銚子電鉄」第9弾。クリスマスを控えるなか、“限界鉄道”の銚子電鉄に、またもやピンチが訪れた。

■社長おすすめ「本銚子駅」 「清愛橋」イルミ

 銚子電鉄・竹本勝紀社長:「きょうは、普段とは違った光景を楽しんで頂きたいと思いまして。ほぼすべての駅で、このようなイルミネーションを施しております」

 千葉県のローカル鉄道・銚子電鉄。クリスマスを前に、イルミネーションに彩られた駅の中でも、竹本社長が一番のおすすめという駅が「本銚子駅」だ。駅の上に架かる橋には、ひと際目立つイルミネーションがある。

 竹本社長:「名前が『清愛橋』という、ピュア・ラブと。恋人たちの聖地になったらいいなという思いで」

 線路を境に、向かって左側が「清水町」、右側が「愛宕町」だ。それぞれの頭文字を取って「清愛橋」と名付けられ、「銚子の町が少しでも元気になるように」と銚子電鉄の職員が飾り付けたという。

■不具合も…“ローカル鉄道同士の助け合い”解決

 順調に進んでいるかと思われた矢先、思わぬ事態が発生した。

 竹本社長:「実を申しますと、当社の車両に、少々不具合が生じまして」

 クリスマスを直前に控え、銚子電鉄を襲った車両の不具合とは?

 竹本社長:「お客様が乗降されるドアなんですけれども、車両が今年で製造60年。非常に古い車両を使っている、経年劣化ということ」

 潮風などの影響で生じたドアの不具合だ。このピンチを救ったのは、ローカル鉄道同士の絆だった。

 竹本社長:「石川県を走っている北陸鉄道の車両のドアを譲り受けて。元々、車両が京王電鉄の車両だったものですから、京王重機整備のお力を得て、このような工事をして頂いた」

 ローカル鉄道同士の助け合いで、何とかピンチを切り抜けたという。

 竹本社長:「買い替えるお金が、なかなかないという、そういった事情がございますので。このような助け合いを得て、何とか鉄道を運行できているというのは、本当に幸せなことだと思います」

■コラボ企画! “100周年バトン”渡す計画

 そんな銚子電鉄は来年、開業100周年を迎える。そこで今、新たな計画を立てているという。

 竹本社長:「広島電鉄の宮島線が(今年)100周年を迎えられて、当社は、それに続くと。そんな思いで、100周年のリレーのバトンをお預かりするみたいな」

 それが広島電鉄や成田ベースのスプリング・ジャパンなどとのコラボだ。広島から銚子へ!100周年のバトンを渡す計画で、相互交流で地域の認知を上げようというもの。

■独自計画も…名物菓子の新商品「きまずい棒」

 さらに、銚子電鉄独自の計画も進行していた。

 竹本社長:「今年度もですね、3月まで突っ走って。2期連続で黒字を計上することによって、鉄道をあしたにつなげて参りたいと思います」

 年度末までの残り3カ月。黒字を目指すために送り出すのが、赤字経営を救った商品「まずい棒」の第11弾「きまずい棒」だ。

 竹本社長:「原材料費の高騰に加えて、包装資材、物流費の上昇により、やむなく値上げをさせて頂くと。そういう運びになりまして、大変“きまずい”思いでいっぱいでございます」

 まずい棒をやむなく値上げしたことで生まれた商品「きまずい棒」は1袋(10本入り)500円で、23日に発売だ。

■安全保障めぐる「自衛隊における鉄道輸送」の重要性

 今年は鉄道開業150周年の節目だったが、日本の鉄道を取り巻く状況が厳しいものになっている。

 7月、国土交通省の有識者委員会は、危機的な経営状況にあるローカル線について、運行見直しに関する提言を取りまとめた。

 また国交省は、「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」を開いていて、5月の検討会では、ヒアリング対象として防衛省が招かれていた。

 なぜ国交省の検討会に防衛省が参加したのだろうか?

 そこで防衛省がプレゼンしたのが、安全保障を巡る「自衛隊における鉄道輸送」の重要性だった。

 その中では、ウクライナの戦況を取り上げて、武器の供給などで「鉄道が生命線」であるということを説明し、車両や資材を運ぶ際に鉄道輸送の重要性を訴えていた。

 その結果、中間取りまとめでは、鉄道輸送の課題として「公共インフラとしての新たな社会的要請への対応」に関して、自衛隊の鉄道輸送ニーズに対応できていないケースがあり、平時から備えを進めることが重要であるとしている。

■自衛隊と連携「定期的な意見交換を実施」 

 また、この中間取りまとめを受け、鉄道輸送を担うJR貨物は、10月に2025年度までに達成すべき目標を公表している。

 公共インフラとしての新たな社会的要請への対応について、「自衛隊との定期的な意見交換を実施する」としている。

 実際、去年9月から10月にかけて、陸上自衛隊の演習で車両や資材を運ぶのに鉄道貨物を活用する訓練をしている。

■国家安全保障戦略…“公共インフラ整備”体制強化

 また今年は、日本の安全保障政策でも大きな転換点を迎えた年だった。防衛費増額に関する政府の有識者会議でも、鉄道や公共交通機関の重要性を議論してきた。

 11月の報告書では、公共インフラも安全保障を目的とした活用を進めるべきで、「安全保障上の重要な機能を担う」としている。

 こうした議論を受けて先週、閣議決定した安保3文書の中の「国家安全保障戦略」でも、官民の輸送手段の確保や公共インフラの整備などの体制の強化に取り組むとしている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年12月23日放送分より)

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