予報士のつぶやき 正しく見られますか?台風進路予想[2023/05/26 13:22]

テレビや新聞、インターネットなどで見かける台風進路予想図。正しい見方ができていますでしょうか。来週は広い範囲で台風2号の影響を受けるおそれがありますので、改めてその見方を確認しておきましょう。

■予報円とは?

予想の発表時刻から5日先まで表示されている円を「予報円」といいます。意外と多いのが、この円が台風の大きさを表しているという勘違いです。後述する暴風域や強風域も赤や黄色の円で描かれているので、「予報円は台風の大きさを予想している」と勘違いしてしまうのも納得です。

ただ、実際は台風の大きさはまったく関係ありません。この円は、予報時刻(円の近くに記載された日時)に台風の中心が約70%の確率で到達すると予想される範囲を表しています。予報円が大きいということは進路や北上タイミングが定まっていないことを表していますし、予報円が重なっているときは台風の動きが遅くなると読み取ることができます。

予報円の中心同士を結んだ線を「中心線」といいますが、台風は必ずしもこの線の上を進むとは限らないので注意が必要です。

■暴風域、強風域とは?

平均風速25m以上の風が吹いているか、吹く可能性のある範囲が「暴風域」、15m以上の風が吹いているか、吹く可能性のある範囲が「強風域」です。また、台風の中心が予報円に進んだ時に暴風域に入るおそれのあるエリアを「暴風警戒域」といいます。

■台風の大きさとは?

台風の大きさは強風域の半径で定義されています。半径800km以上が「超大型」、500km以上800km未満が「大型」です。青森県から山口県までが大体1200kmなので、超大型の台風にもなると本州が強風域にすっぽりと覆われてしまうことになります。

■台風の強さとは?

台風の強さは中心付近の最大風速で決まります。最大風速54m以上が「猛烈な」台風、44m以上54m未満が「非常に強い」台風、33m以上44m未満が「強い」台風です。

最近は“スーパー台風”という言葉をよく見かけますが、こちらは日本の気象庁が定義している用語ではありません。日本では10分間の平均風速を基準に台風の強さを決めていますが、スーパー台風は1分間の平均風速で定義されています。

26日午前9時現在、猛烈な台風2号が沖縄方面に向かって進んでいます。沖縄では今週末から高波などの影響が出始め、来週は大荒れとなる恐れがあります。その後の進路はブレ幅が大きいですが、本州などでも雨や風の影響がでるかもしれません。台風は自分の住んでいる地域にやって来ると思って、備えたほうが良いと思います。

テレビ朝日気象デスク 藤枝知行

こちらも読まれています