南海トラフ地震で「半数の建物が全壊の県も」 防災対策の専門家が指摘[2023/06/29 18:00]

 南海トラフ沿いで想定される巨大地震を巡り、現在の防災政策の目標について検証をしている専門家が「半数の建物が全壊する県がある」と指摘しました。

 名古屋大学・福和伸夫名誉教授:「建物の全壊する棟数の割合が極めて大きい自治体が沿岸部に多い。5割ほどの建物が全壊する県がある。(津波対策は進んだが)耐震化の対策が十分でなかったと(分かった)」

 南海トラフ地震を巡っては今年、政府が2014年に定めた防災政策の目標について、専門家らによる検証と次の防災対策の検討を行っています。

 29日の検討会では揺れや火災、津波などで半数ほどの建物が全壊する地域があると報告されました。

 検討チームを仕切る福和名誉教授は「耐震化が進んだのは建て替えによるものが大きく、古い建物が補強された割合は大きくはない。大きな被害が想定される県では高齢化と人口減少によって耐震化を進めるのは厳しい状況だ」と指摘しました。

 解決に向けては「空き家をなくす方法や少子高齢化が進む地域で事前の『集団移転』ができるかの議論も必要だ」と話しました。

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