【関東大震災100年】“阪神大震災級”2日間で6回 桁違いの「揺れ」岐阜に記録が残存[2023/08/29 14:54]

 シリーズでお伝えしている「関東大震災100年の教訓」。29日のテーマは桁違いだった「揺れ」についてです。その記録は関東から270キロ離れた岐阜県に残っていました。

 崩れ落ちた建物に、燃え盛る火の手。10万人を超える犠牲を出した地震そのものの揺れはどんなものだったのでしょうか。その手掛かりは、東京からおよそ270キロ離れた岐阜県に今も残ります。

 揺れ始めから大きく上下に波打つ線。これが関東大震災の地震の記録です。関東周辺では地震の揺れが大きすぎて針が振り切れ、正確な記録は残っていません。

 この記録を見つけた地震学者の武村雅之さん。関東大震災からおよそ70年後、それまで誰も気付かなかった地震の揺れを記した記録を探し出しました。

 名古屋大学 武村雅之特任教授:「本震と余震っていうのが非常にきれいに分かれて見える。あ、これなんだと思った」

 こうした記録を各地で探し出し、武村さんは関東大震災の揺れの一部始終を導き出しました。

 関東大震災の本震は、今から100年前、1923年9月1日の午前11時58分に起きました。震源の真上、震央は神奈川県西部でした。地震の規模を表すマグニチュードは8.1。阪神大震災のマグニチュードは7.3で、地震のエネルギーで比較すると16倍です。地震がきっかけで動いた断層面は長さおよそ150キロ、幅70キロと、神奈川県の大部分と千葉県南部がすっぽり入ってしまう大規模なものでした。その3分後にマグニチュード7.2の地震、さらにその2分後にマグニチュード7.3の地震が起きました。たった6分間でマグニチュード7以上の地震が3回起きていたのです。

 名古屋大学 武村雅之特任教授:「阪神淡路大震災を起こしたような地震が次々に起こったと」

 さらにその後、1時間も経たないうちに東京湾でマグニチュード7.1、本震からちょうど24時間が経とうとした2日の正午前に最大の余震マグニチュード7.6、そしてその7時間後に7.1の地震がそれぞれ千葉県付近で起きました。2日間で実に震災クラスの地震が6回も発生していたことが分かったのです。

 名古屋大学 武村雅之特任教授:「阪神大震災だったら大阪まで行けば普通の生活をしていたじゃないですか。だけど関東大震災は神奈川県でちょっと行ったって同じような被害だし、マグニチュード8クラスが陸の下で起きたらどうかというのは関東大震災でしか分からない。東京は関東大震災の後にできた耐震基準で個々の建物は昔より強くはなってきた。街全体として見た時に決して安心はできない」

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