【独自】高知・土佐のカフェ“炎上”騒動  トラブル退去へ「寂しい思い」【詳細版】[2023/09/18 08:29]

 東京都から高知県に移り住みカフェを運営していた移住者が、「地元の有力者から出ていけ」と言われたと主張し、波紋が広がっていた問題で17日、移住者が退去し始めたことが分かりました。何があったのか、移住者が取材に応じました。

■“退去要求”SNS投稿から4カ月「寂しい」

 高知県土佐市にあったカフェの店長の投稿です。

 カフェ店長の投稿:「田舎はどこもこうなんですか?」「地元の有力者に従わなかったら出ていけと言われました」

 都会からの移住者が地元住民から退去を要求されたという内容です。5月に投稿され、1億回以上も閲覧されました。

 カフェ経営者:「食器の梱包(こんぽう)を終えたところです」

 投稿からおよそ4カ月。カフェを経営する永田順治さんは17日、退去のための片づけを始めました。

 カフェ経営者:「いま片付け途中です」

 その胸中を番組に明かしてくれました。

 カフェを運営 アルバトーザ 永田代表:「やっぱり寂しい思いが一番ですね」

 コロナ禍がきっかけで年々関心が高まっている地方移住。高知県への移住者数も年々増加し、昨年度は過去最多を記録しました。

 騒動が起きたのは、サーフィンで有名な土佐市「新居地区」。海辺が一望できるところにある観光交流施設「南風(まぜ)」とその2階に入居する「カフェ ニールマーレ」です。

 永田代表:「地域おこし協力隊の募集要項に『飲食店の経験者求む』というようなことが書いていたので、それが大きな動機」

 永田さんが「地域おこし協力隊」として、期待に胸を膨らませ東京から土佐市へ移住したのは、今から8年前のこと。その翌年から「カフェ ニールマーレ」の経営を任され、年間2万人以上が訪れる人気店となったのですが、永田代表はこのように話していました。

 永田代表(6月):「ちょっとずつ処分しようかなと思っているんですけど。ほぼ手作りですね。仕込みには時間をかけているメニューなので、結構しんどいところはありますね」

■NPO理事長とのトラブル…市仲裁も収束せず

 土佐市の人気店になったカフェで一体、何があったのでしょうか。

 そもそもこの施設は土佐市が所有しています。土佐市は施設の管理を地元住民が主体のNPO法人「新居を元気にする会」に委託しました。永田さんともめたのは、このNPOの理事長です。

 永田代表:「オレはそもそもお前に貸すなんて一言も言ってないぞみたいなことを(理事長が)言い出して、そこからちょっと(関係が)おかしくなり始めたという感じ」

 払っていた家賃を払っていないと言われたり、店のメニューに口出しされたりするなど、理事長の行動はエスカレートしていったと訴えます。

 永田代表(6月):「最初はメニューとか経営方針の違いの不満があったのかなと。あるときからお金の話になってきたのが私の中の印象」

 そんな関係が6年ほど続き、去年6月、理事長はカフェの立ち退きを要求。「理不尽だ」と主張する永田さんのSOSに、土佐市は“理事長の独断では立ち退きを要求できない”と仲裁しましたが、事態は収束しませんでした。

 その後も何度も立ち退きを要求してきたという理事長。永田さんサイドはついにSNSに疑問を投げ掛けました。

 カフェ店長の投稿:「田舎はどこもこうなんですか?地域おこし協力隊として東京から高知に移住したのに、地元の有力者に従わなかったら出ていけと言われました」「『Twitterで発信します』と言ったら『たかがSNSや』と鼻で笑われました」

■三者協議も…NPO「参加意義見いだせない」

 「たかがSNS」では終わりませんでした。土佐市には全国から苦情が殺到、爆破予告や市長への殺害予告も届いたとして、土佐市は「言語道断」と訴えました。

 カフェが投稿した翌月、NPOはSNS上に今回の騒動について文書を公表しました。

 NPOが公表した文書:「当初は、家族連れや観光客が立ち寄れる場にしたいとの思いから、土佐料理や和食を提供できる飲食スペースを目指しておりました。ところが若者をターゲットにしたカフェをオープンする方向に転換されていき、当法人の意向は反映されず話が進んでいったとの認識です」

 また、NPOと土佐市はカフェの経営を最初から認めておらず、土佐市とともに解決しようとしましたが、できなかったと主張。

 NPOが公表した文書:「新居地区や土佐市の振興に向けた活動よりも、商業ベースの活動に主眼が置かれているような状況が顕著になったことなど、土佐市の職員に相談しましたが、解決を見いだすに至りませんでした」

 土佐市は事態を収めるため、この7月に双方の弁護士と三者協議を開催しました。しかし、当事者のNPOは「参加する意義が見いだせない」として協議から離脱。

■公募必要の声も…土佐市「市で管理も検討」

 先週、開かれた土佐市議会ではNPOに関連する質問が相次ぎました。

 野村昌枝市議:「新居地区観光交流施設、南風について質問いたします」
 村上信夫市議:「三者協議の解決の見通しはどうですか」
 大森陽子市議:「現在のNPO法人に指定管理を任せるわけにはいかず、公募が必要」

 土佐市長は今後施設について、土佐市で管理することを含めて検討すると表明しました。

 土佐市 板原啓文市長:「指定管理の選定に時間的なものがあまりにもかかって困難であれば(市の)直営も含めて検討していく、そういった必要も出てこようかと思う」

 永田さんは先週、カフェを閉店し退去することを発表しました。

 永田代表:「やっぱり7年間やってきましたので、従業員全体で頑張ってやってきたっていう思いがあるので、そのお店がなくなってしまうということに関しては、やっぱり寂しい思いが一番ですね。営業を何とか再開できないかとちょっと粘ってはいたんですけど、資金繰りも大変でしたし、三者協議に至る段階では9月末までは猶予を認めてもらうよう話をしようと思っていた」

 永田さんは、今後、移住する人が同じような目に遭わないよう願っているといいます。

 永田代表:「正しい情報にも目を向けてもらいたいというのがやっぱり一番。(土佐市には)不正なこととか不当な居座りとかではなく、約束通りにやってきた結果ということを話し合って認めてもらいたい」

(「グッド!モーニング」2023年9月18日放送分より)

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