社会

2023年10月11日 12:42

ニュースのキーワード 「放射冷却」って何?

2023年10月11日 12:42

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朝晩は冷え込むようになり、急に秋めいてきましたね。2023年の夏は記録的な暑さだっただけに、日中の快適な涼しさが長く続いてほしいなと思います。

さて、秋が深まるにつれ、ニュースでは「けさは“放射冷却”が強まり、今シーズン一番の冷え込みになりました」などと見聞きするようになります。
この“放射冷却”という言葉、天気予報や気象ニュースによく登場するけれど、いざ説明するとなると、少し戸惑ってしまうかも? 今回は、これからの季節に頻繁に見聞きするようになる“放射冷却”についてご紹介します。

■放射冷却とは?
そもそも放射冷却とは、物が熱を外へ出して冷えることです。
例えば、寒くなると食べたくなるアツアツのおでん。鍋を火にかけているうちは温かいのですが、火を切るとどんどん冷めていきます。この冷えていく過程が、まさに放射冷却です。

天気予報や気象ニュースで放射冷却という場合、地面の放射冷却を指しています。昼間、地面は日差しによって暖められる一方、夜になると、地面は昼間に蓄えた熱を放出することで冷えていきます。すると、地面付近の空気が冷やされて、気温も下がっていくのです。

■放射冷却が強まりやすいのはどんなとき?
放射冷却が強まりやすく、気温が下がりやすい気象条件は3つ挙げられます。

1.夜間に晴れていること
晴れていると地面から放出された熱が宇宙空間へ逃げていきますが、空に雲が広がっていると、雲が鍋のふたのような役割をします。地面から放出された熱を雲が吸収し、その熱の一部を再び地面に向かって放出するため、地面はそれほど冷えません。

2.風が弱いこと
風があると、地面付近の冷えた空気をかき混ぜるため、気温の低下が抑えられます。

3.空気が乾燥していること
空気中に水蒸気が多い湿度の高い状態だと、空に雲がある時と同じように、水蒸気が地面から放出された熱を吸収します。そして再び地面に向かって熱を放出するため、放射冷却は効きにくいのです。

こちらの3つの条件が揃いやすいのは、高気圧に覆われているときです。
一般的に、秋は移動性高気圧が数日おきに日本にやってきます。この高気圧に覆われたタイミングで冷え込みが強まることが多いのです。

天気予報の“放射冷却”は、夜から朝にかけて冷え込みが強まるキーワードです。放射冷却と見聞きしたら、寝冷えしないよう暖かくして寝る準備をしてください。

テレビ朝日気象デスク 津田紗矢佳

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