能登半島地震から1カ月 長引く断水 “災害関連死”を防ぐには[2024/02/01 14:35]

 能登半島地震の発生から1カ月が経った今も、自宅を離れて避難生活を余儀なくされている人が多くいます。ライフラインの復旧は徐々に進んでいますが、被害の大きかった地域では今も広い範囲で断水が続いています。

 石川県の七尾市では1万4600軒、輪島市では1万軒、珠洲市では4800軒など8つの市と町で合わせて4万890軒で断水しています(2月1日時点)。

 水が十分に使えずに避難所の衛生環境が悪化することで、懸念されるのは「災害関連死」のリスクの高まりです。

 石川県の避難所では、インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどに感染した人が、多い時には1日で200人近くになるなど、一時、増加していました。

 2016年の熊本地震で最も多かった災害関連死の死因は、肺炎や気管支炎などの呼吸器系の疾患でした。

 水分補給や歯磨きなどの口腔ケアが十分にできなかったことが原因の一つとされています。

 厚労省は、避難所での可能な範囲での感染症対策や少量の水でも数回に分けてうがいをすることが効果的などと呼び掛けていて、災害関連死を減らしたい考えです。

 また、能登半島地震では、26の高齢者施設で入所者1000人ほどの大規模な搬送が行われました。

 災害派遣医療チーム=DMATとして搬送の調整を行った名古屋大学医学部附属病院の山本尚範医師は、今回のように長期間の断水など、インフラの復旧に時間がかかっている場合、要介護者は災害関連死の可能性が高いと考え、迅速な対応が必要だったと振り返りました。

 そのうえで、搬送された要介護者のケアや入所者がいなくなった施設の職員は仕事に復帰できるのか、今から支援をしなければ地域のケアシステムが崩壊する恐れがあると警鐘を鳴らしています。

 政府には、親しい人と分かれて住み慣れた家を離れざるを得なかった人々の生活や生業を支える継続的な支援が求められています。

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