観光地にクマ出没!3つの要因 今春は要注意 動物研究家・パンク町田氏が解説

スーパーJチャンネル

[2024/04/05 19:58]

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 観光地で、クマの出没が相次いでいます。今年の春は特に注意が必要だということですが、なぜでしょうか。動物研究家のパンク町田さんに話を聞きました。

■“飲食店の匂い”クマの出没に影響?

(Q.パンク町田さんによると、今年の春は“3つの要因”が重なっているそうです。それが「匂い」「環境」「経験」です。まず「匂い」とは?)

パンク町田さん
「匂いですが、クマはもともと鼻がものすごくいいんです。簡単に言うと、イヌと同じぐらいいいです。それに加えて、去年は不作で山の中の実りが悪かったわけです。その状態で冬眠していますので、お腹が空いた状態で街・人混みからいい匂いがすると、より敏感になるということかなと思います」

(Q.イヌと同じくらい嗅覚が鋭いということですが、どのぐらいの距離まで鼻が利くのでしょうか?)

パンク町田さん
「匂いの種類にもよりますが、最大で3キロぐらい、普通でも1キロから2キロぐらいの範囲の匂いは感知することができます」
秋田市(先月26日)

■自然環境への配慮がクマにも住みよい環境

クマが住みよい環境に

(Q.観光地というと、私たち人間にもいい匂いがたくさんあります。クマが好むのは人間と同じような匂いですか?)

パンク町田さん
「人間と全く同じではありません。クマは甘いものが好きなので、熟しすぎた果実の匂いや腐敗が進んだ食べ物の匂いなど、甘みが増した食べ物に敏感です」

(Q.観光地では、どういったところに注意が必要になるんでしょうか?)

パンク町田さん
「人間がその場で食べているものよりも、捨てられているゴミ箱などに、残飯に興味を持つと思います」

(Q.例えば、観光地に設置されているゴミ箱など、ふたが開いているものもありますよね。捨てやすくするために)

パンク町田さん
「対策としてふたをするというのは、良いアイデアかもしれません」
クマの人間慣れ

(Q.続いて「環境」とは?)

パンク町田さん
「特に山沿いの観光地は、緑や自然が売りです。ですから保全をしていくわけですね。山を保全すると環境が良くなりますので、そうなればクマたちも増えるということです」

(Q.ただ、観光地には多くの人が訪れます。本来は「臆病」と言われているはずのクマが、なぜ観光地に近付いてくるのでしょうか?)

パンク町田さん
「去年、クマたちは食べ物が不足して困りました。そのために恐る恐る人のそばをうろつくようになったんですね。それで人慣れが進んでしまいました」

「もう一つは、一緒に行動している子グマたちは母グマのまねをします。母グマと一緒に行動していると、子グマたちも『人間はそんなに怖くないんだな』と学習しやすくなりました。そういう環境です」
高い学習能力

(Q.今おっしゃったことは、3つ目の要因「経験」になってくるということですか?)

パンク町田さん
「そうですね。これがクマが経験したことですね。クマはものすごく学習能力が高いんです。頭が良いというとイヌやサルなどが有名ですが、実はクマも霊長類とイヌの中間ぐらいの知能を持っているのではないかと言われています。それほど頭がいい動物です」

■クマに遭遇したら? 対処法を専門家に聞く

岩手・花巻市(2日)

(Q.今年は観光地の匂い、自然などの環境、そして去年の餌(えさ)不足による経験が重なっているということです。では、どういったことに注意すればいいのでしょうか?)

パンク町田さん
「観光地には人が集まります。仮に子グマがいても、くれぐれも可愛いからといって餌付けをしたり、食べ物をそこら辺に捨てて行ったりすると、またクマが学習してしまいます。『人間を脅せば餌が出る』『街に行けば餌が簡単に手に入る』と覚えますので、そういうことにならないように、餌付けをしないことが大切です」

(Q.もし遭遇したとしても、落ち着いて行動することが大切でしょうか?)

パンク町田さん
「急に後ろを向いて逃げるとか、急に騒ぐとクマはパニックを起こします。人を襲いやすくなりますので、そういうことがないように人間も冷静に対応することが重要かと思います」

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年4月5日放送)

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  • 岩手・花巻市(2日)

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