【新映像】クマvsヨタカ “エサ不足”で食に変化か 専門家警鐘 小学校の校庭に足跡も

スーパーJチャンネル

[2024/01/24 20:07]

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雪の上にくっきりと残っているクマの足跡。さらに、クマが鳥を追いかけるような、そんな貴重な映像を入手しました。エサ不足が食の変化にも影響を及ぼしています。

■雪の上に大きな足跡 住宅街に成獣のヒグマか

ヒグマの足跡を発見 小野知子さん
「ここです」

住宅の敷地に積もった雪を指さす女性。雪の上には、大きな足跡がついています。

幅は、およそ15センチ。成獣のヒグマの足跡とみられます。

北海道函館市。函館空港から近い住宅街で、23日、近くに住む女性がクマの足跡を発見し警察に通報しました。

ヒグマの足跡を発見 小野知子さん
「まず大きい足跡が見えたのはこのライン。この辺、シカやキツネは出るが(足跡の)大きさが全然違った。人間の足跡でもないし、爪の跡もあった。これは絶対クマだと思って」
「道路にも近いし町中に出るなんて思っていなかったのでびっくり。怖いですよね」
「明るい時は出ないかもしれないが、夜とか帰って来る時に物陰から出てくるんじゃないかと。これからは気を付けないと」
函館市 農林整備課・眞田崇志 主査
「ハンターに見回りを頼んで、クマがいると思われる所を特定できれば、箱檻を設置して捕獲を試みたい」

■小学校に居座る?グラウンドに“足跡発見”

北海道では、1月に入ってから、クマの姿や足跡の目撃が各地で相次いでいます。

今月14日には、積もった雪の上でヒグマが目撃されています。

小平町 経済課・三口卓人さん
「川に落ちて、死んでいたシカを引っ張りあげて食べていたことも考えられる」

児童たちが通う小学校でも、22日、ヒグマの足跡が見つかりました。

浦河町 鳥獣被害対策室・澤谷優一郎 主査
「浦河東部小学校のグラウンドの南側に、13〜14センチほどのクマの足跡が、5メートルほど続いてあった」

足跡があったのは、国道に面した校庭です。

浦河町 鳥獣被害対策室・澤谷優一郎 主査
「小学生が校庭で遊んでいる時に(足跡を)目撃したと思われる」

足跡の向きから、ヒグマは遊具の近くから移動したと推測しています。

浦河町 鳥獣被害対策室・澤谷優一郎 主査
「雪の時期にクマの足跡が発見されて、とても驚いている。年間を通じてクマが出没するようになっているので、皆さんも注意してもらえればと」
矢印の方向に移動したとみられる

■栄養状態の悪いクマ“秋のエサ不足”関係か

今シーズンは全国各地で秋から冬にかけて、市街地での出没が多発する異常事態です。
冬眠の時期になっても、「眠らないクマ」が数多く目撃されていることについて、専門家は秋のエサ不足が関係していると指摘します。

石川県立大学・大井 徹 特任教授
「去年の秋は、越冬のために必要な十分なエサがなかった。エサを十分にとれていなくて栄養状態の悪いクマがいる。食べ物がある場所を見つけられないと飢え死に。クマの匂いの感覚は非常に優れていると考えられる」

■襲ってくるクマ、ヨタカの「擬傷」行動を撮影

クマは驚異的な嗅覚を使って、エサを探しているといいます。

ツキノワグマが鳥のヒナを見つけ、食べる様子をとらえた映像。撮影したのは、福島市で35年野生のクマを観察している猟師の丹野一好さんです。

撮影者(猟師)・丹野一好さん
「もう相当な数、クマを撮影しているが、ああいう場面は初めて」

クマが追いかけているのは、地面の近くを飛んでいる、1羽の鳥。

低い山の雑木林などに生息する「ヨタカ」です。地上に卵を産みます。

ヨタカは、クマから逃げるわけでもなく、一定の距離を保って飛んでいるようにみえます。

撮影者(猟師)・丹野一好さん
「クマを自分の巣から遠ざけようとしている。ヒナを守るために、傷ついたふりをして狙ってくるクマをだんだんと遠くに離そうとしている、巣から」

「擬傷(ぎしょう)」と呼ばれる、鳥類の特殊な行動です。卵やヒナを守るため、親鳥がけがをしたように装って、クマの注意を自分のほうへ向けているといいます。

ところが、クマは親鳥に背を向け、反対の方向に向かいます。

撮影者(猟師)・丹野一好さん
「気が付いたのではないか。親鳥を追いかけてもとれないということを」

親鳥が、再びクマの目の前に移動しますが、クマは親鳥には目もくれず、地面に鼻を近づけて匂いをかいでいるようにみえます。

すると、草に隠れていた巣を見つけ、ヒナを食べる様子をカメラはとらえます。

撮影者(猟師)・丹野一好さん
「クマも鼻の方が良いか、頭が良かった。巣の方に行ってヒナを食べた」

猟師の丹野さんは、150メートルほど離れた場所から双眼鏡でも確認したといいます。

撮影者(猟師)・丹野一好さん
「怖いのは、養鶏場とか襲うようになったら里に出てきて、クマが家畜のエサを狙うようになる」

食べ物への執着が強いとされるクマに、専門家は警鐘を鳴らしています。

石川県立大学・大井 徹 特任教授
「今の時期、クマは食物への執着が高いと思う。食物にありついたらそれを守ろうとして、攻撃的になる場合がある。そういった場所に出くわしたら、静かにクマを刺激しないように離れてください。万が一、攻撃されてしまった場合には、自分の急所、頭・顔・首筋・腹を守る姿勢をとるのがよい」

  • 矢印の方向に移動したとみられる

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