社会

2024年8月17日 21:00

【池上解説】打ち上げ花火の「ヒュー」は優しさだった!?夏のニュースを徹底解説

2024年8月17日 21:00

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毎日暑い日が続いていますね。あまり知られていないけど、でもひょっとすると皆さんにも大きく影響するかもしれない、そんな夏のニュースを解説してまいります。

■花火大会が見られなくなるかも!?

夏の夜の風物詩と言えば花火大会ですね。でも今、急な雷雨で中止、ではなく最初から中止になっている花火大会が増えていること、ご存知でしょうか。今年も全国各地で20以上の花火大会が中止になっています。来年以降もさらに中止にしたり、規模を縮小する大会が増えると言われているのですが、一体なぜでしょうか。

その原因の一つは、太陽光パネルです。

花火の燃えカス

花火を打ち上げるとどうしても燃えカスが出てしまいます。もちろん建物の近くでは打ち上げられない決まりではありますが、風にのって燃えカスが住宅の屋根の上に落ちる…実はそんなことはよくあるんです。そして今住宅の屋根に太陽光パネルを設置するご家庭、増えていますよね。太陽光パネルの上に燃えカスがついてしまうと洗ってもおちないのだそうです。
そうなると発電効率は落ちてしまいます。そのため花火の燃えカスへの苦情がとても増えているんです。太陽光パネルを保障する、というのは莫大なお金がかかります。
そこで開催をあきらめる大会が今増えているということなんですね。

そしてもう一つ、一番の問題は開催にかかるお金です。花火大会開催費用は数千万円から数億円とも言われまして、今色々なものが値上がりをする中でどんどんコストが上がっています。火薬など花火そのものの費用も円安によって上がっていますし、人がたくさん集まるため警備の人も必要です。

有料指定席

そこで増えているのが有料席です。そのお値段は安い席でも5000円くらい。高い席では10万円を超えるものもあるんです。歴史ある花火大会を残すためには有料に、そんな動きが今出てきているんです。

■打ち上げ花火の「ヒュ〜」は花火師の優しさ!?

「ヒュ〜」という音は花火師の優しさ

花火を打ち上げるときの「ヒュ〜」という音。これ実は風を切る音ではないんです。
花火玉に付けられた笛の音なんです。例えばたまたま隣の人と話をしていて、「ドーン」という音がしてから振り返っても、光の方が音より早いため、花火は終わっていたりします。

きれいじゃない花火

でも「ヒュ〜」という音がすればそちらを見ますよね?そうすればきれいな花火を見逃さずに済みます。

きれいな花火

つまりこの「ヒュ〜」という音はせっかくの花火を我々が見逃さないように、という花火師さんの優しさ、というわけです。

■暑ければ暑いほどロシアが得をする!?

暑ければ暑いほどロシアが得をする

温暖化と言えば悪いイメージですが、中には暑くなることで得をする国もあるんです。
その一つがロシアです。一体なぜでしょうか。

ロシアの北、北極海はこれまで氷に閉ざされてきました。沿岸も寒くてほとんど人が住むこともありませんでした。でもその北極海の氷が今かなりとけてきているんです。
ちなみに、これまでに北極圏で観測された最高気温、一体何度かわかりますか?
2020年ロシアのベルホヤンスクという町で観測されたのはなんと38度。これでは永久凍土も厚い氷もとけてしまいますよね。

北極海航路&南周り航路

氷がとけた結果、これまで普通の船では通れなかった北極海が航路として使えるかも、という状態になってきました。この北極海航路がこれから色々な国で使われるようになってきたら、ロシアの沿岸にも町ができ、莫大な利益になる、といわれているんです。

更に北極の海底には大量の資源があることがわかってきています。厚い氷がとければ海底の資源を取り出すことができます。そしてロシアは今、北極海の資源はロシアのものだ、と主張し開発を進めようとしているんです。

ロシアの主張エリア

実際にロシアの主張は今一部認められています。でもデンマークやアメリカも北極の採掘権を主張し始めました。北の海でまさに「熱い戦い」が繰り広げられているんですね。

池上彰さん

こうしてみてくると色々なニュースがあるわけですけど、中には「そういえば知らなかった」ということが結構あるかと思います。あまり報じられないものの中にも大切なものはあります。これからも注意深くニュースを見ていただきたいですね。


(池上彰のニュースそうだったのか!! 8月17日OA分より)