冬は、お風呂場での死亡事故が急増します。
浴室内で起きる事故では、『ヒートショック』がよく知られていますが、それだけではありません。
入浴中の体調不良の8割以上が、『お風呂熱中症』の可能性があるとされていて、死亡するケースもありました。
■冬に急増 入浴中の死亡事故 中山美穂さんも
12月6日、中山美穂さんが、入浴中に起きた不慮の事故で亡くなりました。
2022年12月には、佐藤蛾次郎さんが、浴室内で動かなくなっているのを親族が発見しました。
お風呂での事故は、冬に急増します。
65歳以上の、浴槽内での死亡者数を見ると、12月〜1月が特に多くなっています。
2023年、浴槽での死亡事故は6073人。
交通事故で亡くなった人は2116人で、約3倍です。
街の人に、お風呂でハッとしたことを聞きました。
「今ぐらいの時期に、酔って、夜中の3時に風呂に入って寝てしまった。湯が冷たくなって起きた。2、3時間くらい入っていた」
「つい最近、42℃の少し熱いお湯に20分くらい入り、のぼせるような感じになった」
「実家で、スマホ持って入り、長風呂して、目の前が真っ白になり倒れそうになった」
■冬なのに『お風呂熱中症』?死亡のケースも 長風呂に潜む危険
お風呂での体調不良といえば、よく知られているのは、ヒートショックです。
暖かい部屋から、寒い脱衣所や浴室に行くとき、血管が縮んで、血圧が上昇。
そして、熱い湯船で、血管が広がり、血圧が低下、というように、急激な温度変化により血圧が変動し、失神や心筋梗塞、脳卒中などが起きる状態をヒートショックと言います。
浴室での死亡事故を研究している、監察医で、千葉科学大学危機管理学部の黒木尚長教授が調査した『お風呂で具合が悪くなった原因』についてのアンケートでは、
●ヒートショックは7.1%
●その他不明が8.7%
●大部分の84.2%が『熱中症や熱中症疑い』と答えています。
「お風呂での体調不良は、入浴中の『熱中症』による体調不良の可能性が高い」ということです。
入浴中の熱中症の実例です。
80代の女性Aさんです。
入浴後、数十分経過しても風呂から上がってきませんでした。
家族が気付いて浴室へ行くと、Aさんは全身に力が入らず、ぐったりとした状態でした。その後救急搬送され、熱中症の疑いと診断されました。
20代の女性Bさんです。
ダイエット目的で、サウナ代わりに長時間入浴をしていました。
すると次第に体温が上昇して、熱中症に。
その後、Bさんは死亡しました。
“お風呂熱中症”とは、どういうことなのでしょうか。
熱い湯での長風呂で、体温が上昇します。
そのまま入浴を続けると、のぼせたり、めまいが起きたりして、浴槽から出られなくなります。
そうすると、さらに体温が上昇し、重い“熱中症”になってしまいます。
発見が遅れると、溺水・溺れてしまう可能性もあります。
深部体温が40℃以上になると、『体温調節不全』『意識障害』、脳を含む『重要臓器の機能障害』など、『重い熱中症』のリスクが高まります。
特に高齢者は注意が必要です。
神経の老化により、皮膚感覚が鈍くなっています。
熱い湯が平気になりやすく、いつの間にかのぼせる原因になります。
「若い人は、動悸や顔が赤くなるなど、のぼせる前に気づくことが多いが、入浴中は発汗による体温調節がしづらく、深部体温が上がりやすい。高体温になりやすい子どもなど、若い人も熱い湯の長風呂は要注意」ということです。
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■入浴時間と湯温の関係 『お風呂熱中症』予防法は?■入浴時間と湯温の関係 『お風呂熱中症』予防法は?
入浴時間とお湯の温度です。
全身浴で体温が40℃になるまでの時間は、36.5℃が平熱の人だと、44℃のお湯なら20分間。
42℃で24分間。
41℃だと30分間と言われています。
出演者の皆さんの入浴法です。
子どもと一緒に歌を歌いながら入浴しています。
黒木教授によると、
「この入浴にリスクはほとんどない」ということです。
41℃のお湯に40分間。入浴中にスマホで動画視聴が日課で、その時は、半身浴だそうです。
黒木教授によると、
「こちらは、ややリスクあり」ということです。
40℃に5分間。
入浴直前に浴室乾燥で浴室を暖めることもあります。
黒木教授によると、
「リスクはほとんどない」ということです。
43℃に20分間。
15分入浴後に、髪と体を洗い、さらに5分間入浴。
黒木教授によると、
「これにはリスクがある」ということです。
「最近の風呂は、自動保温や浴室暖房など入浴に関して、かなり便利な機能が増えた。入浴時はこうした機能をよく理解したうえで、リスクが高まらないよう注意するべき」
お風呂熱中症にならないための予防法です。
<1>入浴前にコップ1杯の水を飲む。
<2>お湯の温度は41℃以下 時間は10分まで。
<3>飲酒してからはなるべく入浴しない。寝落ちしやすいので注意が必要です。
<4>スマホや本など長風呂での全身浴は注意。
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■お風呂の入り方 こんな時どうすれば?■お風呂の入り方 こんな時どうすれば?
「お風呂熱中症になったかもしれない」という場合は、どうすればいいのでしょうか。
「すぐにお湯の栓を抜く。体に水をかけて、体温を下げる。落ち着いたたら浴槽を出る」
お風呂に入るなら、食前と食後、どちらがいいのでしょうか?
「眠気が出やすくなるので、食後すぐの入浴は避けた方が無難」ということです。
お風呂に持って入ったほうがいいものは、何でしょうか?
タイマーや体温計です。
「普段から自分の体温を気にする習慣があると、体調の変化に気付きやすい。家族がいる人は、一声かけてから入浴するとよい」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年12月26日放送分より)