寒くなると、トイレが近くなるという人も多いのではないでしょうか。
夜中のトイレの回数が多い人は、死亡率が高いというデータもあります。
頻尿や尿もれなど、尿に関するトラブルの原因と対処法についてみていきます。
■加齢とともに増加 夜間頻尿 3回以上は死亡リスクも
『頻尿』に関するお悩みです。
「電車では、駅で降りるたびにトイレに行く。2時間に1回はトイレに行っている。」
「飛行機に乗る時は、すぐにトイレに行けるように通路側に座るようにしている」
「寒くなる冬の時期は、トイレが近くなる」
健康な尿の頻度は、1日に5〜7回です。
8回以上は頻尿です。
また、夜に1回以上トイレに起きるのは、夜間頻尿です。
「特に深刻にとらえないといけないのは、夜間頻尿」だということです。
夜間頻尿の割合です。
夜間に1回以上トイレに起きる人は、60歳以上では6割以上、70歳以上では8割以上です。
スウェーデンの研究です。
高齢者の集団を6年間調査した研究で、夜中に3回以上トイレに起きる人は、2回以下の人と比べて、死亡率が約2倍でした。
夜間頻尿には、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞が潜んでいる可能性もあるということです。
街で寄せられた頻尿の悩みです。
「大事な会合やプレゼンの前には、緊張でトイレが近くなる」
なぜでしょうか。
「緊張すると交感神経が刺激されて、尿意を感じるセンサーが過敏になる。膀胱ではなく神経の問題で、尿意を感じやすくなる」ということです。
「急にトイレに行きたくなるのが心配なので、遠出はしないようにしている」
「腹巻やカイロでおなかを温めると、急な尿意を和らげられる。尿の悩みのせいで、社会との接点や楽しみが減ってしまうのはもったいない。早めの治療を」
■夜間頻尿 「膀胱の老化」も影響 排尿時間 健康の目安は何秒?
堀江先生が特に深刻だと指摘する、夜間頻尿です。
原因は、2つあります。
1つ目は、蓄尿障害です。
膀胱に尿がためられず、少ない尿量で尿意を感じてしまう症状です。
2つ目は夜間多尿です。
夜寝ている間に作られる尿の量が多すぎるという症状です。
まず蓄尿障害について、原因は『膀胱の老化』です。
健康な膀胱の平均的な容量は、300〜400ミリリットルで、その半分程度の150〜200ミリリットルで、尿が膀胱にたまると尿意を感じるようになります。
蓄尿障害の患者は、50〜100ミリリットルたまると、尿意を感じてしまいます。
膀胱の老化をチェックする方法です。
健康な膀胱の排尿時間は約21秒です。
体重3kg以上の哺乳類は、体の大きさにかかわらず、すべて、排尿時間は約21秒だそうです。
この排尿時間が女性で31秒以上、男性で41秒以上かかる人は、膀胱が老化している可能性があります。
夜間頻尿の原因の2つ目、夜間多尿です。
夜寝ている間に、作られる尿が多すぎるという症状ですが、原因は『水分の取りすぎ』です。
「寝る2時間前からは、水を控える」ということです。
まず前提として、喉が渇いているなら、水は飲んだほうが良いです。
その上で、水の利尿作用が2時間といわれているので、寝る1時間前に飲んでしまうと、寝て1時間後にはトイレに行きたくなってしまうということになります。
夜間頻尿、他にも原因があります。
加齢による筋力の低下です。
夕方に足がむくむ人は要注意です。
「ふくらはぎは第2の膀胱。睡眠時に、ふくらはぎのむくみの水が尿になってしまう」ということです。
「頻尿対策になる食事はあるんでしょうか」
頻尿対策のポイントは、塩分を控えること。
塩分が多いと尿の量が増えてしまいます。
夜間頻尿に悩んでいる人は、夕食で味噌汁を控えるなど塩分の対策がおすすめです。
■「トイレ間に合わず」「尿出にくい」加齢で急増 重大リスクも
女性に多い尿の悩みです。
「ここ1年くらいで、トイレに入る直前に少し尿が出てしまうように」
「夜中に起きたら、パジャマが染みていることがある」
と、尿もれに悩む方が多いようです。
主な原因は、『腹圧性尿失禁』です。
膀胱などを支える骨盤底筋の筋力低下により、尿道の締まりが弱まります。
せきやくしゃみ、重いものを持つ、立ち上がるなどで腹圧がかかり、尿をもらしてしまいます。
尿もれの主な原因、2つ目は、『切迫性尿失禁』です。
血流の低下により、膀胱が刺激されやすい状態になり、急な尿意に襲われトイレに間に合わなくなります。
男性に多い尿の悩みです。
「65歳くらいからトイレが近くなったが、尿意があるのに、尿が出にくいことがある」
主な原因は、『前立腺肥大症』です。
前立腺の肥大により、尿道が圧迫され、尿が出にくくなります。
悪化すると『尿閉』という尿が出せない状態になります。
前立腺肥大症の患者数です。
年齢を重ねるほど増えていき、65歳を過ぎると急増します。
次のページは
■「頻尿対策」「残尿感」尿トラブル 専門医が解説■「頻尿対策」「残尿感」尿トラブル 専門医が解説
尿のトラブルや疑問です。
「周りの人と比べ、自分は排尿時間が短い。何か問題がありそうか?」
「尿に関する問題を抱えていないなら、排尿時間は短い分には問題ない。筋肉が若いということ」だそうです。
「寝る直前にお風呂に入るようにしているが、頻尿対策になる?」
「入った方が良い。お風呂で体が温まると、夜中にトイレに行く回数が減る」
「もうちょっとかなという残尿感が最近ある。どうにかならないの?」
「膀胱が毎回空にならず、たまっている状態になると、腎臓の機能が衰えてくる。泌尿器科を受診してほしい」
■専門医 伝授!シーン別 尿トラブル対策
堀江先生に教えていただいた、尿のトラブルへの対策です。
家でできる対策は、『骨盤底筋体操』です。
仰向けになりひざを立てて、腰を浮かせます。
10秒間を3回行います。
そして、『プランク』です。
うつぶせの姿勢でひじをつき、肩甲骨の間を押し上げます。
30秒キープします。
これで、膀胱を下から支える『骨盤底筋群』を鍛え、筋力の衰えを防ぐとともに、間接的に膀胱の筋肉を刺激し、頻尿の改善につながります。
外でできる対策は、夕方のウォーキングです。
下半身にたまる水分を、体全体に循環させます。
そして、半歩大またでのウォーキングで、『骨盤底筋群』が刺激されます。
寝る時にできる対策は、冬場は暖房をつけて寝ることです。
冷えによる膀胱の過敏な状態を防ぎます。
「部屋の温度を2℃上げると、夜間頻尿は約4割減少する」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年1月10日放送分より)