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2025年5月19日 16:15

「殺すぞ」恐喝も…東大院教授、高額接待強要か 一晩で100万円 大学側の対応は?

2025年5月19日 16:15

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 東京大学の大学院の男性教授ら2人から高級クラブや風俗店での接待を強要されたなどとして、共同研究を行っていた団体が大学側に損害賠償などを求めて提訴しました。団体の代表によると、暴言や多額の現金の要求もあったということです。

■共同研究の中身とは?

 訴えたのは、化粧品の開発などを行う日本化粧品協会の代表理事・引地功一氏。

日本化粧品協会はおととしから東京大学と共同で化粧品開発の研究を開始
東京大学と共同で化粧品開発の研究を開始

 訴状によると、日本化粧品協会はおととしから東京大学と共同で化粧品開発の研究を開始。アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の治療薬開発や、肌の健康寿命を延ばすことが目的だった。

引地氏
「ヘルス&ビューティーですね。健康寿命を延ばすというのは、70歳の時に40歳の肌、極端に言うと。そういったものの特効薬になりえるぐらいの研究」
大学院教授のA氏と当時、特任准教授のB氏が研究に参加
研究に参加

 東大側は、大学院教授のA氏と当時、特任准教授のB氏が研究に参加。A教授は東大医学部出身で、東京大学皮膚科教室の教授を務めている。

引地氏
「教授に何もかもの権限が集中しているんだなという印象」
双方にメリット
双方にメリット

 共同研究は民間企業にとっては出資することで研究成果を自社製品の開発に生かすことができ、大学側は資金の確保で新たな研究が可能になるという双方にメリットがあるもの。しかし、両者の関係は歪なものだったという。

■すべての始まり…高級フレンチ

高級フランス料理店で会計の際に…
高級フランス料理店で会計の際に…

 引地氏によると、高額な接待の始まりは共同研究が正式決定される直前のおととし。引地氏は、A教授らから高級フランス料理店に呼び出されたという。

 食事の会計に際し、教授らはテーブルに置かれた伝票に手を伸ばすそぶりを一切見せなかったという。

 金額を確認するため、引地氏が伝票を手に取ると、すかさずA教授らは「ありがとうございます」と言い、席を立ち個室を出ていってしまった。引地氏は、仕方なく全額の15万円を支払った。

引地氏は、仕方なく全額の15万円を支払った
引地氏は、仕方なく全額の15万円を支払った
「割り勘でちゃんときれいにされるかなという印象があったんですけれど、ちょっとびっくりしました。普通におごられ慣れている感があったので、教授は違うんだろうなと」

 東京大学など国立大学の教職員は「みなし公務員」で、職務に関連した接待を受けると収賄罪に問われる可能性がある。

■銀座のクラブでも 一晩で衝撃価格

銀座の高級クラブでの接待も要求されるようになったという
銀座の高級クラブでの接待も要求されるように
「食事は個室で、その後に『個室のバーとかないですか』とか。銀座のクラブがアジアで一番大きい歓楽街だと思うんですけど、そういった女性が接待されるところを望まれている感じ」

 引地氏によると、高級店での食事だけでなく、銀座の高級クラブでの接待も要求されるようになったという。

接待の場を捉えた実際の写真
接待の場を捉えた実際の写真

 これは、そうした接待の場を捉えた実際の写真。飲み干した高級ワインやシャンパンのボトルがある。1本5万円ほどのドンペリや1本10万円もの高級ワイン「オーパスワン」などが並んでいる。

 当時、接待の場に居合わせたクラブの従業員によると…。

クラブの従業員
クラブの従業員
「みんなで大接待で、その先生たちが主役という感じで飲んでいましたね。お会計は先生をご接待する方が支払っていました」
「(Q.自分から財布を出したりとか、そういった様子は?)もう1ミリもないです。支払ってもらう立場が当たり前っていう感じだと思います。先生側は」
銀座での接待の領収書
銀座での接待の領収書

 これは銀座での接待の領収書。飲食店での10万円前後の支払いが3枚、高級クラブで使われた67万円の領収書もあった。これらはすべて同じ日に支払われたもので、この日だけで100万円以上に。当然のように、すべて引地氏の支払いになったという。

 さらに訴状によると、A教授は個人的な飲食代や学会への旅費交通費など共同研究とは関係のないものにまで引地氏に支払いを求めたという。

 要求は、ますますエスカレートしていくことに。

■風俗店も要求?LINEの中身

 去年3月、引地氏は教授らとタイに視察に行った。その際、タイの会社からA教授とB特任准教授が接待を受けたという。

タイの会社からA教授とB特任准教授が接待を受けた
タイの会社からA教授とB特任准教授が接待を受けた
原告側の弁護士
「タイでの接待ということで女性を、女性による接待というんですかね。日本でいう風俗みたいな接待を受けまして」
風俗店での接待も要求するようになったという
風俗店での接待も要求するようになったという
引地氏
「(教授らは)その性接待をあっせんされた方にお礼を言いたいと、感動的だったから。朝から上機嫌で、その方にお礼を言っていました」

 帰国後、2人は飲食店やクラブだけでなく風俗店での接待も要求するようになったという。

引地氏
「クラブ行っても手も握れないし、キスもできないという話をされたんです。じゃあ高級風俗とかにされますかって」

 引地氏とのLINEでは、生々しいやり取りが…。

生々しいLINEのやり取り
生々しいLINEのやり取り
引地氏
「ルックス・若さ・テクニック重視で選んでください」
B特任准教授(当時)
「ありがとうございます。先にA教授に選ばせてあげることにします」
「32万円くらいのノルマで」
「32万円くらいのノルマで」
引地氏
「きれいな方を指名するという予約係は私のまま、1回8万円くらいするんですけど。その8万円がお二人、16万円かける(月に)2の32万円くらいのノルマで」

 訴状によると、接待は去年9月までの1年半にわたって続き、引地氏は接待交際費としておよそ1981万円を支払ったという。

■録音音声の中身「金もってこい」恐喝か

 そうした高額接待疑惑が続いたなか、去年8月、衝撃的な出来事が起こった。

衝撃的な出来事が…
衝撃的な出来事が…
引地氏
「(A教授は)ひじをつきながら食事を食べながら飲みながら、延々『殺すぞ』『金持ってこい』『なめてるのか』と。何かタガが外れたように、震えながらもうすごく怒ってらっしゃるような雰囲気で。具体的には1500万円」

 突如、暴言と共に金銭の要求をしてきたというA教授。

1500万円を用意するよう求められたという
1500万円を用意するよう求められたという
原告側の弁護士
「東京大学の中で、きちんと自分の立場を確保するためのお金だと」

 訴状によると、A教授は引地氏に対し共同研究を続けたければ1500万円を用意するよう求められたという。

 一方的な罵倒が続くなか、B特任准教授が口を開くと…。

B特任准教授が口を開くと…
B特任准教授が口を開くと…
引地氏
「やっとしゃべったなと思ったら『殺すぞというのは、社会的に抹殺するということですよね』と、訳の分からないフォローが入った。もうあと延々一緒です。2時間ぐらいですかね」

 この数日後、引地氏はA教授の発言を確認するためにB特任准教授を個別で呼び出した。この音声(原告側提供)は、その時の実際のやり取りだ。

引地氏はB特任准教授を個別で呼び出し確認
引地氏はB特任准教授を個別で呼び出し確認
引地氏
「お金持って来いって言って殺すとか言ったら恐喝罪ですよね」
B特任准教授(当時)
「そうですよ」
引地氏
「えっ、(他の)人に言ったことあるんですか?」
B特任准教授(当時)
「ありますよ」

 B特任准教授自身が恐喝を認めているように聞き取れる。

■東京大学に通報…その後の対応は?

引地氏
「恐喝された時に、ちょっと我に返りまして。このまま進んでも地獄だなと。いつか潰れる」

 精神的に限界を感じたという引地氏は、東京大学に通報。しかし、引地氏は大学側から正式な回答をもらえず、一方的に研究を中断させられたと主張。

東京大学に通報したが…
東京大学に通報したが…
原告側の代理人
「(東大のコンプライアンス委員会は)『きちんと中で調査をしなければいけない、ついては証拠をください』ということがあったので。原告、協会代表者の方が証拠を出したんですが、その後、具体的な進行等々については一切連絡がなくて」

 日本化粧品協会は、研究の再開やおよそ4200万円の損害賠償を求め提訴に踏み切ったという。

 引地氏側の訴えに対し、東京大学側は次のように述べた。

東京大学側の回答
東京大学側の回答
東京大学本部 コミュニケーション戦略課(16日)
「訴状が届き次第、その内容を確認して適切に対応いたします。本案件については、その事実関係について、すでに本学において調査を進めております。今後、調査の結果に基づき、必要な対応をとってまいります」

 また、A教授らに対し、大学側を通じてコメントを求めたが、放送までに回答はなかった。

 およそ1年半に渡って繰り返されてきたとされる高額接待疑惑。引地氏は、なぜ止めることができなかったのか。

約1年半に渡って繰り返されてきたとされる高額接待疑惑
約1年半に渡って繰り返されてきたとされる高額接待疑惑
「接待をやめたら(研究の)スピードを遅くされたり、何だったらちょっと止められたり、毅然と『NO』を言えなかった悔やみしかないです」

 引地氏側の訴えの通りならば、「みなし公務員」のA教授らに接待を行った引地氏自身も贈賄の罪に問われる可能性もある。

 それでも訴えを起こした理由は…。

訴えを起こした理由
訴えを起こした理由
「(A教授とB特任准教授(当時)以外の)優秀な先生方が、寝る間も惜しんで休みも割いて、やっていただいた研究というのは素晴らしいことになっています。何とか私だけの反省とか罪、やるべきことで済むんだったら、正常化していただきたいなと」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年5月19日放送分より)

  • 日本化粧品協会の代表理事・引地功一氏
  • 東京大学と共同で化粧品開発の研究を開始
  • 研究に参加
  • 双方にメリット
  • 高級フランス料理店で会計の際に…
  • 引地氏は、仕方なく全額の15万円を支払った
  • 銀座の高級クラブでの接待も要求されるように
  • 接待の場を捉えた実際の写真
  • クラブの従業員
  • 銀座での接待の領収書
  • タイの会社からA教授とB特任准教授が接待を受けた
  • 風俗店での接待も要求するようになったという
  • 生々しいLINEのやり取り
  • 「32万円くらいのノルマで」
  • 衝撃的な出来事が…
  • 1500万円を用意するよう求められたという
  • B特任准教授が口を開くと…
  • 引地氏はB特任准教授を個別で呼び出し確認
  • 東京大学に通報したが…
  • 東京大学側の回答
  • 約1年半に渡って繰り返されてきたとされる高額接待疑惑
  • 訴えを起こした理由