日本一早い紅葉の名所として知られる北海道の大雪山系はこの3連休、多くの登山客が訪れました。紅葉が見ごろを迎えている一方で、山道ではクマの痕跡が見つかるなどクマへの警戒が高まっています。
圧巻紅葉…3連休に殺到
紅葉の季節が到来した大雪山系の黒岳。木々が赤や黄色の秋色に染まり、山肌を彩っています。3連休とあって、多くの登山客が訪れていました。
黒岳の5合目まで行くことができるロープウェイの駅では、正午にはおよそ120台分の駐車場が満車に。そのため駐車場に続く道路には、路上駐車の車列がずらり。その長さは100メートル以上。
車のナンバーを見ると道内だけでなく、東京(多摩)や新潟(長岡)、宮城(仙台)など全国各地から来ているのが分かります。
その理由は、日本一早い紅葉。
「紅葉ですよ、やっぱり。紅葉が早いからですよね」
「(Q.北海道でも)一番早い」
7合目の散策路を抜けると一気に視界が開け、目の前に広がるのは黒岳の北斜面。鮮やかな緑に赤やオレンジ、黄色が重なり合い、美しいコントラストが斜面を彩ります。
展望台では、色づく紅葉を背景に写真撮影をする人の姿もありました。
7合目の標高はおよそ1500メートル。ここ最近、朝の冷え込みが強くなり紅葉の色づきがぐっと進みました。
「涼しいです」
「もう最高です。秋が来た〜って思っています」
こちらのグループはすでに山頂まで登り、下山してきた登山客。
「紅葉、上のほうは結構オレンジがかっていて、きれいでした」
「(Q.良い写真は撮れた?)シマリス途中何回か横切って撮ることができました」
ヒグマ警戒のなか…“日本一早い”絶景紅葉
北海道の大自然を満喫する一方で、登山客から聞こえてくるのはクマ鈴の音。
北海道・知床半島の羅臼岳で登山中の男性がクマに襲われて死亡した事故からおよそ1カ月。登山客は警戒を続けています。
「やっぱり最近ちょっと多いみたいなので(クマと)人と遭うのが。そういうのは気をつけながら登ろうかなと思って。クマスプレーは絶対。あとは鈴つけたりとか、あとはちょっと見通し悪いところで少し怪しいなというときは先に声出して『おーい!』って言ってから入ったりとかはしていますね」
黒岳ではここ数カ月クマの目撃情報はありませんが、看板などで注意を呼び掛けています。
そして山頂付近では、葉は赤やオレンジ、黄色に染まり、山肌が秋の装いを見せています。斜面を覆いつくすのは、どこまでも鮮やかで美しい紅葉の絨毯(じゅうたん)。
登山客は色づいた木々の間を進みます。7合目からおよそ1時間半、山頂まで登ると…標高およそ2000メートル、雲の上から見渡す大雪山系の山々、思わず息をのむような360度大パノラマの絶景です。
そして山頂から見下ろす紅葉は、また違った表情を見ることができます。
山崎弘二さん
「例年並みの色づきに今のところはなっています。(紅葉シーズンの)この1カ月半くらいで、6万人くらいのお客さんがいらっしゃるかなというふうに思います」
黒岳ロープウェイによると、紅葉の色づきはこのあと麓の温泉街まで下りていき、10月中旬まで楽しめるということです。
相次ぐヒグマ痕跡 対策苦悩
同じく大雪山系「旭岳」。ピークになると、雄大な自然に広がる赤や黄色に染まった紅葉と、緑の木々の美しいコントラストが、訪れる登山客を魅了します。
15日は三連休最終日とあって、多くの登山客でにぎわいました。
午前6時前、旭岳ロープウェイの麓の駅の入り口には、オープンを前にずらりと長い列ができ上がっています。
旭岳ロープウェイの駅には早朝にもかかわらず、次々と登山客が列に加わり、200人以上の行列に。駅の中では、チケットを買ってどんどんと詰めて並んでいきます。
「ここに到着が4時45分。3連休の最後で天気がいいということで駐車場が混むんじゃないかと。朝早く結構頑張ってきました」
「この時期に一足先に紅葉を見たくて。待ってたかいがありますね」
ゴンドラにはおよそ100人が乗れますが、登山客がはけても待機列にはまたすぐに行列ができます。
標高1600メートルの「姿見駅」まで上るロープウェイ。紅葉がピークになると、辺りは黄金色に染まり、紅葉を見降ろしながら空中散歩が楽しめるんです。
姿見駅に着くと、5カ所の展望台などがある1周1.7キロの散策コースがあり、ハイキングをしながら圧巻の大自然が楽しめます。
本格的な紅葉はこれからで、来週以降見ごろを迎える見込みです。
「紅葉が少し見れればいいかなって思ってます」
青森から来た登山客は、なるべく姿見駅の近くで散策をすると話します。
「(Q.警戒して)少し手前で」
旭岳の周辺では、先月下旬にヒグマが目撃されたり、3日前にもふもとにある散策コースの湿原で足跡が確認されたばかりです。
「この先100メートルくらい行った所に、先月ヒグマの糞(ふん)のようなものがありましたので」
旭岳の登山道のすぐ横にある道で、ヒグマの痕跡がありました。
旭岳ビジターセンターでは、ヒグマに関する問い合わせが多いため、登山道周辺のクマ情報を公開し、注意を促しています。
旭岳の登山客に熊対策を聞いてみました。
どういうものか見せてもらうと、リュックにしまってあるようで…。
ほとんどの登山客が、クマ鈴やクマ避けスプレーなどで警戒する一方、旭岳と同じ大雪山系の白雲岳では、こんなケースも…。
雪が残る山の斜面にいるのは一頭のヒグマです。この場所は登山道から目と鼻の先。撮影者や他の登山客がクマがいなくなるのを待つなか、一人の男性がクマに近づいていきます。
「ちょっと何事もなければ良いんだけど」
「おいおいおいおい」
その男性はヒグマにわざわざ近づき、クマよけスプレーとみられるものを噴射。クマが立ち止まっていると、再び男性はクマの方にスプレーを吹きかけます。
「本当に、マジかよとは思いましたね。(男性は近づいて行く時)ずっとヒグマのほうを見ながら、ちょっと自信のあるような感じに見えた」
さらに別の登山客は、至近距離にいるクマをその場で立ち止まり写真撮影しています。
白雲岳を管理する大雪山国立公園管理事務所は、クマに近づいたりして刺激を与えないよう注意を呼び掛けています。
ヒグマへの危険な行為は他にもあります。
「皆さん危ないので、車に戻ってください」
登山中の男性がクマに襲われて死亡した知床国立公園で問題となっているのは、クマの撮影や観察を目的に、観光客が車の中などで待機する「待ち伏せ行為」。
観光客のクマへの接近はクマの人慣れにつながり、クマによる人身被害の危険性を高めると指摘されています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月16日放送分より)