温暖化などの影響でサケの漁獲量が減少しているなかで、富士山の湧き水で育てられたサーモンが注目されています。サーモンなのに、身が白いことが特徴だといいます。
“白いサーモン”人気の秘密
たくさんの客でにぎわうのは、サーモン専門のレストランです。
「サーモンが一番大好きです」
「(Q.すし屋とかに行くと?)行ったらもう絶対サーモン。3皿は(食べます)」
なかでも今人気なのが“白いサーモン”です。
通常、身が赤いイメージのあるサーモンですが、こちらのお店では赤と白、両方のサーモンを楽しむことができるといいます。
「味ももちろん好評ですが、見た目。白いサーモンというのは、なかなかお目にかかれないと思うので、そこにまず驚くお客さんがたくさんいますね」
人気の理由は、その味と珍しさ。白いサーモンを初めて食べるという人は、次のように話します。
「(Q.見た目だけでサーモンかどうか分かる?)いや、分からない。普通のサーモンと違って、すごいスッと消えていく感じ。食べやすい感じでした」
白いサーモン 秘密は餌に
白い身のサーモンが育てられているのは海ではなく、なんと富士山の麓にある養殖場。「ホワイト富士山サーモン」と名付けられ、養殖されています。
岩本いづみさん
「(Q.これがホワイト富士山サーモン?)そうです。白い身のサーモンですよ」
「(Q.どのくらい、いけすはあるんですか?)ここのところ、どのくらいでしょう。20面ぐらいありますね」
「(Q.ここにいるのは、どのぐらい育てている?)1年ちょっと養殖しているので、もう出荷サイズですね。これを今度はちゃんと締めて、それで血抜きをしてお刺身用に出荷しています」
「ホワイト富士山サーモン」はおよそ20のいけすで養殖され、年間50トンが出荷されます。
温暖化による海水温の上昇などで、サケ類の漁獲量は年々減少。養殖によって補うことが期待されています。
ここで育てられるサーモンの白い身は餌(えさ)に秘密があるといいます。
「元々、サケ・マスは全部白身の魚なんです。それが天然の魚ですと、甲殻類を食べてピンク色に。だけどホワイト富士山サーモンは、白いままの本来の色の白身なんです」
一般的に身が赤いイメージがあるサーモンですが、本来は白身の魚。餌に含まれるアスタキサンチンという成分によって赤く変化します。しかし、この成分を加えた餌は…。
「色素(の値段)がめちゃくちゃ高いんですよ」
高いコストに加え、赤い身のサーモンは大きいサイズが市場で求められるため、時間をかけて養殖しなければならないといいます。
「白い身は1キロで出しているので、1年2カ月くらいですね。赤い身はやっぱり2年以上、2年2カ月から4カ月の間で出しています。(白い身のサーモンは)1年で出荷できるという利点はあります。今ゲリラ豪雨とか、自然の中のリスクってものがやっぱり高くなってきました。白いものをやると半分の期間で育てることができて、すごくいい循環でいけると」
コストと時間の両方を削減できるというホワイト富士山サーモン。さらに、養殖でもう一つのカギとなるのが「水」です。
「この水は、とても大切ですね。ここは年間通じて(水温が)11℃前後ですので、サーモンには向いています。水温が一定していますから、養殖が計画的にできるっていうところですね」
養殖場に引いている富士山の麓の湧き水は、サーモンの養殖に適した水温で安定しているといいます。さらに…。
「アニサキスってね、海しかいないから、淡水にはいないんですね。そういったところを安心して食べていただけるのと、その持続可能な養殖っていう意味では、これこそSDGsだなと」
海での養殖に比べ、食中毒を引き起こすアニサキスのリスクがほぼないことも強みです。
生産者は環境への配慮も
徐々に認知度が高まっている「ホワイト富士山サーモン」。地元の飲食店でも人気です。
「ホワイト富士山サーモンはさっぱりしているけど、味がしっかりうまみの感じられる非常に歯ごたえの良いおいしい魚だと思っています」
このお店で人気なのは、通常のサーモンと白いサーモンを合わせた紅白丼。
「(ホワイト富士山サーモンは)サーモンとは思えない味といいますか、逆に淡泊なほうなので食べやすくて、こっちのほうが好きかなっていうふうにも最初思いましたね」
近年、市場拡大を狙って豊洲市場にも卸しているという「ホワイト富士山サーモン」。生産者は環境への配慮もしているといいます。
「餌で言ったら植物性の餌が今多いですが、そういうものをやるとフンが多くなってしまう。そうすると川を汚すので、そういうものを使わないようにする。この自然があってからこそできる魚の養殖です。ですから水の資源というものを大切にしたいと考えています」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月22日放送分より)