道路や水道などインフラの老朽化が問題となっていますが、「街路灯」も例外ではありません。古くなった街路灯が倒れて走行中の車に接触する被害も出てきています。
突如倒壊“尿”が原因?
愛知県豊川市内の道路。後方を映したドライブレコーダーに記録されていたのは、突然倒れてくる街路灯でした。
電線が千切れ、照明部分は道路に激しく打ち付けられ粉々に。後ろを走る青い車にも接触し、その衝撃で車が揺れているのが分かります。
映像を確認すると、街路灯に何かがぶつかったり、強風が吹いたという状況は見当たりません。
倒れた街路灯の根元を見てみると、さびのような痕跡とともに、地中と地上の境目部分で折れているのが分かります。
街路灯を管理する豊川市によると、「ポールと舗装面の間が、水や犬の尿などで老朽化して、根腐れしたのが原因と思われる」とのことです。
この倒壊によって、ぶつかった車のドアが傷つき、壊れて飛散した街路灯の破片とみられるもので、住宅の塀にも傷がつきました。
老朽化による街路灯の倒壊は、他でも起きています。
あわや大事故 走行中に…
仙台市の住宅街を走る車。右折レーンに入り、右に曲がった次の瞬間…右前方から突然街路灯が倒れ、車のボンネットに直撃。
その後、車は走行できなくなり、運転していた40代女性は首や腕にけがをしました。
助手席には当時小学2年生の子どもも乗っていて、あわや大事故寸前でした。
街路灯が倒れた原因について、区の担当者は「街路灯の中間にある継ぎ目がさびて腐食していたことが原因とみられます」と答えました。
また、この街路灯は1995年に設置されて以来、およそ30年間一度も点検されたことはなかったと見られています。
現場周辺には同じ街路灯が複数ありましたが、現在は交換が完了しているといいます。
島根や東京でも…
歩道をふさぐように倒れているのは、高さ6メートルの街路灯。折れた支柱の根元を見ると、大部分がさびていました。
市の担当者は「支柱の根元が腐食していたため、倒れてしまいました」といいます。
来年度中には同じ場所に新たな街路灯が設置され、調査も引き続き行っていくといいます。
さらに多くの人が行き交う東京・渋谷でも、鉄製の街路灯が根元から折れて倒壊。地元の町会長は倒れた原因について「老朽化」だったといいます。
「素人から見てもね。(設置から)時間も経ってますから、何かしないとという気持ちはありましたね…」
渋谷区の担当者は「昭和63年(1988年)に設置されたこともあり、根元が腐食し穴が開いていたため倒れてしまったと考えています」と説明しています。
およそ40年前に設置された街路灯。幸いけが人はなく、その後、新たに建て替えをしたといいます。
東京・江東区にある住宅街の路地で撮影された写真。こちらの街路灯も折れた根元がさびています。別の角度から見てみると、折れた街路灯の両側には住宅が建っていました。
定期点検実施も…補修追い付かず
実際に身近にある街路灯はどうなのでしょうか?東京・港区にある、テレビ朝日周辺を取材してみました。
地面付近の塗装がはげ、下地の金属がさびで腐食し、でこぼこした状態になっています。
さらに、東京郊外に行ってみました。
街路灯のポール部分はさびが浮いて、塗装はボロボロに。点検口部分に空いた穴は反対側にもあり、貫通しています。
街路灯など、電気設備を製造販売する企業の担当者に、画像を見てもらいました。
宮薗愛美さん
「(地面付近は)湿気も多い箇所で、いろいろな要因が考えられるんですけども、犬のマーキングによる腐食の可能性も考えられます」
穴が開いてしまった街路灯は…。
「ポール本体に点検用の開口部を溶接していると思われるんですが、ポール本体よりも、開口部のボックスのほうが板厚が薄いと思われますので、それでこういった穴が開いているものと思われます。こういった穴が開いていると、ここから雨水などの水分が中に入ってしまって、さらに腐食が進行することがありますので、外見の印象よりもさらに内部では腐食が進行している可能性があります」
街路灯の腐食の現状を、管理する港区に伝えると…。
「定期巡回の時に把握していました。緊急補修を行い、来年度には建て替える予定です」
穴が開いていた街路灯を管理する府中市は…。
「穴は3年前に確認しています。順次補修工事を行っており、この街路灯は来年度に補修する予定となっています」
取材した自治体によると、定期的に巡回して点検しているといいますが、管理する街路灯の数が多いため、なかなか補修が追い付かない状況だといいます。
老朽化街路灯“放置”の現実
自治体で管理する街路灯だけでなく、民間で管理する街路灯でも老朽化の問題が起きています。
神奈川県相模原市にある東橋本商店会。現在、25基の街路灯を維持管理しています。
「(Q.商店街で街路灯を設置した経緯は?)(先代会長から)聞いた話だと(1990年当時)それなりの補助金が出たらしいんです。ある企業が進出するにあたってとかで。補助金が出たので、じゃあやりましょうかということらしい」
街路灯が設置される前は通りは暗く、交通事故や痴漢などの被害があったといいます。
街路灯設置から36年経った今、老朽化による厳しい現実が。
「危ないでしょ、これ」
「(Q.穴が開いてますね)開いてるんですよ」
根元が腐食し、さびて小さな穴が開いています。
2018年には、台風によって老朽化した街路灯が3基も倒れるという被害がありました。
倒壊の危険がある街路灯は補修工事を行っていますが、問題もあります。
「(Q.補強するのにどのくらいお金が?)1本約10万円。いっぺんに本当はやりたいけど、お金がないので、去年は3本だけ(補修)」
「(Q.10万円はどこから出ている?)街路灯を維持するために、相模原市から補助金が出るんです。それだけじゃとても足らないので。全体の30%しか補助金出ない」
相模原市によると、補助金の上限は30%。残りの補修費や電気代は、年間48万円の商店会費の中でまかなっているといいます。
しかし、年々商店会に入る店が減り、補修費用がなかなか出せない状況に。さらに補修も撤去も進まない、八方ふさがりの状態だといいます。
「(街路灯を)撤去するにも、お金がかかるんです」
「(Q.街路灯がないと暗いですよね?)そうなんです」
そこで、商店会は街路灯を市に譲渡すると申し出ましたが…。
「いらない。ひどいでしょ」
市からは、「譲渡されても困る」と言われたといいます。
商店会が設置した街路灯はおよそ800メートルの通りに、20〜30メートルの間隔で25基。対して市は、車道を照らす道路灯が、最大190メートルほどの間隔で7基が設置されています。
「(照明を)LEDに交換する時に、1回全部電気止めたんですよ。やっぱり暗いですよ。(暗いと)危ないですよね、本当に」
相模原市に問い合わせてみました。
「商店会が付けた街路灯というのは、目的が商店街の振興や活性、にぎわいづくりというもの。防犯の効果はあると思うが、それを市が引き取るというのは、今の制度でもやっていないし、前例としてない」
商店会では、街路灯維持のため今後も会費集めに奔走しなければならず、苦労が続くといいます。
「これは全国的な悩みだと思います。(街路灯を)維持管理しているところは」
(2026年2月26日放送分より)




















