社会

2026年4月29日 17:00

複雑な今の防災情報 現状の課題とは?【気象予報士解説】新たな防災気象情報1

複雑な今の防災情報 現状の課題とは?【気象予報士解説】新たな防災気象情報1
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気象庁は2026年5月28日午後から順次、新しい防災気象情報の運用を開始します。今回の変化のポイントをテレビ朝日ウェザーセンターに所属する気象予報士が10回のシリーズで詳しく分かりやすく解説していきます。1回目は現状の防災気象情報が抱える課題です。

地球温暖化の影響などにより、近年、気象災害が激甚化・頻発化しています。こうした中、これまで以上に、避難行動に直結する「分かりやすい防災気象情報」が求められてきました。

これまでの防災気象情報には、主に次の3つの課題がありました。

・情報が複雑で分かりにくい
・警戒レベルと情報の名称が一致していない
・具体的な避難行動に結びつきにくい

■危険度を把握する「警戒レベル」の基礎知識

まずは、前提となる「警戒レベル」についておさらいします。

災害発生の危険度と取るべき避難行動を直感的に理解できるよう、現在は5段階の「警戒レベル」が運用されています。

・レベル1 災害への心構えを高める
・レベル2 ハザードマップなどを確認する
・レベル3 避難に時間のかかる人は避難する
・レベル4 全員が危険な場所から避難する
・レベル5 すでに災害が発生している、または切迫している

■これまでの防災気象情報と問題点

それでは、これまでの防災気象情報が警戒レベルとどのように対応し、どんな問題があったのかを「大雨」「洪水」「高潮」の3つに分けて見ていきます。

●これまでの大雨に関する情報

警戒レベル2に相当する情報は「大雨注意報」、レベル3は「大雨警報」です。ところが、レベル4になると「土砂災害警戒情報」と名称が変わり、レベル5では「大雨特別警報」に戻ります。
つまり、レベル4だけが「大雨」ではなく「土砂災害」であり、しかも「警報」ではなく「警戒情報」という名称になっているため、危険度の高まりが直感的に分かりにくいという問題がありました。
さらに、大雨警報は「大雨警報(土砂災害)」「大雨警報(浸水害)」「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように、特に警戒すべき内容が表題に明記された形で発表されています。
このうち「大雨警報(土砂災害)」は警戒レベル3に相当しますが、「大雨警報(浸水害)」には警戒レベルの明確な位置づけがないなど、仕組みが非常に複雑でした。

●これまでの洪水に関する情報

大雨と同様に、レベル2は「洪水注意報」、レベル3は「洪水警報」です。一方で、レベル4とレベル5に対応する情報は、「警報」という名称の中にはありません。
レベル4には、気象庁・国土交通省・都道府県が共同で発表する「氾濫危険情報」、レベル5には「氾濫発生情報」が相当します。しかし、これらは河川ごとに発表されるもので、「警報」ではなく「情報」という形で提供されるため、名称の統一感に欠けていました。

●これまでの高潮に関する情報

高潮に関する情報は特に複雑です。
レベル2は、高潮注意報のうち「警報に切り替える可能性に言及していないもの」、レベル3は、同じ高潮注意報でも「警報に切り替える可能性が高い旨に言及しているもの」と、同じ注意報の中でレベルが分かれています。
さらに、「高潮警報」と「高潮特別警報」は、いずれもレベル4に位置づけられていました。レベル5に相当する「高潮氾濫発生情報」は、気象庁ではなく都道府県が発表し、洪水警報と同様にここでも「警報」ではなく「情報」という形で提供されています。

これまでの防災気象情報と警戒レベルの対応

これまでの防災気象情報と警戒レベルの対応

このように、これまでの防災気象情報は名称がばらばらで、名称と警戒レベルの対応にも明確な規則性がありませんでした。

今回の見直しによってこれらの課題は解消され、防災気象情報はより分かりやすく、避難行動に結びつきやすいものへと変わります。

新しい防災気象情報と警戒レベルの対応
新しい防災気象情報と警戒レベルの対応

今回の変更のポイントやそれぞれの情報に応じて取るべき行動などについては、次回以降で詳しく解説します。第2回は「レベル導入で一目瞭然!常識が変わる新制度」として今回の変更の概要をお伝えします。

テレビ朝日ウェザーセンター
気象予報士 藤枝 知行

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