平良海馬「クイック」の原点は故郷・石垣島に!?[2021/07/14 17:00]

【担当記者が選ぶオールスターイチオシ選手〜西武編〜】
2年ぶりに開催される「マイナビオールスターゲーム2021」(7月16日(金)第1戦・17日(土)第2戦)。投手中継ぎ部門で12球団トップのファン投票数を獲得したのは、侍ジャパンにも初選出された埼玉西武ライオンズの平良海馬(21)。

昨季パ・リーグ新人王に輝いた平良はプロ4年目の今季、さらに飛躍。39試合連続無失点のプロ野球新記録を打ち立てるなど、まさに“最強のリリーフ投手”としてブレイクしています。大きな武器は最速160キロのストレート、高速で曲がるカットボールに加え、今季はチェンジアップにも磨きがかかり、投球スタイルの幅を広げています。

しかし、彼の魅力を語る上でもう一つ欠かせないのは、投球フォーム「クイック」です。一般的に「クイック」投法とは、ランナーがいる際、盗塁を防ぐ目的でセットポジションから足を高く上げず、素早く投げるフォームのこと。ランナーがいない場合は、足を高く上げ、勢いをつけて投げる投手がほとんどですが、平良は試合の状況に関わらず、全投球でこの「クイック」を用います。速球に加え、鋭く曲がる変化球を持つ平良が「クイック」で投げることで、打者はタイミングがとりづらく、さらに脅威となっているのです。


では、この「クイック」はどこで生まれたのか?「原点」は、埼玉より遥か南、沖縄県・石垣島にありました…。

「いやー。平良は昔も今も変わらないですよ(笑)。いい意味でマイペースというかね。野球ノートも必要なことだけ書いて、びっしり書くというタイプではなかった。元々、頭の中でしっかり考えられる子なんです。」

そう語るのは、平良が高校時代の3年間を過ごした、八重山商工野球部元監督の末吉昇一さん(39)。高校2年生の時、クイックを直接指導しました。

「きっかけは試合中に投げるボールの違いを感じたことでした。ランナーがいる時の方が、良いボールがいっていたんです。原因を探るために、ビデオを撮ったところ、クイックで投げる時の方が、上半身と下半身のバランスが良いとわかり、そこから2人で話して、クイックでの投球練習を始めました。元々は、「足を上げるフォームに戻した時にも良いボールがいくように」と、“修正”のつもりだったのですが、平良はこれを試合中、ランナーの有り無し関係なく投げるようになって…。でもリズムも制球も、平良が持っていた課題が全てピタッとはまったんですよ。」

元々、スポーツの動作分析に関する書籍やビデオを観て、勉強する機会が多かった末吉さん。教え子である平良の特徴を見極め、投球フォームのビデオ撮影や話し合いを繰り返し、「クイック」という選択肢を与えました。

当時について、平良本人は、「僕に付きっきりで見てくれて、アドバイスをくれて、凄い良い監督でしたね。クイックの方が、バランスが良いというのも教えてくれましたし、八重山商工でそれを学んだのが一番だった。それに(ランナーに関係なく)クイックだけを練習すればよくなったので、楽になったというのもありますよね。」と振り返ります。高校時代の恩師の気づきをきっかけに掴んだ「クイック」投法。これが今や、プロの世界でも輝きを放つ大きな武器になりました。

今回、プロ4年目で初めて立つ球宴のマウンド。恩師の末吉さんは、「ペナントレースでは抑えるために変化球主体の投球もあるけれど、オールスターでは勝負云々じゃなく、160キロの剛速球みたいですよね。」と、胸を躍らせます。

「クイック」で投げ込む平良の投球に注目です!

【マイナビオールスターゲーム2021】
7月16日(金)よる6時〜 第1戦@メットライフドーム
7月17日(土)よる6時〜 第2戦@楽天生命パーク宮城
テレビ朝日系列地上波にて生中継(※一部地域を除く)
両日ごご4時55分〜よる6時 BS朝日にてホームランダービー生中継

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