本田圭佑も脱帽の「森保マジック」かつての“懐刀”語る森保監督の強メンタル&観察力[2022/12/04 22:30]

日本のベスト8進出に期待が高まるFIFAワールドカップ2022。
クロアチア戦を前に4日、会見を行った森保監督。
“森保マジック”と呼ばれ世界が称賛するその采配の秘密に迫りました

▽日本代表が『涙』大合唱 スペイン戦の舞台裏
(板倉選手)「ドイツ、スペインに勝って1位突破よ俺ら」
(川島選手)「まだ行くよ まだ行くよ!」
これはスペイン戦直後のロッカールームの映像です。

(長友選手)「ブラボーブラボーブラボーブラボーブラボー!」
(板倉選手)「ブラボー!」
(堂安選手)「ブラボー!」
(長友選手)「ブラボーブラボー!お前すげえな 次もとれよ」

興奮はホテルに向かうバスの中でも…
ホテルの前ではサポーターが待ち受けていました。ホテルの中にも…
(日本代表専属シェフ 西芳照氏) 「最高でしょ 泣いちゃうよ」
みんなリラックスして専属シェフの料理を楽しみます。
(吉田選手)「(長友は)45分しか出てないから」
(長友選手)「エネルギー有り余ってる」
森保監督もリラックスした表情を浮かべていました。

▽“森保マジック“に本田圭佑も脱帽
後半から攻撃的な選手を投入する采配が的中。強豪国ドイツ、スペインを撃破した“森保マジック”。
ABEMAでワールドカップの解説を務める本田圭佑さんは…
(元日本代表 本田圭佑さん)
「もうこれは森保さんの采配で。1試合目2試合目、僕は森保さんの采配に否定的だったんで。この3試合目は認めざるを得ない。本当に素晴らしい。三笘さんを前半から使わずにやっぱり後半から使う。僕だったら頭からいってたんで。でも(森保監督は)我慢した。この“我慢”って監督には大事なんだなって、改めて勉強になりました」
森保監督のすごさとはいったい、どこにあるのでしょうか?

▽手のひら返しは「勝負の世界なので当たり前」
かつて“森保監督の懐刀”として共に戦い、現在は、岡山理科大学でサッカーのデータ分析を研究する久永啓(ひさながけい)さん。今から10年ほど前、久永さんは分析担当コーチとしてJリーグ・サンフレッチェ広島時代の森保監督を支え、J1連覇の偉業に貢献しました。
(サンフレッチェ広島 分析担当 久永啓さん)「当時(サンフレッチェ監督時代)はそこまで細かいデータは取っていなかったんですけど、どういう時間に自分たちは点を取っているか、どういう時間に相手は取っているかを気にされていた。当時から話をしていたのは『批判が気にならない』と言っていて、『僕らはやるべきことをやっていつものトレーニングをやって試合で勝つだけだ』と」
久永さんが考える森保監督の強みのひとつは批判をものともしない“メンタルの強さ”。

ワールドカップアジア最終予選。日本はホームで行われた初戦で痛恨の黒星スタート。森保監督は選手の起用法や戦術面が批判され、一時、解任論が噴出しました。
(森保監督会見)「称賛も批判もあるのは前提で、手のひら返しは勝負の世界ですので。勝てば称賛、負ければ批判されるのは当たり前のことかなと思っています」
メンタルの強さに加え、データ分析のプロである久永さんから見た森保監督のすごさ。それは…“観察力”だといいます。
(久永啓さん)
「データで測れないことをやられていると思うんですよ。観察力がすごい。この選手からこの選手のパス、パスミスが起こりやすいとか、パッと見て『ちょっと確認してみて』って言われて、『ここを狙ってもいいかもね』みたいな。90分の中に1個でも狙えれば試合に勝つチャンスがある」

試合中、森保監督がしきりにとっている、あの“メモ”。気になった選手のプレーなどを書きとめハーフタイムに修正点を伝えているのだといいます。
(森保監督 ドイツ戦勝利後)
「ただし一喜一憂しすぎるなよ、次が大切だぞ。これを生かして次にまた勝利すること、しっかりと準備してやっていこう」
その観察力はピッチの外でも…
(久永啓さん)「いつもと違うことが起こっていたことにすごく気が付いていて、(ある選手が)いつもは余裕をもって練習の準備をしているのに来ていなくてギリギリで来てイレギュラーなことが起きた。そこに声をかけてそれを起こらないようにするとか細かいところを見ていて、森保さんは自分たちのことを見てくれているという安心感を選手は持つのかなと」

▽“ドーハの記憶“払拭した新時代のプレー
森保監督にとって、ここカタールのドーハは“因縁の地”です。
(日本代表 森保一選手 1993年)
「自分の持っているものをすべて使い果たして、試合終わったら倒れてもいいので、勝てれば本当に全部出したいと思っていますけど」
1993年、アジア最終予選で起きた“ドーハの悲劇”。森保監督は選手としてピッチに立っていました。1点リードで迎えた試合終了間際、このまま勝てば日本は初のワールドカップ出場。しかし…
土壇場でイラク代表に追いつかれ、ワールドカップ初出場の夢が閉ざされてしまったのです。森保氏はピッチ上で座りこみなかなか立ち上がることができませんでした。
あの日からおよそ30年が経った2日のスペイン戦。1点リードで迎えた試合終了間際、日本が同点に追いつかれれば、決勝トーナメントに進めなくなる可能性がありました。
(森保監督)「最後の1分くらいの時に私の”ドーハの記憶”は出てきました。その時に選手が前向きにボールを奪いにいったところで、時代は変わったんだなと、新しい時代のプレーをしてくれているなと、あと1分30秒くらいのところで思いました。」
(森保監督 スペイン戦勝利後)「みんなが世界の舞台で勝てることを示してくれた!きょうは喜べ、でももっと先に目標はあるぞ!喜ぶところは喜んで次に結果を出す!おめでとう!!」

▽悲願のベスト8へ クロアチア攻略のカギは
悲願のベスト8進出がかかったクロアチア戦。勝利のカギを握るのは、何なのでしょうか?
日本代表にも分析スタッフを輩出してきた筑波大学蹴球部。人工知能=AIを用いた分析会社の協力を得て、クロアチア戦に向けた分析を行っています。
(筑波大学蹴球部アナライズ班 宮崎幹仁さん)「背番号10番のモドリッチ選手がキーになってきます」
強豪・クロアチアの主将 ルカ・モドリッチ選手(37)準優勝した前回大会の最優秀選手(MVP)に輝いた司令塔です。
(宮崎幹仁さん)「これはグループステージのデータになっていて、モドリッチ選手がどこでプレーに絡んだか、どこでボールに関与したかというデータを示しています」
自分のポジションだけでなく、守備から攻撃までピッチのあらゆる場所でプレーしていることがわかります。
(宮崎幹仁さん)「下の方で組み立てに絡んだと思ったら、前の方に入っていってチャンスに絡む。実際にシュートを打つシーンもあるという選手になります」
この絶対的キャプテンを中心とする攻めを、どう守り切るかがカギになるといいます。一方、日本代表チームでカギを握る選手をデータから探ってみると…
(宮崎幹仁さん)「これが相手にどれだけ脅威となるプレーをしたかというデータになっております」
パスやドリブルなど相手に与えた脅威を日本代表の選手ごとに数値化したグラフ。過去3戦で1位になったのは三笘選手です。
(宮崎幹仁さん)「ドリブル突破を警戒していたら決定的なパスを通されてしまう、パス警戒していたらドリブルでチャンスを演出したり、(クロアチアにとって)かなり止めることが難しい選手。三笘選手を前面に使うだけでチャンスができる。世界に誇れるアタッカーを日本代表は抱えている」
日本はクロアチアに勝って「新しい景色」を見ることができるのでしょうか?
(森保監督)
「最初から守って守りだけの戦いは明日もしたくないと思いますし、クロアチアもいろいろな戦い方ができるチームなので我々も理想と現実を常に試合の中で持ちながら、選手たちには最終的には我々が試合をものにできるようにという戦いをしてほしい。」

12月4日『サンデーステーション』より

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