ダルビッシュ有 松坂大輔から学んだ“壁のない”雰囲気づくり「器・懐の深さ違った」[2023/03/03 15:00]

侍ジャパンで大きな役割を担っている、チーム最年長のダルビッシュ有投手。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を前に、松坂大輔さんとダルビッシュ投手のスペシャル対談が実現しました。

第2弾の今回は、チーム内でのコミュニケーションや、大谷翔平選手について。そして、ダルビッシュ投手がこの大会を通して伝えたい思いを語ります。

■2009年のWBC 松坂さんをどう見ていた?

松坂さん:「日の丸をつけてプレーするのは、14年ぶりですか?」

ダルビッシュ投手:「はい」

松坂さん:「当時と今の自分の立場の違いとか、感じていますか?」

ダルビッシュ投手:「立場の違いっていうのは、正直分からないですけども。当時、若かったので、調子に乗っている部分が、たくさんあったんですけど。覚えているのは、右も左も分からないで、一番若いほうだったので。本当に、先輩方についていくっていう形だった」

松坂さん:「本当ですか?」

ダルビッシュ投手:「もちろん!」

2009年、ダルビッシュ投手と松坂さんが共に戦った第2回WBC。松坂さんは日本のエースとして、2大会連続のMVPに輝きました。

一方、ダルビッシュ投手は22歳の若さで先発、抑えに大車輪の活躍。2人は、世界一への立役者となりました。

松坂さん:「当時、僕は日本のピッチャーと言えば、ダルビッシュ投手。若いですけど、しっかり結果を残して。風格があるなと思って見ていました」

ダルビッシュ投手:「本当ですか?ありがとうございます」

松坂さん:「先輩についていくって感じじゃなかったけど(笑)。2009年の時に、メイン球場から室内練習場に移動するバスの中で、ダルビッシュ投手から『メディア対応どうしてるんですか?』って」

ダルビッシュ投手:「覚えてます!それは」

松坂さん:「当時、僕のこと、どう見ていました?」

ダルビッシュ投手:「とにかく自分は、楽しみにしていましたし、すごく気さくに話し掛けて下さった。結構、若手にもいじられる。そういう雰囲気を(代表に)行く前はできると思っていなかった。会ってから2〜3週間で、そこまでできた。自分が年取ってきて、器とか懐の深さが全然違ったなって、今になって感じてます」

松坂さん:「僕は、ほっとしました。年下から、いじってくれて」

ダルビッシュ投手:「本当に、失礼しました。ひどかったと思います」

松坂さん:「全然、良かったです(笑)。思い出してくれて、良かったです」

■松坂さん「2009年よりも良い感じ」

第2回WBCの開幕前、「報道ステーション」の番組キャスターだった栗山英樹監督のインタビューを受けた2人。当時、松坂さんの存在ついて、ダルビッシュ投手は、こう語っていました。

ダルビッシュ投手:「メジャーでバリバリやっている人が、壁を作らないことが、(皆が)一つにまとまるには必要。(松坂さんを)見ていて思いますね。吸収できるところは全部と、思っています」

14年の歳月が経ち、今度は自分が現役バリバリのメジャーリーガーとして、侍ジャパンに帰ってきました。

合宿初日から、初めて一緒にプレーする選手たちと壁を作らず、積極的にコミュニケーションをとっています。

松坂さん:「良いですね。結束力が固まっていく早さっていうんですかね。2009年よりも、良い感じで進んでいますね」

ダルビッシュ投手:「そう思いますか?」

松坂さん:「外から見ていても、仲良いなって思って。あの話の輪の中に入りたいなって」

ダルビッシュ投手:「もっと、ピリピリしているのかなと思っていたんですよ。2009年も、皆ワイワイしていたと思うんですけど、それ以上にリラックスしている感じがすごくあって。そこは、ちょっとびっくりしました」

松坂さん:「このチームの中で、自分はこういうことをしていきたいというのは、何かありますか?」

ダルビッシュ投手:「皆、WBCということで、ファンの方々の数、報道陣の数、そういうところで緊張したり、もっと力を入れようとしてしまう。なるべく会話とか、コミュニケーションで日常に引き戻すことを心掛けてはいます。自分で言うのもなんですけど、ここまで人間的に落ち着くと思わなかったです。今見るとですけど、そうなるとは思っていなかった。結婚であったり、子どもとの関係が、すごく大きかったと思います。選手としては、全く想像も何もしていなかった。こんなに(現役を)長くやってると、思っていなかった」

■なるべく皆が構えないよう…“雰囲気づくり”

現在、WBCに参加するメジャーリーガーとして、侍ジャパンに合流しているのはダルビッシュ投手のみです。

間もなく合流する大谷選手についても、気を掛けています。

ダルビッシュ投手:「大谷選手もこの前、連絡とりましたし。ちょくちょく連絡はとっています。特に大谷選手って、皆知らなくて。あれだけ大きい存在なので。なるべく皆が構えないよう、メジャーリーガーって、全然大丈夫だって思える雰囲気づくりをしています。それは、大谷選手に伝えてないですけど。この後、またしたいなと思っています」

■良いチームは「ずっと思い出に残る」

いよいよ来週開幕するWBC。ダルビッシュ投手が、この大会を通して伝えたい思いとは?

ダルビッシュ投手:「皆さん、優勝だとか世界一って言うのはすごく分かるんですけれど、自分たちがやっているのは野球なので。やっぱり、最初は楽しいから始めた。結束力をなんとか高めたいって自分が思うのも、勝っても負けても、良いチームだとずっと思い出に残ると思うんですよね。今、子どもたちの野球離れが言われるなかで、自分たちが実力で見せることは、ずっと長年やってきて。後、何ができるんだってなった時、見ていて楽しそうだなとか、代表のユニフォームで、皆で明るく野球したいなと思ってもらえることが、すごく大事なんじゃないかと思っていて。だから、そういうところをこう見て感じて、子どもたち、将来の野球選手たちに、つながっていける大会になってほしいと思います。(決勝ラウンドの)アメリカまで、まずはたどり着けるように」

松坂さん:「アメリカまで、連れて行って下さい!」

ダルビッシュ投手:「皆で、頑張ります」

(「報道ステーション」2023年3月1日放送分より)

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